2013年11月7日木曜日

来福 純米吟醸 生原酒 播州産愛船206号 24BY

幻のお米と言われる愛船206号を使った来福、純米吟醸の生原酒です。

愛船、愛山の父ちゃんとして名は知られてるものの、これまでに飲んだことないお米です。
正体を探るべく調べてみると、実は愛船は同じ親から2種類生まれてるんですね。

1つが愛船117号、もう1つがこの愛船206号なんだそうです。
愛山の父親となったのは愛船117号で、この愛船206号は一般的には兵庫雄町と呼ばれていた品種だそうです。
残念ながら117号と206号の違いが何なのかは判りませんでした。どなたかご存知なら教えて下さいませ。

そんなわけで、愛船兄弟がどれくらい違うのかという謎はありつつ、でも愛山の親となった系譜に連なるお米ということです。なかなか飲めないお米ですから、じっくりと味わってみたいと思います。


冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

愛山より艶のある甘い香り。吟醸香と相まって濃密。

甘さも旨みもたっぷりで、まさに来福という味。後味に出る苦味が気になるけど、これは多分冷えのせいかな。

少し温度が上がれば苦味は気にならなくなり、全体に骨太のコクが行き渡る。
蜜が絡まるように舌に残る後味は、後にじんわりと辛味に変わり、鼻に抜けば上質の吟醸香が愉しめる。この辺りはお米の特徴というより来福さんの特徴も多分に出てると思います。

米の味が濃厚に出るからか、甘みの割に食中に向く。濃くても軽快じゃなくても、食べながらで大丈夫。


タラチリと合わせる。
淡白な鱈にコクが染み込んでとても良い。鍋を引き立てて、ではなくて、引っぱってくるような印象ですが。



2日目。
昨日より濃厚で、甘みが控えめになる。濃い米の味を舌の上で転がすと、吟醸香がふわりと鼻に抜ける。
軽い酸味と苦味がじわりと後味となって口中を満たし、昨日の蜜のような味わいよりも一歩大人なビターさが楽しめます。

いい意味で熟れたという雰囲気ですが、意外と変化が早かったなという気がします。まぁ空気に触れて味が変わるというか定まるのはよくある話ですが、なんとなく初日の印象ではそれほど変わらないだろうなと思ったんですよね。



4日目。
冷えのせいもあると思うけど、ちと旨みに物足りなさを感じ始める。
2日目の印象が、意外と変化したということですから、その後の変化も継続して進んだということでしょうか。決して不味くなり始めたとかそういうことではないのですが、ピークじゃないなという印象です。



8日目。
味が定まった。ぐっと旨味が纏まった。塊のような印象。
後味に吟醸香が香り、でももっさりはせずきりっとした辛味がほんのり。

ピークは過ぎたと思ってたんですが、持ち直したというかここで落ち着きましたかというか、まぁ実力値高いですね。すいません、自分、ナメてました。



ということで、予想外に後になっても良い変化でした。面白く美味しくなった最終日、このままもう少し飲みたかったのですが、残念ながら完飲してしまったわけです。







酒屋さんで聞いたところによると、この愛船206号というお米、今回の仕込みに使ったお米を作られてる農家さんが、農業自体を辞めてしまわれたそうなんです。なのでもう来年は飲めないお酒。

新しいお米が開発されている昨今、古いお米は必然的に淘汰されていくわけです。それを惜しんでばかりはいられませんが、一抹の寂しさを感じないわけにはいられません。
(´・ω・`)ショボーン


鑑評会のお酒のために必要なお米だと、最終的に条件が収斂していくから使(う|いたい)お米も絞られていくんでしょう。でもそういう美味しさを求めることだけじゃない楽しみが日本酒にはあると思ってまして、その一例がお米の違いによる比較だと思うんですよね。
なくならないでほしいなぁ。


来福 純米吟醸 生原酒 播州産愛船206号 24BY
来福酒造株式会社
精米歩合 愛船206号 50%
酸度 1.7
日本酒度 +2
アルコール度数 17度


取手市 中村酒店さんで購入。

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