2014年9月25日木曜日

相模灘 純米大吟醸 美山錦 25BY

高級酒シリーズ第二弾は、相模灘の純米大吟醸です。

もう随分前のことになりますが、中村酒店さんで開催された相模灘の会がありまして、そのときに蔵元が持ってきてくれたのが相模灘の純米大吟醸でした。隔年でしか発売されず、まだそれほど量を仕込んでない頃のこと。まぁ今どれくらい仕込んでるのか知りませんけど。

その時は利き酒程度を頂いただけですが、今回はぐびっと一升瓶でございます。


冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

香りは優しく、ほんのりと。それも冷えが収まったくらいにようやく立ち昇るか細い印象。そう言えば美山錦ってあまり香る印象がありませんけどどうなんでしょうか。そもそも、美山錦の大吟醸って見たこと無いなぁ。でも相模灘は美山錦が一番美味しい蔵だし、安易に山田錦に流れなくて好印象(笑)

口に含むと普段の相模灘より数段濃厚な甘み。舌の上でわずかに米の香りが爆ぜて、感じ方によっては苦くもあり、単純な綺麗さに終始しない。喉に落とすとくわっと鼻に甘み主体の香り。吟醸香はあるけどしつこくなくて、主体はお米の味と香りという印象。

純米大吟醸の凄みよりも、相模灘の食中酒としての愛され方の方が強く出ている一本でして、甘みだけがやや気になるものの、料理に合わせやすい味でした。

その意味では、美味しくもやや立ち位置がもったいない印象もあり、もっと大きく振れてもいいんじゃないかって気もしますけど。まぁ日頃こういうクラスを飲み慣れてない人種が何を言っても説得力はありませんが。

ともあれ、鑑評会に出てくるような味とは一線を画した美味しさがそこにあったのでした。




相模灘 純米大吟醸 美山錦 25BY
久保田酒造株式会社
精米歩合 美山錦 不明
アルコール度数 16度

2014年9月21日日曜日

鳳凰美田 大吟醸原酒 別誂至高 雫絞斗瓶取り 25BY

めったに書かない高級酒のお話。今回は鳳凰美田の中でも究極の一本、別誂至高でございます。

このお酒は、昨年開催された中村酒店さんの試飲会で初めて飲んで、いやまぁこれは素晴らしいと感服した記憶なのです。今回は改めてグビリと飲める幸せ、至福でございます。

試飲会の記事:
大吟醸立ち飲み試飲会@取手市 中村酒店


冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

立ち香はいつもの鳳凰美田よりも優しく勢いは柔らか。でも一嗅ぎで判る美田香。吟醸香がもう一段凄みを増したかのような濃厚さ。

口に含むとトロリとした食感があり、ジュワッと甘みが広がる。和三盆のイメージがぴったりな、儚げな甘みがタップリと。

そのまま何一つ引っかかりがなく喉まで通過して、最後にフワッともう一度香って喉を通り抜ける。

余韻は意外と長くなくて、心地よく消えていく。この辺りのスマートさはアル添による調整なのかな。美しい余韻なのです。


ほんと、至高の名に相応しい佇まい。いわゆる高級日本酒の部類の中でも、完全に頭ひとつ抜け出てる素晴らしさでございます。

毎日飲みたいお酒とは全く違う、しみじみとこの味を楽しむためのお酒としては、真っ先にこの一本が浮かぶようになってしまうのでした。





鳳凰美田 大吟醸原酒 別誂至高 雫絞斗瓶取り 25BY
小林酒造株式会社
精米歩合 山田錦 35%
アルコール度数 17度以上18度未満

2014年9月11日木曜日

外飲みメモ:龍宮・長雲・兼八・薩摩乃薫・八幡@柏 やまんさん

遠方から来る友人に誘われて、久しぶりのやまんさんでございます。えぇ、開店前から押しかけてすいません。待ちきれなくて。

えー、本日、話に忙しくてほとんど写真を撮ってません。今思えば、冷や汁ってまだやってたのか聞けばよかったとか、なんだか宿題を忘れた気分満載なのですが、しょうがないですよね、美味しくて楽しい時間はいろんなことを放置してしまうものなのです。

とは言え、飲んだものはメモってありますから、呑兵衛の習性って恐ろしい…


スタートはいつものとおり龍宮を炭酸で。この一杯のためにやまんさんに来ていると言っても過言じゃないですな。


続いて、ずっと飲み逃してた長雲の新焼酎をロックで。
通常1年以上寝かせて出荷される長雲の、寝かしてないバージョン。芋焼酎は昨今新焼酎も定番化しつつありますが、黒糖焼酎でここまで新焼酎を謳ったものは珍しい、というか初めて聞いた気がします。

青い、サトウキビの雰囲気がとても強く出てて、それでいてエグみみたいな感じはない。青さのためかいつもの黒糖感は薄めでドライな印象。でも辛いって感じよりはやっぱり青いが先にくる。ふむ、面白いですな。

想像通りと言えばまぁそうなんですが、だからと言ってこの雰囲気をまとってちゃんと商品クオリティになるというのは、蔵の実力値なんでしょうかね。



先月号のdancyuで麦焼酎が特集されてたので、たまには飲むかと兼八を。
普段麦焼酎はほとんど飲みませんが、昔から兼八は大好きです。久しぶりなのでロックで。記憶ほど香ばしくなかったのは、やっぱりお湯で飲めって話だったんでしょうか。うーん。いや、美味しかったんですよ、もちろん。


次は薩摩乃薫の白楽をお湯割りで。
初めて飲みます。純黒とか黒麹のイメージが強い蔵元ですが、これはコセド酒店さんプロデュースの白麹モノなんだとか。

思った以上に軽くて軽やかで、これはお湯じゃなかったかな。ロックがよかったかも。うーん、兼八と飲み方を逆にしてしまったですよ。まぁ自分で選択してんだからしょうがない…



最後は八幡の前割を二種類。

やまんの店主の下間さんが、蔵に行った際に分けてもらってきた蔵の湧水と仕込水のそれぞれで前割を作ったんですね。同じ敷地内の水でも井戸が違うと風味が異なるんだそうで、実際この二つは明確に味が異なるからお酒は奥が深い。

湧水のほうは柔らかく深い味に、仕込水はサクッとスッキリ。一般的に仕込水の方が親和性が高いイメージで、もちろん仕込水バージョンも美味しい。というか、よく馴染んである意味正しく薄めているという感じなのです。
一方湧水は、新たな味を足したというか変化させたという意味で、親和性だけじゃない相性だったんだなぁと。

しかしよく二種類の水をもらってこようと思ったですよねぇ、もう、マニアック。



食事は適当にお任せして、やまんの名物をひと通りと言った塩梅。ガツガツ食べて、グビグビ飲んで、ワイワイ語らってと、えぇ、幸せでございました。


そんなやまんさん、めでたく3周年でございます。
( ゚Д゚ノノ☆パチパチパチパチ

僕が初めておじゃましたのが2周年の頃なので、まだ1年のお付き合いなんですねぇ。居心地良すぎて馴染みすぎて、なんだかお店自体も数十年やってて、そこにもう数十年通ってるった感覚なのですが、えぇ、実際にそんな日が来るのが待ち遠しいのであります。


やまん
千葉県柏市東上町2-3
04-7163-6602

2014年9月7日日曜日

外飲みメモ:自家醸造ビール5種@浅草 Campion Aleさん

浅草にある自家醸造ビールが飲めるお店、Campion Aleさんに行ってきました。

ビールは好きですが、それほど詳しいわけじゃないんです。むしろ我が家のビール党は奥さんでして、こちらのお店もどこで聞いたか調べたか、行ってみたいというお話なのです。

浅草駅からてくてく数分、かっぱ橋との中間くらいにお店はあります。



自家醸造ビール、ワインとかその他のお酒が少々にソフトドリンク。ちょっとおつまみ。



いろんな本で紹介されてるようですな。



そうか、ここで醸造してるから、これは浅草地ビールなのか。



ちょうどお客さんがいなくなったので、店内を奥から。風情がありますなぁ。これは1階で、2階でも飲めるそうです。



カウンターの後ろにはサーブタンク。これは350Lのタンクで、だいたい300Lくらいを仕込んでここに移すんだそうです。このタンクから直接サーバーに繋がってるから、鮮度という意味ではこれ以上ないわけでして。



スタートは軽めのものから。
左がWHEAT、要するに小麦で作ったビール。右はGOLDEN、柑橘系香る爽やかなものだそうです。


WHEAT。
酸味が特徴的で、分かりやすく軽め。ちょっとインパクトに欠ける味わいは、暑いときにぐびぐび飲むに最適でしょうか。僕はこんな感じでぼちぼち程度だったのですが、奥さんは気に入ってましたな。

GOLDEN。
香ばしさ全開。焼き海苔とかそんな風味にも感じる。香りは粉っぽいというよりは、生の穀物の香り、湿った印象で、あまり記憶に無い風情です。柑橘系の印象も確かにありますけど、それよりは穀物感の方が強いかな。美味しいなぁ。



次はちょっと濃い目で。左がSCOTTISH ALEでちょっと濃い目の香ばしい奴。右がBITTERで定番というかスタンダードなもの。


SCOTTISH ALE。
麦茶と同じくらいの麦香が立ち香。含むと焦げた香りが口中を支配して、それが次第に甘みというか旨味というか、口の中で味が消化されていく感じ。でも濃い味なのかと聞かれると、軽いと答えたくなるんよね、爽やかやし。でも色相応の濃さの満足度も同居してて非常に面白い。
ちょっと時間が経つと酸味が苦味の中に湧いてきて、さらに軽やかに。面白い。

ちなみにこれだけは1 Pintで飲んでて、他は全て2/3 Pintです。量の段階が親切ですな。

これは奥さんがメインで飲むから1 Pintを頼んでて、曰くアイリッシュビールはぬるくなってからの味の変化が楽しいから、1 Pintでまったり飲まないと損した気分とのこと。なるほどなー。


BITTER。
トロピカルな含み香。でも後味はビター、確かに。軽くてもパンチがあり、味の強さで炭酸を感じない。でもやっぱり残る香りは淡く香ばしく麦。どちらかと言うと、わかりやすいトロピカル感というよりはトロピカルフルーツのちょっと癖のある香りなのかな。



最後は黒いの、PORTERで締め。

ぐっと香りは控えめ。正統派の黒い奴。香りじゃなくて味に華やかさもあり、印象深い。そして味のバランスが良くて、他の4種と比べて完成度が高い印象。他のビールの方が面白い側面があるけど、旨さだけならこれが一番だった気がします。



相棒はミートパイとサラダ。美味しいけど、うーん、イギリスやねぇって感じのちょっとディスりたくなる味でもあるます。

偏見がガッツリ入ってると思うけど、アイリッシュパブで頼む料理って、手が込んだものほど味がぼんやりしちゃう気がするんですよね。多分、日頃のスリランカ、パキスタンカレーの複雑かつガツンと心地よいスパイスに慣れてるからなんだと思いますが。




基本的には常時3種類のビールが提供されてて、運が良いと今回みたいに5つのタンクが全てサーブされるということもあるのだそうです。

完成度はPORTER、好みは、うーん、決めきれないけどGOLDENかなぁ。でも面白さはSCOTTISH ALEがよかったし、あー、これはなかなかお気に入りを決めきれない。つまりはまた行って、その時のビールをグビグビ飲みたいものですなぁ。


ちなみに週末は12時から開いてて、今回も14時過ぎからのがっつり昼飲み。たまらんですなー。


Campion Ale
東京都台東区西浅草2-2-2
03-6231-6554

2014年9月3日水曜日

喜久醉 特別純米

心の酒である喜久醉、今回は特別純米です。

えぇ、我が家で喜久醉といえば特別本醸造のことなのですが、先日蔵にお邪魔したときに並べて試飲させてもらったら、あら不思議、喜久醉にしてはちょっともっさりイメージのあった純米が軽やかじゃないですか。特本から辛さを抜いたと言いますか、その分ちょっとグラマラスな味でして、記憶っていい加減やなぁと思った次第なのです。

ということで、改めてちゃんと飲まなきゃってことで一升瓶でございます。


うん、所謂純米酒でイメージする感じはほとんどなくて、ただただひたすらに美しい。純米酒ってどうしてもお米の味が強く出る傾向ですから、下手な純米酒だとぼんやりするんですよね。
そんな感じは皆無でして、端正で整った、辛くないけどエッジの立った、磨かれた鏡のような印象なのです。

ほんのり吟醸香が香りますけど主張は強くない。だから飲み飽きしないどころか癖になる。先日伺ったときに聞いた話では、甘さはドライに倒してるってことでしたので、以前よりも好みに合致したということなのかもしれません。

そんなこんなで、ドライさと香りのバランスがよくて、全体的な印象は以前よりも華やかな気がします。だけど、華やいだけど、飲みくちはスマートさを増して美しく軽やかなんですよね。吟醸香の部分だけ置いておけば、多分そこら辺の大吟醸クラスに負けないどころか遥か上を行くクオリティなんですよ、えぇ。


せっかく久しぶりにちゃんと飲みますから、今回は酒器というか口当たりの違いを確認します。
一般的な利き猪口と、うすはりグラスを用意。

圧倒的にうすはりグラスが美味い。うすはりグラスに比べれば丸みのある利き猪口のエッジ部分は、味を柔らかくする印象です。それがせっかくの端正な佇まいを崩すんですね。あまりの明確さにビックリなのです。

この酒器の特徴を浮き彫りにする感じって、ドナルド・フェイゲンのThe Nightflyが音質チェックの定番とか言われるみたいに、一つの基準点のようなお酒だなぁとしみじみ感動なのです。





喜久醉 特別純米
青島酒造株式会社
精米歩合 60%
アルコール度数 15度以上16度未満


取手市 中村酒店さんで購入。