我が家でも季節ものでは外せない銘柄である正雪。正雪と言えば山影純悦杜氏、名杜氏としてファンも多い方でございます。
そんな山影杜氏の支えられきた正雪ですが、そろそろ世代交代を考え、蔵人である崎村勉氏による初めての仕込みが登場したのです。
正雪のラベルはいつもシンプルなんですが、そんないつもの字体の後ろには決意の程がガッツリと書き込まれています。
こういうのは読まなきゃ気が済みませんから、じみじみ読んで見ます。
多分合ってると思いますが、どうなんでしょうか。ちなみに空太郎さんのブログにもこのラベルの全文が載ってますが、ぐっと我慢してカンニングしませんでした。後で答え合わせをしようw崎村勉 三七歳渾身の処女作温暖な気候だが知る人ぞ知る酒どころ・静岡。そのほぼ中央、東海道十七番目の宿場町である静岡市由比に神沢川酒造はある。江戸時代の軍学者、由井正雪の名を持つ銘酒「正雪」。その真髄は、甘、辛、苦、渋、酸の五つの味と、爽やかな風合いとを調和させることにある。「飲み飽きせず、盃のすすむように」と醸す酒は、日々さらなる高みを求め、姿を変えていくことを厭わない。「CHALLENGE」を恐れないその姿勢から生み出された新たな正雪-それこそがこの「正雪 CHALLENGE」だ。今回初めて造りに挑んだ崎村勉は、神沢川酒造場で長年杜氏を努めた山影純悦のもとで技を継承する若き蔵人。「今までの正雪に、何か違うものをプラスできれば…」と新たな挑戦に意気込む。こうして試行錯誤の末できた酒は、スッキリとして飲み飽きない正雪らしさはそのままに、若々しく優しい味わいに仕上がっている。麹には一際力を入れた甲斐があった、と語る穏やかな笑顔からは、力を尽くした満足感と、出来栄えに対する自身が見てとれる。人生にも酒造りにも、決して明けない夜はない若き蔵人の挑戦は、まだ…始まったばかりだ。正統派であり革新的。
実はこのお酒、入荷したのは7月の初旬ともう結構前でして、酒屋さんで到着ホヤホヤを試飲させて頂きました。
その時は、正雪らしい旨みが足りず、ちょっと味が散らかってる印象、なんてまぁ上から目線の感想だったのです。
ところが、開栓してから数日置きに試飲すると段々味がまとまり、じんわりと正雪らしさが出てきたのです。えぇ、つまりは数日おきに酒屋に行ってたってことなんですが。
まぁそんなわけでして、焦って飲まずにちょっと熟成させるかなという気分で夏を越してみました。
冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。
乳酸の落ち着いた香りがほんのり漂う。吟醸香は強くなく、ミルキーな印象。ここまでは正雪の印象に近い。
口に含むと、米の甘みが舌を覆い、味の塊のまま喉まで進む。出た当初の試飲に比べてずいぶん味がまとまった印象を受ける
刺激はなく静岡酒らしく酸もキレイで儚げ。正雪の雰囲気は良く出ていて美味しい。ただ思ったより甘みが強いのが、それがプラスしたものなのか、ラベルで優しいと表現される部分なのでしょうか。
その甘みは、喉に落としたあとに残るコメの余韻となって長く感じられ、充実した味わいとなる。
山芋マグロと合わせる。
マグロの旨みと醤油が交るとより濃厚な味になり、脹らみが心地よい。食に合わせることで味が映える印象で、しっかりとした旨みが湧き上がった。
…
3日目。
濃さが増して甘さが全面に出なくなった。厚みのある味わいは、綺麗な酸の静岡らしさがありつつも、ガツンと旨みが香る正雪らしさのひとつ。
吟醸にしてはバナナのようなあの香りはまだ足りないが、飲んで感じる姿はちゃんと正雪だなぁと。
秋刀魚の刺身と合わせる。
海の香り、醤油の香りと旨みが良く混じり合い、非常によく合う印象。
砂肝のコンフィと合わせる。
ハーブとの相性は決して悪く無いと思うのだが、鶏のいうか肉の旨みにやや押されている気がする。
…
5日目。
冷えて甘みがよく抑えられてる。これくらいはキレと旨味がキレイに立ち、ぼやける感じがない。
コクはコメの味全開で、米米しいとはまさのこのこと。
今日が一番うまいとは奥さんの言葉だけど、同意せざるを得ないなぁ。
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7日目。
残りもほんの僅かだから今日で飲み切り。
少し味が解け始めた。そろそろ限界かな。舌の上の旨みが物足りなくなる。
…
「処女作にして云々」はなんて偉そうに言うつもりは無かったんですが、それでも最初の1本としてはものすごくいい出来だったですよねと言わざるを得ません。
出荷すぐの味はまだちょっと若かったですけど、空気に触れさせることで纏まりが生まれたわけでして、こうやってしばらく寝かせた結果は非常に良かったです。
甘みの立ち方を思うと、本当の飲み頃は1ヶ月前だったかなという気もしますけど。
正雪は美味しいお酒だと思ってますが、基本的には季節ものしか飲んでないんですよ。そんな「にわかファン」でも正雪の味という記憶はちゃんとあるわけですから、蔵の味、杜氏の味が定まったお酒の跡を継ぐというは大変なプレッシャーなんだと推察します。
でも1本目からその重責を担うにふさわしい味を作り上げられたわけですから、仮にこれまでの正雪の味から変わっていったとしても、美味しく頂けるだろうなという嬉しい期待をして新酒を待ちたいと思います。
正雪 純米吟醸 CHALLENGE 24BY
株式会社神沢川酒造場
精米歩合 五百万石 50%
アルコール度数 15度以上16度未満
取手市 中村酒店さんで購入。
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