墨廼江の夏酒第二弾の五百万石が、2013年の夏酒第15弾でございます。
鶴齢の爽醇も2種類目の夏酒でして、酒屋さんで聞けば夏酒後半戦なんだとか。
といいますか、夏酒って銘打つにしては出荷が早すぎでしょってくらい、梅雨の時期に完売とかなってる昨今でして、なるほど、それに対しての二段階でございますか。
GWくらいまでは、まだ新酒って銘打ってもいいかなぁ、ちょっと前まで造りやったしって気分ですけど、さすがに梅雨になると酒造年度も終わりが見えてますから、その言葉もそぐわない。
なんて感じの商品展開上の理由から夏酒シーズンが早まってきたんじゃないかと邪推しますけど、夏が来る前に品切れってのだけはホントしょんぼりです。
さて墨廼江の五百万石ですが、毎年飲んでる気がしますけど夏酒って意識したのは今年が初めて。去年とかどうだったんだろうなぁ。
と思って酒屋さんに聞いたら、去年は暑中お見舞いのタグが無かったとのこと。震災前は付いてたとのことですので、以前から夏酒として銘打ってるわけじゃないものの、暑中にどうぞというものだったんですね。
ともあれ、冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。
澄んだ香り。固い吟醸香。
滑らかで、膜を貼ったようなつるりとした表面。舌で解くと弾ける酸、刺激、少しの辛味。全部混じってほの甘い旨みになる。
冷えてても判る、結構しっかりした味わい。でも喉で感じる辛味が全体を斬るなぁ。
美味い、夏だ。
ほんとは発泡系の日本酒が飲みたかった奥さんも満足でございます。
昭和なポテサラ。
イマイチかな。苦みがでる。酸味がぶつかるのか。
ズッキーニとエビのアヒージョ。
ニンニク、オリーブの香りが解けて再構築されるような、一体になる旨味。オイルと墨廼江は相性いいんだ。そしてエビの香りとよく合う。海産物の旨みや香りと墨廼江の組合せは、何度試してもたまらんですなぁ。
鳥手羽梅焼き。
梅酒をつけた残りの梅を潰して鶏手羽を漬けること3日。薄めの醤油味でございます。
中々な相性。脂を流すのはお手の物でございますなぁ。
あと、梅の酸味がお酒の下に入って爽やかさを足す。よろしいなぁ。
ポテサラのお酢(米酢)の酸味とはイマイチだったけど、梅の酸味なら合うんだ。不思議。
少し温度が上がると刺激が出てきた。でも甘さがきつくならないのは愛すべき五百万石ですなぁ。
涼冷えまで行くと少し苦みが気になる。程々冷えてるがよいですな。
…
2日目。
澄んだ青い香りが今日も。若干牛乳っぽい感じも。
ほろ苦く、甘さがさらに落ちつき、辛さもちょっと顔を出す。
アジのたたき。
よいですなぁ、このねっとりを流す切れの良い爽やかさ。
カツオの塩たたき。
こっちもいいなぁ。交る交る。塩の香りがキレにひとコク足して、醤油より面白い合い方。
…
4日目。
酸味が強くなり、おいしいけどバランスはちと崩れたかな。墨廼江らしさ、五百万石らしさがなく、酸味の効いたじゅわ旨。
酸味のおかげで、ある意味爽やかさが増した味わいは、夏に飲むには大変良い。なんですが、なんとなく明日まで味が持つ気がしないなぁ。今日中に飲みきろう。
ナスの煮浸し。
薄めの醤油と出汁によく合う。というか、食べ物と合わせたら思った以上に墨廼江が主張するというあまり感じない雰囲気。なので、マリアージュ的によくあってるというよりは、ワイルドに持っていくという感じ。でも悪い気はしない。
カワハギの酒粕漬け。
なかなか。っていうか、これは合わないわけがない。酒粕、どこのだっけか。磯自慢か鶴齢か武勇か…忘れてしまった。
温度が上がると辛味と乳酸が出てきて、爽やかな酸味は影を潜める。でも、甘みにはブドウのような爽やかさが足されて、やっぱり墨廼江っぽくないけど美味しい。
まぁ墨廼江っぽいって言い方自体が、勝手にイメージを固定しちゃってるってだけなんでしょうけど。
…
正雪、鶴齢と、夏酒は味の変化が早く、そして旬を逃すと悲しくなってしまいます。なので墨廼江もそろそろ飲み切らないといけんのぉということでございました。
飲みきってみると、5日目はどうなったんだろうと未練がましくなる自分がいるわけですが。
愛する墨廼江と愛する五百万石の組み合わせ。気に入らないわけがないんですが、五百万石の印象が少ないまま終了でした。墨廼江自体が元々派手な酒質じゃないから、派手さを抑えるという観点で偏愛している五百万石のらしさというのはなかなかわからないわけです。
反面、粉っぽいだとかフラットだとか感じてる五百万石にも、こういう艶やかさがあるんだと感じられる一本でございました。まぁ、ブラインドで飲んで五百万石だってわかんないでしょうけど、僕は。
今年最初のカブトムシでございました。
墨廼江 純米吟醸 五百万石 24BY
墨廼江酒造株式会社
精米歩合 五百万石 55%
アルコール度数 16度以上17度未満
取手市 中村酒店さんで購入。
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