2013年5月13日月曜日

大吟醸立ち飲み試飲会@取手市 中村酒店

日頃お世話になっている取手市の中村酒店さんで、この時期ならではの限定酒、高級酒を集めた試飲会が開催されましたので、お邪魔して来ました。

出品は8銘柄で、何が出品されるかはオープンの状態で、ブラインドチェックです。条件を揃えて、花冷え程度の温度でした。

5勝3敗、僕にしてはかなりいい成績でしたが、伯楽星を当てられなかったという痛恨の失態もありつつ。まぁ成績が悪かったら書きませんけど、えぇ。
  • 九頭龍 大吟醸
  • 無風 大吟醸 生原酒 華や香
  • すてら 純米大吟醸 本生
  • 伯楽星 純米大吟醸 東条秋津山田錦
  • 明鏡止水 純米大吟醸 m12
  • 鶴齢 大吟醸 生原酒
  • 鳳凰美田 純米大吟醸 無濾過本生 赤判
  • 鳳凰美田 大吟醸 原酒 別誂至高
あ、写真には9種類ありますが、黒龍の大吟醸は今日参加出来なかった常連さんからの差し入れという、なんとも太っ腹な話でございます。


さて、それぞれと味わっていきます。

九頭龍 大吟醸。
ほんのり乳酸、後味の穏やかさ、若干香りの足りなさから、お燗かなと九頭龍を予想。正解でした。

本来お燗して飲むコンセプトで醸されてるお酒ですので、冷やを味見した後はお燗のプロがお燗を付けてくれました。

45℃あたりの上燗で飲みましたが、乳酸が解けて旨みになるって感じの、ホロホロ燗酒。美味しいけど、大吟醸らしさ、特に吟醸香の部分はよくわからなかった。
あと想像ほど燗上がりしなかった。まぁお燗は冷やで全種飲んだ後ですから、その印象に引きづられてる気もしますけど。

吟醸酒の燗酒って、一昔前は邪道とかありえないとか言われてましたが、僕はその頃から超ぬる燗とかで吟醸酒を飲んだりしていました。もちろんそれが合う酒、合わない酒はあるんですけど、吟醸香が飛ばず、嫌な感じにならず、でも燗上がりした旨みが楽しめるみたいな。
それを期待してたってのもあるんですけどね。

九頭龍に関してはお燗用の吟醸酒なので、程々温度を上げてもいいと思ってましたが、もしかしてもっとぬる燗で飲むべきだったのか、謎は深まるけど多分自分では買わないからなぁ、何時かそういう機会に恵まれますようにと。


無風 大吟醸 生原酒 華や香。
しっかりした甘さがあり、割りと口の中に残る濃厚な感触。無風か鶴齢で悩むも、無風は以前大吟醸を試飲しても結構さらりとしてたから外し、強いて言うなら新潟酒の中では濃厚な鶴齢を選択。鶴齢らしい濃厚でもキリリとした辛味がないことに疑問を感じてたら、やっぱり外れ。

なるほど、華や香という銘打つだけありますね。何時もの無風とはちょっと違う。
思い返せば、この蔵の醴泉に印象は近いかな。

温度が上がってなくても濃厚な味わいで、ねっとり美味しい。温度が上がるとダレちゃいそうなタイプの甘みなんだけど、踏みとどまってくれるあたり大吟醸クオリティでしょうか。

一応これも燗酒で試してみました。35℃。あぁ、もったいないな、常温がいいな。



すてら 純米大吟醸 本生。
ちょっと雑味が残り、今日のラインナップの中ではちょっと物足りない、そんな失礼な消去法から、すてらを選択。正解だけど、なんかちょっとそれは嬉しくないなぁ。

温度帯の問題か、ちょっと苦味となる雑味が気になり、そして旨みが少なく感じる。
ところが35℃でお燗すると、雑味が芳ばしく香るナッツの味に。旨みが少ないという側面は、お燗になれば主張が強くなくて優しいといういい側面に変わるから面白い。

お燗しないまでも、常温くらいには上げて飲むべきお酒かもしれませんって、しまった、後から常温で飲んどきゃよかった。


伯楽星 純米大吟醸 東条秋津山田錦。
東条秋津と言えば山田錦の最高峰。フロンティア東条21っていう、東条の山田錦を使った日本酒を造る団体?もあったりして、まぁ有名なお米です。

旨みはあるけど、スルッとサラッと抜ける味わい。エステル香が薄っすらと香り上品。もっとこの感じが強いと鳳凰美田の可能性もありつつなんて試飲。軽さの点から無風を選択。そして伯楽星を外すという痛恨の極み。これは候補にすら上がらなかったからなぁ。

温度が上がってくると、伯楽星らしい乳酸の味わいも出てきて、一癖あるのに何も引っかからないという素晴らしい味わいを堪能しました。

適温で飲めば分かったって強がりたいところですが、伯楽星好きの酒友達は当ててましたから、それは単なるいいわけです。

そして伯楽星と言えば燗酒の隠れ王者。大吟醸だとしても試さないわけにはいけません。50℃の熱燗。激旨です。普段の純米より乳酸が少なく、むしろアミノ酸といった旨みの立ち方。ブドウのような旨みと酸味。
大吟醸ならではの綺麗さや爽やかさがそのまま残って、何だこの燗酒は、という不思議な味わいです。あぁ贅沢。



明鏡止水 純米大吟醸 m12。
軽い綺麗な酸と米の旨み。綺麗なんだけど、最後にちょっと苦手な引っ掛かりがある、ってことから、これはきっと長野酒と予想。なので明鏡止水ですなと正解です。

長野酒、美味しいとは思うんだけど、結構どの蔵にも共通して後味が苦手なんですよね。苦いというか引っ掛かりがあるというか。我が家ではこの感覚は共通認識なんですけど、なかなか他の人には説明が難しい感覚。美味しいわけですし。
嫌いじゃないけど得意じゃないという、個人的にはなんとも扱いが難しいお酒たちです。


鶴齢 大吟醸 生原酒。
整った旨み、切れのよい酸、でも温度が低いせいかちょっとほろ苦さも。甘みの感じが強いかなと思いつつも、適温より低いと苦味が出やすい新澤醸造店さんの特徴を優先して伯楽星と予想。鶴齢でしたか。

わかってから飲むと、甘さの感じはやっぱり伯楽星じゃなかったなと、えぇ銘柄を聞いてから飲めばそんなもんです。甘辛のバランスがよく、そして大吟醸らしい綺麗さ、鶴齢の濃厚越後酒という(勝手に思い込んでる)特徴の集大成だなぁと。

生原酒ですから、いつも以上にしっかり濃いめの味わいなのに、温度が上がってきてもぼやけることなく飲めるですよ。鶴齢のキリリと引き締める味に、大吟醸故のスマートさが加わって、余韻の愉しさは秀逸でございました。

これもちょっとお燗してみました。37℃。酸が立ち上がって、えぇアミノ酸です。美味い。燗酒の方が旨かったということではないですけど、なかなか普段は味わえない酸の立ち方です。



鳳凰美田 純米大吟醸 無濾過本生 赤判。
飲んだ瞬間わかる、美しき鳳凰美田の味。香りは控えめですが、口に含めば隠し切れない美田香。髭判だったり先日の試験醸造の愛山だったりを思い出す、細面の輪郭です。

最初に飲んだ時点では、鳳凰美田とはわかっても赤判か別誂かはわからなかったんですけど、最後の一本を飲んだ結果、消去法で赤判を選択して正解。


鳳凰美田 大吟醸 原酒 別誂至高。
至高、まさに至高の一本。すごい、なんだろう、飲んだ瞬間の印象は、赤判と同じく大吟醸クラスの鳳凰美田に共通する感覚なんですけど、その後の美しさがあまりに突出してる。そりゃこれが別誂ですよと即断でございます。

なんでしょう、溶けていく感じなんですよ。液体が。液体が溶けるってなに?って感じなんですけど、例えるならそういう表現になってしまう。
特に、花冷えから涼冷え程度の常温まで上がり切らない温度帯、そこでの美しさはここ数年でもトップクラスの衝撃でございます。




と、まぁ贅沢な試飲会でございました。

個人的感想は、鳳凰美田の別誂至高があまりに突出。次点は伯楽星でした。
ただ、お燗をしてみての面白さでは、すてらのナッツ感、大吟醸でも熱燗が旨い伯楽星がこれまた印象的でございました。

余談というかおまけの話ですが、大吟醸のお燗は、乳酸系の旨みではなくてアミノ酸系の旨みが立ってくるという共通点がある気がします。
まぁ滅多にやることもないんですけど、想像する燗酒の味わいとはちょっとずれた位置に旨みのポイントがある、という面白い発見もありました。


九頭龍 大吟醸
黒龍酒造株式会社
精米歩合 五百万石 50%

無風 大吟醸 生原酒 華や香
玉泉堂酒造株式会社
精米歩合 山田錦 50%

すてら 純米大吟醸 本生
稲葉酒造場
精米歩合 五百万石 50%

伯楽星 純米大吟醸 東条秋津山田錦
株式会社新澤醸造店
精米歩合 山田錦 29%

明鏡止水 純米大吟醸 m12
大沢酒造株式会社
精米歩合 山田錦/美山錦 45%

鶴齢 大吟醸 生原酒
青木酒造株式会社
精米歩合 山田錦 48%

鳳凰美田 純米大吟醸 無濾過本生 赤判
小林酒造株式会社
精米歩合 山田錦 40%

鳳凰美田 大吟醸 原酒 別誂至高
小林酒造株式会社
精米歩合 山田錦 35%


取手市 中村酒店さんで開催。


0 件のコメント:

コメントを投稿