華鳩と言えば貴醸酒でして、これまで我が家で飲んだ華鳩は貴醸酒だけでした。普通のと言うとあれですが、通常の日本酒も飲んでみたかったに何故か果たせぬままだったんです。
広島の酒蔵ですから、八反錦が真骨頂。ある意味初めての華鳩にふさわしい一本でございます。
冷蔵庫から出しの冷や冷やで開栓。
ふわっと酸を感じる美しい香り。優雅な印象です。
口に含むと、全体的な印象は美しさ。香り同様に、品のある柔らかな舌触りで雑味を感じない。
そんな中で酸味は強すぎず、でもはっきりした輪郭を持っていて、舌を軽く刺激する。それがキリッと主張するけど、質がよく美しいから上品さを保ったまま。
後味で乳酸系の余韻が楽しめ、その時には酸味は儚げに消えている。甘さと酸味がひとつになって消えていく様は、なんとも儚げでやさしい。
秋刀魚刺しと合わせる。
サラリと脂に旨みが溶け込み身を溶かし、もう全く何事もなかったようにひとつになる。
ちなみに今日のお魚達は、日立おさかなセンターで購入。
震災後そんなに経ってない頃にお邪魔した時は、もうここはダメかもしれんと思ってしまうほどの活気の無さで悲しくなっていました。ですが、久しぶりにお邪魔すると遅い時間にも関わらずなかなかの盛況ぶりで。
目光とミズダコの唐揚げ。
米味が油と拮抗するし、ほろほろのメヒカリの身に染み入る爽やかな酸味。
タコの旨みと塩気には甘みがスマートに中和するわけです。
いやぁ、めちゃくちゃ合いますなぁ。
目光は地物で、目光という名の通りのキラキラとした目で、持ってもピンピンですしお腹もまだしっかりしている鮮度抜群の物。しまったなぁ、揚げる前の写真も撮っておけばよかった。
ミズダコも地物、久慈浜で揚がったものです。
ぬめりを取って軽く茹で、もちろんこの状態で食べても美味しいんですが、ちょっと小ぶりなので唐揚げに。ぷりっとブリっと噛みしめると旨みが出てくる食感。
生牡蠣。
レモンにも負けず、ミルキーにも負けず、一体となれる存在感。
時期外れの牡蠣はさすがに身が薄く、思わず買ってしまったことを後悔。いつも思ってるんですけどね、旬のものだけ食べときゃいいのにって。
でもその身の薄さの割りには味は濃く、ミルキーさもそれなりに。季節じゃない時に食べる贅沢もあるよねって言い訳を認めるからいけないんでしょうねぇ。
サブジ。
香る香辛料と乳酸が非常に合う。
いかんとも野菜が足りなくての奥さん作。さすがにスパイスがきついかと思いきや、キレイな酒質はなんでも受け入れます。
そして後味の乳酸が香りを抱き込むように纏めて、充実の相性です。
呉のお酒ですから、海のものには合うはずと思ってましたが、こんなにどの魚にも合うとは思いませんでした。というか、スパイスにまで大丈夫だなんて。
吟醸造りですが吟醸香は大人しく、上品さの中に潜んでいます。そのおかげなのか、非常に食中酒として優秀でして、いやまぁ杯が進むことこの上ありませんでした。べた褒め。ほんと。
この上品な穏やかさが華鳩全体の個性なのかこのお酒だけなのかは、次回華鳩を飲む時の宿題でございます。これは他のも試したいなぁ。
ともあれ、奥さんの誕生日を祝うにふさわしい良酒をありがとうございましたということなのです。
華鳩 純米吟醸 ちからいっぱい今を咲く
榎酒造株式会社
精米歩合 八反錦 58%
酸度 1.3
日本酒度 +3
アルコール度数 15度
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