2013年10月30日水曜日

外飲みメモ:龍宮・まーらん船・開運・黒糖インペリアルスタウト@柏 やまんさん

一ヶ月ぶりにおじゃましたと思えば、翌週もおじゃましちゃうこともあります。柏のやまんさんです。

そこで飲んだのは、酒好きには堪らないモノたち。


開運 純米大吟醸 雄町 作波瀬正吉 12BY。

2009年に亡くなられてからは、名杜氏の味を伝承する伝波瀬正吉という名前の純米大吟醸が発売されていますが、これは杜氏ご本人の生前の作品。蔵で貯蔵してあったものが少しだけ出荷されたとのことです。

静岡酒が大好物の僕としては、もちろん開運も愛する銘柄の一つです。亡くなられた当時、波瀬杜氏の遺作となった年のお酒も飲んでます。もちろんこのクラスのお酒ではありませんが。

さてそんな名品の12BY、一杯頂いてみます。

立ち香は薄くほんのりとドライな香り。
口に含むとビター、紫蘇、ローズマリー、複雑。甘みは薄く、舌触りはしっとり、でも喉ではツルッとする。固い苦味がアクセント。

コテコテな熟成じゃないですから、おそらく氷温貯蔵とかでじっくり寝てたのだと想像します。
熟成感はあるのですが、12BYとは思えない柔らかい熟し方。静岡のお酒の長期熟成は飲んだことがありませんが、そもそも酸のキレイな酒質に対して熟成向きの印象はありませんでした。まぁありませんというか、飲んだことないからそりゃないわけですけど。

ともかく、研ぎ澄まされた品の極地のような風情に波風を立たせる年月の複雑さ、飲んだことがない味との出会いです。

単純な旨みは少々物足りなくなっていますが、日本酒ってそれだけが大事じゃないですねぇと感じ入る味でございます。





もう一本、面白いものを頂きました。黒糖インペリアルスタウト。
島根ビールさんが醸す濃厚な一本です。

このお酒、使っている黒糖が黒糖焼酎のまーらん舟と同じ、徳之島は徳南製糖さんの純黒糖なんですね。ちらっと聞いた話では、まーらん舟の蔵元の富田さんが徳南製糖さんを紹介したんだとか。聞き違いでしたらすいません、結構酔っ払ってる時間帯に聞いたもので。

まぁともかくそんな縁もありまして、9月には黒糖インペリアルスタウトとまーらん舟を飲み比べる会が全国で開催されたりもしています。やまんさんも参加されてたのですが、我が家は所用で関東を離れており、飲みにいけなくて無念だったわけです。

ところがまだ残ってるよということで、一本頂いてみることに。
いやぁ、なんとも凝縮された黒糖のミネラル感。重い、ずしっとくる飲み心地は、普段ビールに求めるものとは正反対の存在感。スタウトはこうでなきゃと膝を打つ重々しさです。

ちなみにまーらん舟のソーダ割りも同時に飲んでまして、比べると確かに面白い比較ができます。
濃密な甘み由来のコクが香りにたっぷり含まれて、深い余韻を感じるまーらん舟。一方の黒糖インペリアルスタウトは上述の通りジトッと舌に残るミネラル由来のコク。
醸造酒と蒸留酒の違いが、元の黒糖を2つに割ったかのようです。

ちなみに瓶に左奥にチラッと見える茶色いものは、徳南製糖さんの生黒糖。
これまでも龍宮やまーらん舟のアテとして登場してきたわけですが、本日、元の黒糖を舐めながら、そこから生まれでた醸造酒と蒸留酒を味わうという堪らない状況なわけです。



とまぁ愉快なお酒を楽しんだわけですが、他にも龍宮をソーダ割りだったりお湯割りだったり、グビリと頂いております。


そして美味しい料理たち。

地魚の煮付け。写真を撮る前に食べられてますがw
白身の身に薄く染み入り、適度に絡められる煮汁は濁りのない美しさ。たまらんです。



地魚のカルパッチョ。本日はカンパチ。
かなり主張がある薬味がたっぷりなのに、最終的には魚の味が美味いとなるのは不思議です。



地魚のグリル。本日はオコゼとイサキ。
毎回食べてますから、今日こそ違うものを食べようと思いつつ、結局食べちゃう魔性の一品。今日も敗北です。いや、食べたんだから勝利ですか。



桜納豆。今我が家で最もホットな一品。タレ味が緩やかで、納豆と馬肉の旨みが浮き出てくる。



この日はとあるゲストの方とご一緒させて頂きまして、振り返ると話に夢中で、特に後半はあまり食べてなかったですよ。その分飲んだ気がしますが。

毎度お邪魔すると長っ尻で恐縮なんですが、絶妙に居心地がいいんだからしょうがないと開き直っておきます。


開運 純米大吟醸 雄町 作波瀬正吉 12BY
株式会社土井酒造場
精米歩合 雄町93%/山田錦7% 45%
日本酒度 +6
アルコール度数 16度以上17度未満


やまん
千葉県柏市東上町2-3
04-7163-6602

2013年10月28日月曜日

浅柄野 レッドミルレンニューム 2012

滋賀県の栗東ワイナリーさん、浅柄野  レッドミルレンニュームの2012です。

たまにお邪魔する酒屋さんに日本酒を買いに行ったら、話が弾んでワインを買って帰ったというお話なのです。

こちらのワイナリーは、自社のブドウ園で栽培したブドウからワインを醸していらっしゃる歴史ある蔵で、太田酒造さんのワイン部門でございます。日本酒は道灌という銘柄。そうです、あの戦国武将の太田道灌の子孫だからなんです。

ワインには疎いですから、このレッドミルレンニュームという品種も全く存じておりません。でも、かの川上善兵衛氏が日本に根付かせた古き良き品種と聞けば、それは試さずにはいられないということなのです。
ちなみにこの品種を使ったワイン自体が日本では非常に少なく、そんな意味でも希少なんだとか。
弱いなー、希少とか限定とかにw


冷やして飲むタイプとのことでしたので、涼冷え程度まで冷やして開栓です。

開けた途端に広がる香り。強く若くフレッシュ、でも丸い。艷やかと言うよりは少しくすんだ、ちょっと憂いのある香り。ラベルにはライチの香りとありますが、なるほど、そう言われてみれば納得です。

口に含むと甘くて爽やか。十分な甘さがジュースのようではあるものの、軽い酸味が喉越しをさっぱりさせ、ベタつかず心地よい。

鼻に抜ける香りは立ち香よりも一段シンプルなフレッシュブドウ。余韻は短く、キリッとキレるのは味も香りも同じです。ベタベタもったりしないのがとても好印象です。

意外としっかり冷やしたほうが良さげな気がして、もう一度冷やし直して花冷えへ。
ふむ、この方が甘さがスマートに感じるから、なお上品。


戻り鰹、刺身。
ちょっと厳しい組合せかなと思いきや、血の香りを爽やかに流し、負けたり喧嘩したりすることない。意外と強い味だなぁ。

別に食事と合わせても問題なく美味しかったけど、甘さがちょっと気にならないでもない。もっと軽いものと合わせたほうが真価が発揮するんじゃないかと。

ということで、食後のおつまみにカマンベールチーズと。
なるほど、甘さを逃がすというか収まりどころがあるものと合わせると、一層のフレッシュ感が残りよい印象でしたか。


あっという間に空けてしまいましたが、非常に美味しかったです。甘口ワインを好む人には、特に好印象ではないでしょうか。
一方で、美味しいとはいえ甘さが若干気になることもあり、食事への合わせ方はちょっと選ぶような気がします。

とか思ってたら、蔵のページにも「よく冷やして食前、食後にお楽しみください。」とあります。印象は間違ってなかったんだなぁと思いつつ、ラベルにも書いてて欲しかったですよ。


ということでして、ブドウ感がみずみずしく強く、若くても満足度が高い、完成度が高いと感じる一本でございました。

日常のワインとしてまた購入したいなぁと思いつつ、4000本しか醸造してないならそんなに気軽には手に入らないかなとか思ったり。






浅柄野 レッドミルレンニューム 2012
太田酒造株式会社 栗東ワイナリー
アルコール度数 10度以上11度未満


水戸市 地酒蔵きなせさんで購入。

2013年10月26日土曜日

伯楽星 純米吟醸 冷卸 24BY

2013年の冷卸第10弾は、伯楽星の純米吟醸です。
今年の新澤醸造店さんの冷卸は全部で4種類、今回全て入手しておりまして、その3本目でございます。

伯楽星はなんとなく特別純米を飲むことが多いのですが、たまには純米吟醸も飲みたくなります。今回はたまたま冷卸の時期。24BYの純米吟醸は初めて飲む気がします。こう振り返ると、新酒も飲んどきゃよかったって思うんですが、そんなこと言い始めたら世の中の全てのお酒を飲んでみたくなるわけですから、バカに付ける薬はないわけなんです。


さて、冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

香りはごく控えめ。まぁこれは冷えすぎてるせいもあります。ちょっと置けば、あの乳酸系の優しい香りが、何時もよりキレイに立ち上ります。吟醸香自体は薄いのですが、上品さやキレイさに昇華されて含まれている印象です。

口に含むと濃厚爽やか。フルーティーで香り高く、甘みと乳酸系のコクが舌をじんわり刺激する。

後味は、鼻に抜ける吟醸香を含む米の香りがリッチで芳醇。でも辛味というには繊細な切れ味がもったりさせない。
空気を含ませ鼻に抜くと、ネーブルのような甘みの強い柑橘の薫り。

結構濃厚で旨みがあるのですが、べたついた感じが全くないのは業界平均の半分ほどに抑えてるという糖度コントロールの妙なのでしょう。さらりと喉に落ち、いつまででも飲み続けられます。

新澤醸造店さんのお酒は冷えがキツイとどうしても苦味が出る印象が残ってるんですが、これはそんなことなく初っ端から美しい旨みが楽しめます。よく乗った旨みのおかげなのでしょうか。やっぱり新酒との比較をすれば良かったとグチグチ言いたくなります。


真鯛の中華風サラダ。
まぁ何味というと奥さん謹製のオリジナルな味なんですが、胡麻油が香るから中華風と言っておきます。真鯛は3時間くらい前まで生きてたやつですから、鮮度のおかげでプリっとした佇まい。皮を残して炙り薄造り。充実の旨みと香りと食感です。皮目から滲む脂と胡麻油が絡んだ旨みは、伯楽星の米味が程よく溶かして新しい味に。伯楽星はドレッシングなんじゃないかと思える溶け込みっぷりです。

同時にシンプルなイナダの刺身(これも活き締め仕立ての激ウマ食感)と合わせてまして、もちろんこの組合せも美味しかったのですが、色々な味が入っている中華風サラダのほうが相性がよかったんですね。
和洋中を問わず、どんな料理にも寄り添うどころか新たな境地を見せてくれるのは、伯楽星の妙技なんじゃないかと思った次第なんです。こういう味わいを知ると、伯楽星には和食よりもフレンチとかイタリアンと合わせてみたくなります。



2日目。
昨日と同じく冷や冷やだけど、今日は苦いなぁ。まぁ、新澤さんらしいということなんですが。

しばしおいて温度を上げてみる。
苦味は程々落ち着くけど、アルコール感が気になる。

もう少し上げて涼冷え程度。
妙に酸が強い。いつもの乳酸ではなくて、割りとがツンとしびれる酸。

今年のあたごのまつの夏酒ひやおろしについては、伯楽星に寄った印象を受けてるんですが、一方で伯楽星はあたごのまつに寄った印象なんですね。妙にジュワってくる。今日の酸味もその一環でしょうか。

だからといって、伯楽星とあたごのまつの味が近づいたかと言われるとやっぱりちょっと違って、そこが糖度の差なんでしょうかどうなんでしょうか。やはり一度お話を伺ってみたいと思います。



5日目。
3日目に飲んでた奥さんが、妙にアルコール感が強いと言ってたんだけど、適度に冷えてるうちは気にならない。

開けたてに比べて旨味と苦味がやや強くなり、キレイさを飛び越えてきたかな。
純米がそんな感じじゃなかったから、吟醸香がこの要因なのかなぁと邪推する。


サルエビの塩茹。
海老の旨みが酒のビターな部分と結びつき、非常に美味しい。好印象な組合せ。

戻り鰹の刺し身。
ちょっと苦味とぶつかる。

今年の伯楽星は旨みが強い気がしてて、それが表に出過ぎると感じるとき、まぁお酒の温度帯とか自分の体調とかですけど、食べ物とぶつかる時がある気がする。

とは言え、大変美味しく頂いたわけですが、特別純米の方が食中酒を標榜するにはふさわしいかなという認識でございます。





伯楽星 純米吟醸 冷卸 24BY
株式会社新澤醸造店
精米歩合 55%
アルコール度数 16度


取手市 中村酒店さんで購入。

2013年10月24日木曜日

麓井 吟醸 輝ら星の如く 生詰原酒 ひやおろし 24BY

2013年の冷卸第9弾は、愛するお星様、麓井の吟醸、輝ら星の如くです。

吟醸の生詰原酒は去年も飲んでますが、ひやおろしの頃じゃなくて11月出荷のもの。今までの感覚では年末のお酒なんですよね。ひやおろしの記憶がないんです。

そもそも、もう何年前だろう、10年以上前のことですが、輝ら星はある年のベストワンだったんです。その時も年末だか年明けだかに飲んでまして、その時期の印象が強く残ってるんです。

というわけで、秋に飲む輝ら星、どんな感じでしょうか。


冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

柔らかな吟醸香。夏酒よりは香るけど、静かに、そして米の香りと絡み合った風情。

口に含むと、苦味をほんのり湛えたトロッとした舌触り。舌の上では米の旨みが横たわる。

生酛だねぇと思うとキレイな乳酸だなぁレベルでしょって雰囲気になるし、キレイな酒だなぁと思うと生酛らしい奥行きが沸き立つ。
ズブズブの気難しい味ではなくて、人にも料理にも寄り添う味でございます。

記憶の味と比較すると、華やかさがちょっと足りないかもしれない。もう少し吟醸香が香るし、それをまとった旨みがジュってなる記憶。
その反面、温度の変化で味が変わりにくく、飲み続けやすい味わいとは奥様の言葉。なるほど、だからそんなにグビグビ飲んじゃうんですね。


秋刀魚の刺し身と合わせる。
ふむ、ねっとり脂との相性はよいけど、これ以上ない組合せとまではいかない。

砂肝のコンフィと合わせる。
これもなかなか。でもコンフィの強さに対峙するには、ちょっと旨みが物足りないかも。



3日目。
いろいろ削ぎ落とされて味が固まった印象。
熟成とはまた違ったコク、濃さ、苦味があって、生酛の真骨頂が味の骨格として、でも前面にしゃしゃり出ずに隠されている。


今年初の鍋。海鮮鍋。
鍋にしたものの熱燗をするのはめんどくさい、というか我が家の熱燗はストーブを出してから湯煎するのが定番なので、今日の所は生酛のコクで張り合ってもらう。

魚出汁のコクを溶かしこみ、それでいて麓井の味は消えない素晴らしい相性。白身だったり秋鮭だったりとの相性もいいけど、それ以上にスープ本体と合う。スープは味噌仕立ての濃厚海鮮出汁でして、発酵物と魚介が良い日本酒に合わないわけはないのは自明でして、まぁ参考にもならない当たり前の話ではありますがw



非常に飲みやすく、だからといって単純単調な味ではなくて、生酛の旨みもしっかりある良酒でございました。でももう少し、年末まで置いておくと、更に充実の華やぎまで加わることを知っているわけでして、ちょっと今飲むのは勿体無かなぁなんて思ってしまいます。

でも、軽快とは違う飲み飽きなさ、料理との合わせやすさは、充実の麓井とはまた違った味わいとも言えるわけで、夏から秋の変化を体感するには面白い時期でもあります。

こうなると、年末の味のり最高潮でも飲まなきゃいけないなぁと思うわけでして、今から楽しみなんであります。








麓井 吟醸 輝ら星の如く 生詰原酒 ひやおろし 24BY
麓井酒造株式会社
精米歩合 50%
アルコール度数 18度


取手市 中村酒店さんで購入。

2013年10月22日火曜日

正雪 純米吟醸 CHALLENGE 24BY

正雪の次世代のお酒、CHALLENGEです。

我が家でも季節ものでは外せない銘柄である正雪。正雪と言えば山影純悦杜氏、名杜氏としてファンも多い方でございます。

そんな山影杜氏の支えられきた正雪ですが、そろそろ世代交代を考え、蔵人である崎村勉氏による初めての仕込みが登場したのです。

正雪のラベルはいつもシンプルなんですが、そんないつもの字体の後ろには決意の程がガッツリと書き込まれています。

こういうのは読まなきゃ気が済みませんから、じみじみ読んで見ます。
崎村勉 三七歳
渾身の処女作
温暖な気候だが知る人ぞ知る酒どころ・静岡。そのほぼ中央、東海道十七番目の宿場町である静岡市由比に神沢川酒造はある。江戸時代の軍学者、由井正雪の名を持つ銘酒「正雪」。その真髄は、甘、辛、苦、渋、酸の五つの味と、爽やかな風合いとを調和させることにある。「飲み飽きせず、盃のすすむように」と醸す酒は、日々さらなる高みを求め、姿を変えていくことを厭わない。
「CHALLENGE」を恐れないその姿勢から生み出された新たな正雪-それこそがこの「正雪 CHALLENGE」だ。今回初めて造りに挑んだ崎村勉は、神沢川酒造場で長年杜氏を努めた山影純悦のもとで技を継承する若き蔵人。「今までの正雪に、何か違うものをプラスできれば…」と新たな挑戦に意気込む。こうして試行錯誤の末できた酒は、スッキリとして飲み飽きない正雪らしさはそのままに、若々しく優しい味わいに仕上がっている。麹には一際力を入れた甲斐があった、と語る穏やかな笑顔からは、力を尽くした満足感と、出来栄えに対する自身が見てとれる。人生にも酒造りにも、決して明けない夜はない
若き蔵人の挑戦は、まだ…始まったばかりだ。
正統派であり革新的。
多分合ってると思いますが、どうなんでしょうか。ちなみに空太郎さんのブログにもこのラベルの全文が載ってますが、ぐっと我慢してカンニングしませんでした。後で答え合わせをしようw

実はこのお酒、入荷したのは7月の初旬ともう結構前でして、酒屋さんで到着ホヤホヤを試飲させて頂きました。
その時は、正雪らしい旨みが足りず、ちょっと味が散らかってる印象、なんてまぁ上から目線の感想だったのです。
ところが、開栓してから数日置きに試飲すると段々味がまとまり、じんわりと正雪らしさが出てきたのです。えぇ、つまりは数日おきに酒屋に行ってたってことなんですが。

まぁそんなわけでして、焦って飲まずにちょっと熟成させるかなという気分で夏を越してみました。


冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

乳酸の落ち着いた香りがほんのり漂う。吟醸香は強くなく、ミルキーな印象。ここまでは正雪の印象に近い。

口に含むと、米の甘みが舌を覆い、味の塊のまま喉まで進む。出た当初の試飲に比べてずいぶん味がまとまった印象を受ける

刺激はなく静岡酒らしく酸もキレイで儚げ。正雪の雰囲気は良く出ていて美味しい。ただ思ったより甘みが強いのが、それがプラスしたものなのか、ラベルで優しいと表現される部分なのでしょうか。
その甘みは、喉に落としたあとに残るコメの余韻となって長く感じられ、充実した味わいとなる。


山芋マグロと合わせる。
マグロの旨みと醤油が交るとより濃厚な味になり、脹らみが心地よい。食に合わせることで味が映える印象で、しっかりとした旨みが湧き上がった。



3日目。
濃さが増して甘さが全面に出なくなった。厚みのある味わいは、綺麗な酸の静岡らしさがありつつも、ガツンと旨みが香る正雪らしさのひとつ。
吟醸にしてはバナナのようなあの香りはまだ足りないが、飲んで感じる姿はちゃんと正雪だなぁと。


秋刀魚の刺身と合わせる。
海の香り、醤油の香りと旨みが良く混じり合い、非常によく合う印象。

砂肝のコンフィと合わせる。
ハーブとの相性は決して悪く無いと思うのだが、鶏のいうか肉の旨みにやや押されている気がする。



5日目。
冷えて甘みがよく抑えられてる。これくらいはキレと旨味がキレイに立ち、ぼやける感じがない。
コクはコメの味全開で、米米しいとはまさのこのこと。
今日が一番うまいとは奥さんの言葉だけど、同意せざるを得ないなぁ。



7日目。
残りもほんの僅かだから今日で飲み切り。
少し味が解け始めた。そろそろ限界かな。舌の上の旨みが物足りなくなる。



「処女作にして云々」はなんて偉そうに言うつもりは無かったんですが、それでも最初の1本としてはものすごくいい出来だったですよねと言わざるを得ません。

出荷すぐの味はまだちょっと若かったですけど、空気に触れさせることで纏まりが生まれたわけでして、こうやってしばらく寝かせた結果は非常に良かったです。
甘みの立ち方を思うと、本当の飲み頃は1ヶ月前だったかなという気もしますけど。

正雪は美味しいお酒だと思ってますが、基本的には季節ものしか飲んでないんですよ。そんな「にわかファン」でも正雪の味という記憶はちゃんとあるわけですから、蔵の味、杜氏の味が定まったお酒の跡を継ぐというは大変なプレッシャーなんだと推察します。

でも1本目からその重責を担うにふさわしい味を作り上げられたわけですから、仮にこれまでの正雪の味から変わっていったとしても、美味しく頂けるだろうなという嬉しい期待をして新酒を待ちたいと思います。






正雪 純米吟醸 CHALLENGE 24BY
株式会社神沢川酒造場
精米歩合 五百万石 50%
アルコール度数 15度以上16度未満


取手市 中村酒店さんで購入。

2013年10月21日月曜日

外飲みメモ:龍宮・ちんぐ白黒・天狗櫻・純黒・鷲尾・萬膳庵@柏 やまんさん

どこかに行った帰りに外で飲むことはあっても、イベント的なものじゃない限り飲むために出かけることが皆無な昨今でございます。家飲みバンザイ。

なんですが、何事にも例外はありまして、やまんさんは最近では唯一の定期的におじゃましたいお店なんです。といっても一ヶ月ぶりくらいですかね。


スタートは龍宮の炭酸割り。
この夏さんざん飲んできましたけど、それでもまだビールじゃなくてこれを飲みたくなる一杯目。


ちんぐの白と黒、炭酸割り。
そのうち書くと思いますが、重家酒造さんの復活の日本酒を飲んだのです。なので久しぶりにちんぐを飲みたくなったわけなんですが、黒麹の方は初めてです。
相変わらずのスマートで癖のない佇まい。黒はそのスマートさに少しだけ漢方のような香りがたまらなく美味しい。麦関係はいまいち自分の中でピンときてないから飲まないんですが、ちんぐの黒は麦感がちゃんとあるけど強くなく、でも白ほどキレイすぎずとなかなかストライクゾーンに入ってきた一本です。


天狗櫻のお湯割り
普通に美味い。よく雑誌とかで骨太なとかガッツリしたみたいな印象で書かれることが多い気がしますが、そう言うよりは綺麗な酒質だと思うんですよね。その意味で、美味しいけど綺麗すぎて私的にはハマりきらない。
それにしても、春以来のお湯割りはたまらんですなぁ。


純黒かめ壷仕込のお湯割り
もう少し濃い目の味を求めて、久しぶりの純黒を勧めてもらう。
ウリ系の青い香りが立ち上り、飲んでて充実する感覚がある。


鷲尾のお湯割り
つながりで鷲尾も。奥にある甘さが堪らない。いやぁこれも昔にロックで一杯飲んだ程度なので、印象がもうぼやけてた。でも改めて美味しかったなぁとしみじみ。今日一の一杯でした。


萬膳庵のお湯割り
黄麹感はあまりなく、やっぱり萬膳の味やねぇという趣。
あ、隣で奥さんが萬膳を飲んでますから、比べて飲んでます。


他にも奥さんが飲んでて味見したものたち。

天青のひやおろし、五百万石。前がかった酸味が心地よい。乳酸の香り。しっかりとした旨味が、舌の上で滲むけど、それでもどこか爽やかにまとまる。

龍宮かめ仕込み2009をロックで。
いやぁ、2009は家にもあるけど開けてないんですよね。なので味見のつもりなんですが、いやぁまぁ香ることこの上なし。お花畑ですよ。フローラル。


まぁよく飲んでるんですが、よく食べてもいます。やまんさんの料理は本当に外れがない。

四角豆の天ぷら。本日はこれを食べたくておじゃましたんです。
ふかふかさくさく。加計呂麻の塩でミネラルを追加。



煮込み。
馬のスジ、八丁味噌ベース。ほんのり香るスパイスがアクセント。必要以上に甘くなくて、日本酒にも焼酎にも合わせたくなる。



地魚のグリル。
えー、写真を撮るのを完全に失念しておりました。なので食後です。この日はいさき。家ではあんなふうには焼けないなぁに加えて、ガーリックオイルがもうもうもうもうっ。



鶏から。
これも食べかけの写真。もっと盛ってありました。
超大きいから肉汁のじゅわっと感が半端ない。でも衣は薄く実はあっさり味。まぁ唐揚げなんであっさりという言葉はあれなんですが。



鯖ぽてサラ。
お酒が進み過ぎる問題児。家でも作りたいけど、こういう感じに仕上がらないんだろうなぁ。



サービスで貰ったもずくキムチ。焼酎が飲みたくてたまらんですよ。



他にも食べた後の写真すら撮り忘れてますが、桜納豆(馬肉と納豆)とか、銀杏とか。

毎回頼んでしまう愛すべきメニューが多くて、なかなか他のものを頼めないのが困りものなんですよね。


2階の座敷に飾られてる看板。龍宮の富田さん作なんですねー。うらやましいけど、お店をやってるわけでもない自分が何に羨んでるのか、もはやよくわかりません。



ともかく、本日もごちそうさまでしたということなのです。


やまん
千葉県柏市東上町2-3
04-7163-6602

2013年10月20日日曜日

天領 純米吟醸 ひだほまれ24BY

岐阜は下呂のお酒、天領の純米吟醸でございます。

公開利き酒会に行った際に、なかなかよろしかったリストにあった天領。岐阜のお酒ではありますが、飛騨地方のお酒ですのでこれまで縁が無かったわけです。

そう、飛騨地方。まぁ下呂は微妙に中間な気もしますけど、岐阜市内出身の僕にとっては愛知県よりもずっと遠い土地。気分的には富山県と同等です。えぇ、岐阜には世界遺産あるけどって、白川郷のことは都合よく身内だと思ってますけど。

そんなわけでして、岐阜は名古屋の植民地的なことを言ったりしますが、それはあくまで美濃地方限定だと思ってます。

閑話休題。


ということで、先日実家に帰った際に入手してきました。
冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓です。

清廉な吟醸香がすうっと立ち上る。冷えがまだきついのに、その片鱗がわかる風情があります。

口に含むとまだ冷え過ぎで、美しく軽めの酸味の後、膨らみがちょっと足りない。ただ、舌にまとわりつくほんのりとしたトロミはとても綺麗で、艶も派手すぎず、鑑評会で美味しかった味が思い出される内容です。

ちょっと温度が上がれば素直な甘さが膨らみとなって出てきて、キレイな酒質ながらもぽてっとした丸みも感じられます。

鼻に抜いても素直な甘さと吟醸香。酸味の抑え方が後味も清廉とした印象を保ってくれます。


秋刀魚の味醂干しと合わせる。
合わないわけじゃないけど、ベストマッチじゃないなぁ。多分土地柄、山の酒ですし。
酒の美しさが際立ち、山菜とかそういうもので飲みたくなる。脂じゃないなぁ。

生麩の刺身と合わせる。
こっちのほうがあうな。淡い味に寄り添うのが良いなぁ。


もう少し色々なものと合わせてみたかったんですが、美味しさのあまり四合瓶はあっという間になくなってしまいました。しまったなぁ、翌日の味とかも試したかった。

吟醸造りでも疲れない程度の香りは、全体の美しさの基本となっているのかと思います。これが純米とかだとどうなんだろうな。機会があれば試してみたいと思います。

ちなみに最近特にガツンとくる酒を偏愛する奥さんは、綺麗すぎて物足りんと曰っておりました。まぁ気持ちはわかりますが…。
でもこのクオリティはなかなか出会えないレベルだと思うから、そんなに無下にしないでと思いつつ、残りは僕が頂いた次第でございます。






天領 純米吟醸 ひだほまれ 24BY
天領酒造株式会社
精米歩合 ひだほまれ 50%
酸度 1.3~1.4
アミノ酸度 1.0~1.1
日本酒度 +3
アルコール度数 15度以上16度未満


岐阜市 酒のマツヤマさんで購入。

2013年10月18日金曜日

生道井 特別純米 原酒 ひやおろし 衣が浦若水 24BY

2013年の冷卸第8弾は、愛知県は知多のお酒、生道井の特別純米です。
ひやおろしはもちろんのこと、お初の銘柄でございます。

岐阜の実家に帰った際にどこか良い酒屋さんないかなーと奥さんに探してもらってたら、岐阜市の丸美屋酒店さんのブログに行き着いたんです。
その中で生道井を紹介する記事を読んだ奥さんが、これは多分好みのはずだと、嗅覚になんか感じてたんですよ。

そんなわけでお店にお邪魔したんですが、残念ながら既に完売。

ところが2日後、関東に戻る帰り道、なんとなくもう一度お邪魔したらあるじゃないですか、ひやおろしが。こういう出会ってきっとなんか結びつける謎の力が働いたとしか思いませんねぇ。

ちなみに最初にお邪魔した日の記事に生道井と我々のことを書いてくださってるんです。
帰るまでに読んでればもちろんお邪魔したでしょうけど、その記事のことも後から知ったというか、これを書いる今気付いたわけでして、まぁあれですよ、松尾様が出会っとけと言ってくれたということなんです。


冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

古い香りと酸の香りが濃い目に漂う。

口に含むとキャラメル感もありつつ、あとから少しピリリと香り、全体に酸味がウロウロしてるちょっと独特の味わい。

少し温度が上がるとウロウロ感が落ち着いて、バランスが良くなる。常温くらいまで上げたほうが真価を発揮しそうな気がします。まだ冷えすぎてるせいで、旨みの膨らみがちょっと弱くて苦味が先に立つなぁ。

涼冷え程度まで温度が上がると、苦味の立ちが落ち着き、ワイルドな旨みのバランスが良くなる。

芳ばしい苦味と酸味が熟成酒ような存在感を出す。熟した旭若松みたいな雰囲気。
先日の宙狐も旭若松のような感じと思ったんですが、生道井を飲んで比較すると宙狐の方がまだ少し軽めに感じます。生道井の癖は、飲み手を選びそうなくらい強く印象を残しますなぁと。


秋刀魚の塩焼きと合わせる。
悪くないけど酒が勝つなぁ。もっとねっとりしたものと合わせたい。
なんだろう。イマイチ奥さんとも意見がまとまらないから、まぁ明日以降に考えましょう。

しかしこのお酒、常温放置でいじめてみたい風情が漂ってます。まぁ一本しかないし開封してるから、大人しく冷蔵庫に入れてちびちび飲みますけど。



2日目。
丸くなった。濃厚さも落ち着き、整った濃密さへと進化したよう。濃いけど澄んでいるこの味わいは、なかなか他ではない舌触りに感じる。トロリとした、でも透明感のある印象。

味自体は、ビターなチョコの一歩手前、ココアと言った感じかな。

変化が強く出そうにないタイプかと思いきや、妙にキレイにまとまった感じがする。ここで止まってくれると良いんだけど、明日以降は変わらないのか、はたまたどう変わるのか、楽しみでございます。



6日目。
濃厚で艷やかに澄んだまま落ち着いた。いいですなー。ダレることなく、刺激もトロトロもある複雑な味のまま腰が座った印象です。

鶏レバー、砂肝のコンフィと合わせる。
濃厚なオイルと内臓の味に旨みが吸い込まれ、香りが交じり合う。特にレバーとは、このお酒で伸ばしてパテを作ったようになり、口の中で旨みが増幅される。素晴らしいマリアージュ。



7日目。
味わいに変化はなく、昨日と変わらず美味しいまま。

秋刀魚刺し。
芳ばしい香りが魚の匂いを覆い尽くし、脂の旨みを浮き立たせる。良いですなぁ。

目光の唐揚げ。
ふわふわの身に染み入るとキャラメル感が強調されて贅沢感が強くなる。



そこそこ時間を掛けて飲みましたが、味が崩れることなく非常に美味しいままでした。

濃厚な味わいは一回に多くを飲む味ではありませんが、一方でどんなタイプの料理とも寄り添える懐の深さは食中酒としての優秀さの証明でもあり、なんだかんだで結構するすると飲めてしまう魔性の味わい。

これは次回見つけた時も買わずにはいられない一本でございます。






生道井 特別純米 原酒 ひやおろし 衣が浦若水 24BY
原田酒造合資会社
精米歩合 若水 60%
アルコール度数 18度


岐阜市 丸美屋酒店さんで購入。

2013年10月16日水曜日

風のエチュード 2011

ココ・ファーム・ワイナリーさんの風のエチュード 2011です。
お邪魔した際に、試飲した奥さんとか友達がなかなか良かったということで購入です。


香りは強く、でもマットに漂う。艷やかというよりは粒子を感じるような。
蜜のような、花のような、大輪ではなく小さい花が密集しているような香り。

口に含むと、穏やかにブドウが香り、重なって種々のフルーツを感じる。プラム、りんごのような。

酸味も穏やかで喉に辿り着く前にふわっと消える。余韻は短く後味は軽い。

温度が上がると穏やかになりすぎて、ジュースのように甘さを感じる。飲みやすいけどちょっと素直すぎる味でもある。
エチュードという名にふさわしいのかもしれないですね。


砂肝のコンフィと合わせる。悪くないけど、ねっとりにはちと荷が重いかな。



リコッタチーズのトマトサラダ。
リコッタチーズのほんのりとした甘さがよく融け合う。トマトの酸味がぶつからないわけじゃないから、チーズは果物と合わせたほうが良かったかもしれない。



試飲は新しくでたばかりの2012だったそうで、もう少し軽くフレッシュだったとか。
2人共、この2011の方が美味しかったと言っております。





風のエチュード 2011
有限会社ココ・ファーム・ワイナリー

2013年10月14日月曜日

伯楽星 特別純米 ひやおろし 24BY

2013年の冷卸第7弾は、伯楽星の特別純米です。

ひやおろしとしてももちろん楽しみなんですが、今年の伯楽星は、今一度味の変化を1年通して理解するという大事な行事の一環でもあります。
ひやおろし前にも飲んでおこうかなと思ってましたが、それは叶わず。

1月、新酒:伯楽星 特別純米 24BY
6月、夏前:伯楽星 特別純米 24BY、もうすぐ夏ですね


冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

冷たいせいもあるけど、香りはほとんど感じない。
口に含むと爽やかな酸味が広がる。いつもの乳酸をたたえた感じよりも、フルーツジューシーな印象。新酒のフレッシュさは一旦影を潜めたんですが、再び蓄えられた旨みが弾けるようなジューシーさ。

雑味は微塵もなく、美しく仄かに甘く、舌の上でじゅわっと広がる旨み。正にジューシー。
ほんと、ジューシーって何回言えばいいねん。でも、こういう果実っぽさはあたごのまつの役割だったと思うんですが、その印象のズレもあってか妙に印象に残る。


シャコ、サンマ、いか、刺し身と合わせる。
生臭い雰囲気を包み込み、旨味を引き出す。さすが食中酒の極みと言いましょうか。



2日目。
昨日と同じ温度なのに、マスカット香がよく香る。空気に触れて少し動き出したということでしょうか。

でも味はそれほど変化がない。ちょっと濃くなったかな。うーん、香りに引きづられて錯覚しただけかもしれないけど。



6日目。
塩秋刀魚と合わせる。
激合う。魚の臭みを消すなぁ。消すんですよね、流すんじゃなくて。だから喉に落ちる前に秋刀魚の味とお酒の味が一体となった美味さだけを味わって、そして喉に落とせるんですよ。なんで消えるんだろ。

お酒の味は確実に安定した状態。開けたてのフレッシュさと2日目のコクをベースにして、腰が座ったという印象。
この感じってどう言えばいいのかなぁ。飲むと分かるんですよ、これはこの味に定まったんだなって。
こうなると数日くらいは変化が少ないまま美味しく飲めるはず、という経験則。まぁそんなお酒にはなかなか出会えないんですが、そういう機会を求めて飲み続けるのもまた飲兵衛の楽しみなんです。



10日目。
穏やかに爽やかな乳酸が香る。
飲んでももちろんうまい。ぶどうのような爽やかな風味と乳酸が交じるフレッシュコクうま。

いやぁ、劣化って何のこと?



夏前に飲んだ時の感想では、この時期にしては味のりが良すぎる印象があって、ひやおろしはどうなるんだろうって書いてるんですが、予想通りジューシーに仕上がりましたということでした。

でもくどくなるとか飲み飽きするとか、そんな言葉とは無縁の存在です。
単に味のりが進むだけじゃなく、その変化を受け止める美しさというか強さというか、ブレないものがあるんですねぇと、しみじみ感服です。

ここからは新酒までの間の変化をみることになるんですが、なんとなくもう去年みたいなことはなかろうもんという気になってます。






伯楽星 特別純米 ひやおろし 24BY
株式会社新澤醸造店
精米歩合 60%
アルコール度数 16度


取手市 中村酒店さんで購入。

2013年10月12日土曜日

龍宮 蔵割十八度

第1回龍宮研究会では、次世代の酒と、もう一本珍しいものを開栓して味見しています。
龍宮の蔵割十八度。

このお酒は、今ではもうラインナップになくて、その性格は蔵和水15度に引き継がれている商品です。
偶然とある酒屋さんで目にして、存在も知らなかったこの商品にびっくりなわけです。もちろん即購入なわけですが、お話を伺うと今の蔵和水の前の商品ですと。

日付は平成21年の瓶詰めですから、この状態で4年くらいは寝てるわけです。どんな塩梅でしょうか。まったりしているのを期待して開栓です。


香りは控えめ。かなり控えめ。
蔵和水の時はワイングラスで飲んでますから、こっちもそうすればよかったかな。

口に含むと甘みが広がる。刺激は少なくマイルド。非常に滑らかで穏やかで、だらだら飲むのに最適な佇まいです。

この穏やかさは経年によるものだろうなと思うのは、蔵和水の15度の穏やかさともまたちょっと違う感じだから。3度の違いから濃く充実した味わいが感じられるのに、それがそのままで穏やかなんですよね。
蔵和水では割水による緩まった穏やかさを感じられるのですが、このお酒の場合はもう少し濃厚なままジトっと穏やかになってるわけなんです。なので穏やかさの部分は経年のおかげなんだろうなぁと。

その濃さのためなのか、冷やして飲むより常温で飲むほうが良い印象。
蔵和水は冷蔵庫でキリリと冷やして飲むと最高でしたから、やっぱり飲み方にも違いが出てきます。


18度、興味深い度数です。30度の龍宮で6:4の割水。
つまり芋焼酎で言われる前割のスタンダードの6:4なわけです。
蔵和水の5:5とこの6:4、どっちが良いという話ではなくて確実に個性が違うという点がポイントです。

18度バージョンの蔵和水も出してくれないかなぁ。まぁそれか自分で作るか。じっとりまったり、1年くらい前割を転がそうか。

龍宮は楽しみの幅が広くて面白いけど、置き場所もお財布も大変ではありますw






龍宮 蔵割十八度
有限会社富田酒造場
アルコール度数 18度


松戸市 酒のひぐらしさんで購入。