2013年7月30日火曜日

亀齢 純米 無濾過生酒 五段仕込 八九 BY24

亀齢の珍しい一本、麹割合が89%というかなりマニアックなお酒です。そして日本酒度は-7。

亀齢を飲むこと自体、相当久しぶり。ホント何年ぶりだろう。正直美味しかった以外の記憶が無いけど、こんな珍しいタイプのはお酒はどうなんでしょうか。

ちなみにこれは、君嶋屋さんで面白いお酒ない?という無茶ぶりなお願いで選んでもらった一本です。


冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

開けると同時に香りが濃ゆっ。リビングが甘酸っぱい香りで満たされるかのよう。
口に含むとヨーグルト。じゅわじゅわ、酸がすごい。数値通りの酸味。でも甘さもしっかりあってバランスは良いから不思議。

麹歩合が高いからもっと甘くなるところを、キリリと酸で押さえ込んだとのこと。だから味の詰まり具合が濃ゆすぎる。甘さ自体は結構爽やかなタイプの甘さなんだけど、その甘みの量というか強さというか主張があるから芳醇たまらんといった感じ。生のブドウをかじったみたいな?

とはいえ数字ほどの甘さは感じないほど、酸とまとまって一体となった味がする。刺激やコクの余韻はあるものの、キレはよくもたつかない。そう、甘さの割にキレがいい。

味と酸のワイルドさの一方で、酒質自体は非常にキレイで雑味を感じない。
酸に由来する刺激が舌をシュワシュワさせるけど、コクになって余韻に変わる。

うまいなー。

濃いからそれほど一度に飲めないかなと思ったのも束の間、結構クイクイいけてしまうから魔物でござる。だめだめ、これはちょっとゆっくり飲もう。



3日目にして熟成の貫禄。独特に立ち上る酸味が、鼻に抜けるときのアタリを日本酒とは思えないほど強くしてくれる。
味も甘酸の濃厚さがさらに増してきたから、まったり濃厚なものと合わせたくなる。

ということで、クリーム系を試す。ヤンソンさんの誘惑。
いやはや素晴らしい。濃厚なクリームをものともしない酸味が、口の中をぐわっとキレイにさらっていく。酒の甘みとクリームの相性は完璧。アンチョビの塩気が、あぁ今日本酒飲んでたんだと思い出させてくれる。

ところでスウェーデンのお酒って甘いのかな、辛いのかな。




10日目。
熟れきった果実、メロンとか。加えて香りには醤油とかコンソメとか?
味ももちろん濃厚のまま。甘みが強いように感じるんだけど、米のコクと酸が甘いと言わせない。

これ書いてて知ったんですけど、亀齢酒造さんの杜氏の西垣さん、以前は悦凱陣の丸尾本店さんにいらっしゃった方なんですね。どうりで味が好みのはずです。



19日目。
ようやく舌触りが丸くなってきて変化が落ち着いてきた。濃厚でマイルド、でも濃さは相変わらず。

四川風の麻婆茄子と合わせる。酸味と唐辛子がガシガシと殴りあうかのよう。なるほど、紹興酒で中華を食べるときと似てるのか。油を流すだけじゃなくて、甘みを武器に存在感を張り合うと言いますか。



3週間。

ワイングラスで味わう。
香りが3倍濃厚。むせ返る香り、開けたてと同じ位の強い存在感が楽しめる。
とはいえ、味は落ち着いて安定の佇まい。

香りのせいもあって、かなり濃く感じる割に、お腹いっぱいとはならずに2杯目にいきたくなるからこのお酒は魔物でございます。



1ヶ月半。引っ張ったなぁ。
勿体無くて最後の1杯が飲み干せないまま、まぁへたれる酒質じゃないからとのんびり冷蔵庫で放置。

ワイングラスで香りを立たせると、味噌のような発酵臭。甘味噌。いや、栓を開けた瞬間から力強く香り立つから、ワイングラスじゃなくても同様の香りは楽しめただろうな。

口に含むと甘さが落ちついてきてて、艶やかな旨味。ワインですなぁ。正直、米のお酒を飲んでる感覚が麻痺していく。

喉に落とすときに香りが一段と解き放たれ、甘酸っぱい濃密さ。引っかかるところがなくとろける。

アジのたたき。
濃厚に溶け合い、きれいの酸味が立ち、魚の生臭さだけを流す。醤油との相性もよい。

カツオの塩たたき。
少し癖があるこっちの方がまじり方がいいなぁ。強く溶け合うという感じ。

昭和なポテサラ。
いまいちかな。合わないわけじゃないけど、一体感は欠片もない。

熟成気味のサンタンドレ。
美味いなぁ。発酵と熟成と、バターの如く香るチーズは、正に一体となって溶け合う。



さてさて、調子に乗って長期にわたって飲んでまいりました。大きく変化したというより、熟していく過程を早回しで見たような感覚でした。

爽やかでありながら甘く、濃厚でありながらキレがよく、唯一無二の味に感動でございました。
どこかの酒販店さんのサイトで、来年も仕込むかは未定とか書かれてましたけど、是非にも毎年飲みたい一本でございます。何卒、よろしくお願いします、と頭を垂れる次第でございます。



2013/9/24追記

なんとも嬉しい事に、もう1本分けていただくことが出来ました。これも半月くらいかけて飲んだんですが、相変わらずの美味しさでございまして。

醤油?味噌?ぷんぷん匂い立つ熟成の香りが既にあり、初回の飲み終わりの続きを楽しめる。
心の底から、これがお米で出来てるとは信じ難い、濃厚、フルーティー、芳醇。

その後はあまり変わらず安定しきった。もちろん劣化もない。
うーん、素晴らしい。強いて言うなら、甘みが増したかも。キャラメル、薄っすら感じる苦味が甘くても甘さが中心の味にさせない。

魅惑の香りでして、ワイングラスで飲めば最早日本酒の世界を飛び出していました。
ほんと、来年も飲みたいなぁ。





亀齢 純米 無濾過生酒 五段仕込 八九 BY24
亀齢酒造株式会社
精米歩合 中生新千本 70%
麹歩合 89%
日本酒度 -7
酸度 3.0
アミノ酸度 2.6
アルコール度数 17度


横浜君嶋屋さんで購入。

0 件のコメント:

コメントを投稿