2013年7月16日火曜日

奄美シマ酒案内人になりました。

7/8から7/15まで、離島のためのメディアである離島経済新聞社さんが主催で、島酒Week「奄美黒糖焼酎祭」が開催されました。

黒糖焼酎好きにとっては、黒糖焼酎が注目される大変うれしいイベントなんです。

その中で、「奄美シマ酒案内人になれるシマ酒レクチャー&試飲ワークショップ」というのがありまして、参加してきました。

ずらりと並ぶ、代表18銘柄。7,8割くらいは飲んでますけど、並べて飲むのは初めてです。




始まりは弥生焼酎醸造所の4代目による黒糖焼酎の解説。製造方法などのスタンダードなお話から、奄美シマ酒案内人として話せるこぼれ話的なものまで、とてもためになるお話でした。


続いては奄美シマ酒案内人代表である、ダイニングバー味彩の小田さんによるレクチャー。
黒糖焼酎との出会いに始まり、黒糖焼酎への愛あふれるお話でした。非常に共感する部分が多く、ぜひ一度お店におじゃましたいなぁと。


さて、続いては代表18銘柄の試飲です。今回、頑張りました。ちゃんと利いてメモを残してます。字が汚くて読む気がしませんけど。
ただ、飲んだ順をメモするのを忘れるという致命的な失態をしておりまして、順序による影響は…でございます。

  • 天海(奄美大島:株式会社天海の蔵)
    瀬戸内町唯一の蔵元(だったはず)で、これまでに加計呂麻とか瀬戸の灘とか川智は飲んだことあるけど、名代である天海は未飲でした。
    麦や草といった枯れた香り。アルコール感に由来する辛味が舌に残り、甘味はざらめのような粒を感じる味わい。
    水割りにすると甘味がおとなしくなり、香りや甘さの奥にあるコクが浮き出てくる。
    ちなみに5,6年前に川智を一升瓶で買ったことがあるんですが、癖が強すぎてかなり苦戦した記憶があります。当時はストレートかロックでしか飲んでなかったけど、多分お湯割りだと美味しいんじゃなかろうか、と今なら思うんですよね。そのうち再挑戦しようと思います。
  • 朝日(喜界島:朝日酒造株式会社)
    奄美群島で最も古い蔵元。大正5年創業。近場で買える割に、今までお店でグラスでしか飲んでなかったなぁ。あ、陽出る國の銘酒は朝日酒造さんのものですね。
    べたつくようなねっとりとした香り、強くないものの横たわる。昆布系の旨みが先に立ち、奥に甘さがある。
  • 喜界島(喜界島:喜界島酒造株式会社)
    これも居酒屋でグラス飲みの経験はあり。癖が強かった記憶。
    甘味と、堆肥のような一癖のある香り。口に含むと強い甘味、そして香りが迫る。ピリピリと口の中全体を刺激する辛味。舌で転がすと草や灰のような香りも。ロックがいいだろなぁ。
  • 奄美(徳之島:奄美酒類株式会社)
    それほど回数を飲んだことないのに、妙に私的黒糖焼酎のスタンダードの位置を占める銘柄。奄美という名前から大島のお酒と勘違いすることしょっちゅうなんですけど、徳之島なんですね。
    細く甘い香りが立ち上る。とても判りやすい、そして落ち着いた甘さ。辛味とのバランスが非常によく、突出した癖がないため、個人的には黒糖焼酎を人にすすめるときの1本目に推したい良酒。
  • あじゃ(徳之島:株式会社奄美大島にしかわ酒造)
    奄美に行った時に四合瓶で飲んだはず。それ以外では飲んでないなぁ。自宅に1本あるんですけど、数年物のため勿体無くて開けれてない。
    香り自体がほんのり。甘さもほんのり。反面、口に含むとねっとりとした甘さが先に立つ。
  • 稲乃露(沖永良部島:沖永良部酒造株式会社)
    お初でございます。
    蒸した黒糖といいますか、湿ったミネラルの香り。辛さは控えめで甘みが強く、粉っぽい舌触りが面白い。
  • 昇龍(沖永良部島:原田酒造株式会社)
    こちらの蔵に「昇龍 好太郎」という原酒があるんですが、僕に黒糖焼酎を教えた人から中日ドラゴンズの優勝祝いに頂いたことがあります。濃密で非常に美味しかったんですよ。それでスタンダードの昇龍を買ったことがあるんですが、これもなかなかの癖で困ったんですよね。そのまま寝かすこと4,5年、まろやかになり、素晴らしい変化を楽しんだ思い出の酒です。
    あぁ、えらぶの酒やねぇという香り。硬く、あまり優しくない香り。トロリとした強い甘み。後から辛味。ふむ、記憶のような癖は感じなくて、普通に美味しい。
  • 天下一(沖永良部島:新納酒造株式会社)
    こちらもお初でございます。これまでは昇龍のスタンダードの癖の記憶があったせいで、沖永良部のお酒には手が伸びてませんでした。
    少し泥臭い、癖のある香り。口に含むと甘さとコクになり、辛味とのバランスが良い。後味がにじむような佇まいで心地よい。
  • 有泉(与論島:有村酒造株式会社)
    与論島唯一の蔵元、ということで存じております。居酒屋では何度か飲んでるはず。通常20度だけど、今日のは25度だとか。
    細い香り。甘みと草のような青さ。辛味は少なく、昆布系の旨みが主体。甘さも強く感じないから、お湯割りで甘さを立たせるとまた違った印象になるんじゃなかろうか。
  • 浜千鳥乃詩(奄美大島:奄美大島酒造株式会社)
    これ自体、居酒屋でよく飲んでましたが、奄美に行った時は高倉とかじょうごとかやんごとか。こうやって書いてみると、結構お世話になってる蔵元さんでした。
    青い香りがほんのり。紫蘇なんかが浮かぶ、青い甘さ。味自体は奥深く濃く、後から来るピリリとした辛味が引き締める。辛味自体はすぐに消え、キレのためのものといった感じ。相変わらず安心の味でした。
  • あまみ長雲(奄美大島:有限会社山田酒造)
    こちらも何度も飲んでる銘柄。自宅には、ほんの少しだけ原酒40度が残ってるはず。穏やかで優しい甘さは、人に薦めるのにも安心の一本でございます。
    改めて利くと、甘さが穏やかに香り、奥にはフルーツのような風情も。口に含むとほんのり昆布系のコク、黒糖の横たわる甘さ、マンゴーのような南国の香る甘さ。黒糖焼酎の甘みを存分に楽しめるなぁと再確認でございます。
  • 里の曙(奄美大島:町田酒造株式会社)
    安心と信頼の曙。どんだけ飲んだことか。といっても家で瓶を買ったことはないなぁ。居酒屋で黒糖焼酎を頼む時の定番でございます。
    爽やかで品の良い香り。減圧らしい軽さと果物系の爽やかさが、甘さを抱き込んで単に甘くさせない。
  • 緋寒桜(奄美大島:大島食糧株式会社酒造所)
    お初でございます。
    弱い香り。口に含むと、ハーブ系の香り。薬草、漢方のようなどこか引っ掛かりのある風情が妙な懐かしさを感じさせる。香りに反して甘みがストレートで、黒糖より白砂糖といった感じ。クセのある品のよさが面白い。
  • 彌生(奄美大島:合資会社弥生焼酎醸造所)
    居酒屋で飲んだことあるけど、もっと飲んでる銘柄はまんこい。
    ほんのり淡い甘さが香る。口に含むと広がる甘味と辛味。黒糖味を強く感じる。水割りにすると甘さと辛さが解けてフラットな舌触り。五百万石の日本酒が浮かぶ。
  • 龍宮(奄美大島:有限会社富田酒造場)
    心の酒なので贔屓目バイアスなんでもありでございます。今回は割りと終盤に味見です。
    えー、ぴたっとハマる、という表現でいいんでしょうか。僕の中には龍宮がはめ込まれるための、なんか型枠みたいなのがあるんですね。そこにパコってハマる感覚は、何時飲んでも、何度飲んでも変わりません。えぇ、まったく利き酒のコメントになりませんねぇ。
    ちょっとまじめに書くと、よく辛いと言われる龍宮も、比べてみると辛味自体はそれほど突出するわけでもありません。ただ、辛さ自体に厚みがあり、ピリピリではなくてジーンと痺れる感じが特徴なんでしょう。
  • 珊瑚(奄美大島:西平酒造株式会社)
    奄美に行った時に蔵にもお邪魔して飲んでる銘柄。こちらの蔵は樽貯蔵の加那という銘柄もあるのですが、個人的には珊瑚の方が好きだった記憶があります。
    薄い香りが横たわる。口に含むと刺激が先に立ち、次に豊かな甘味。透明感のあるキレの良い味わい。
  • 八千代(奄美大島:株式会社西平本家)
    お初でございます。
    ほんのりと弱い香り。口に含むと辛味が特徴的に立つ。香りも、ピリリと来る感じも、生姜のような風情。水で割るとこの特徴が薄まり勿体無いから、ロックかお湯割りはどうだろうか。
  • れんと(奄美大島:株式会社奄美大島開運酒造)
    里の曙と並ぶ安心銘柄。これもさんざん飲んでます。
    あまり香らない。口に含むといつものスッキリ軽い舌触り、軽快な喉越し。

ひと通り飲んでみての感想は、
  • サンゴ礁の島である、喜界島、沖永良部島、与論島の3島の焼酎は、共通してミネラル分に起因する味わいが強くあり、硬水がその元になっているのがよく分かる。そのせいで一癖あるように感じる場合もあり、相性が良い飲み方を探るのは楽しそう。
  • 黒糖の甘さの立ち方に蔵の個性が良く出るんですが、その対になるのが辛さとのバランスかなと。個人的には大島、徳之島の中だと徳之島の奄美が、上記サンゴ礁の3島だと沖永良部島の天下一が、甘辛のバランスがよくて飲みやすい、判りやすい味かなと。
  • 感想を書いてて思うのが、甘さが単に甘さの度合いだけじゃなくて、元の黒糖の特徴に起因する個性があり、甘い以外にどう言えばいいのか悩むなぁと。明らかに違うのはわかっても、的確な言葉が見つからない、というかそこまで甘みの表現が豊かじゃないなぁと。
てなとこでしょうか。


途中からは、いろいろなもので割ってみようというということで、様々なアレンジについての話も。
一般的なお酒の試飲会とはちょっと違う、シマ酒らしいゆるさと自由さを楽しめる会でございました。


最後に、奄美シマ酒案内人の試験を受けて終了。
無事に認定して頂きました。ちょっと面白いことに、会員番号を自分で選べるんですよね。迷わず5910を選択しましたけど、予想通り先客がいらっしゃいました。いいんです、もう一つこれだよねって番号は選べましたから。内緒ですけど。


芋焼酎や麦焼酎ほどの市民権を得られていない黒糖焼酎。
啓蒙の一助を担えたらと思う次第でございます。

ちなみにこの場でもお話がありましたが、鹿児島県酒造組合の奄美支部では「奄美黒糖焼酎語り部」の資格認定もあり、こちらはテイスティング試験もある更に本格的なものだそうです。いつか受けてみたいなぁ。


追記:
しかし、待てども待てども、正式な会員証がこないなー。

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