2013年5月31日金曜日

屋守 純米中取り 直汲み無調整生 24BY

2013年の夏酒第3弾は、屋守です。



本当はもう少し後にポストするつもりだったんですが、今日の午前に蔵元がテレビに出演されたので、せっかくなのでタイミング良く出してみます。
ちなみに出演されるのは知ってたんですが、完全に録画を忘れてました。どんな内容だったんだろう。



屋守の夏酒は初めてです。去年はちょうど中村酒店さんが取り扱いを始めた時期で、まだ夏酒はなかったんですね。

背景をこういう色で写真を撮ると、美しさも何もあったもんじゃありませんが、夏酒の定番、涼やかなブルーボトルです。

ちなみに夏酒の瓶は、ブルーボトルか透明が多くて、次に緑、最後に茶色って印象があります。統計を取った訳じゃないですから、ブルーボトルや透明の印象が強いからそう思ってるだけなんでしょうけど。
特に根拠のない私見ですが、このブルーボトルって結構ラベルとの相性があるなーとか思ってます。屋守、瓶とラベルが同系色で似合ってないなぁとかw


それはともかく開栓です。冷蔵庫から出しての冷や冷やです。

開栓時にはかなりジュワジュワとしたガスが。そして屋守らしい、甘目の濃い香りがよく香ります。
口に含むとじゅわっとした微発泡感と共に、それとは別のピリピリとした刺激も。
味自体は、あぁ屋守ですねって感じの濃厚な甘みを湛えた旨口。普段と味は変えてないけど、刺激で夏を演出という感じでしょうかね。


奥さんがお店で試飲させてもらったんですよね。その結果、かなりしっかり冷やしたほうが旨いんじゃなかろうかという感想だったんですが、確かにその通り。
温度が上がってくると、ざらつくような舌触りに感じて、そして苦味というにはそこまでじゃないけど、なんだか混沌とした雰囲気になる。
奥から湧くのは結構古いタイプの日本酒の味。お米の味というよりも、粕取り焼酎を思い出す風情でちょっと苦手。

試飲の時より味が濃いとのことで、ちょっと色々と強いなぁという感想。なるほど。試飲で飲ませてもらったお酒は昨晩開栓なので、翌日を飲んだわけです。
もしかすると明日になると落ち着くかな?ということで、翌日を楽しみにしてみます。



3日目、あれ、美味しくない…かも…?
屋守は結構早飲みの酒かなーとはおりがらみの時に思ってたけど、こんなに我が家とは相性が合わないのか…

もう7,8年前のことですが、初めて屋守を飲んだ時、東京の地酒でこんな美味いのがあるんだとビックリしたのを覚えています。その時はお店で一杯って飲み方だったからここまで腰を据えてというわけじゃないんですけど、それでも夫婦揃って気に入ったんだけどなぁ。



6日目。
それでもどうにかならんかと、もう一度飲む。あれ?やっぱり美味しい?
でも濃いなー、濃すぎて夏感はないし、ちょっと温度が上がるとダレそうな気配が匂い立つなぁ。

そういえば、好みがかなり合う酒友達曰く、屋守はロックが美味いって言ってたので試してみる。
日本酒ロックはそんなにしょっちゅうやるわけじゃないけど、なるほど、こういうタイプならむしろ積極的に試してみるがよいですな、ロック。

いやー、うまいなー。濃すぎるって感じがなくなってしっとり穏やか。まぁ当たり前ですが。
エステル香がじわっと香り、日本酒の、特に吟醸の大事な部分を抽出したかのような味わい。

いやー、この飲み方でしたかー。甘めのお酒が好きな人には勿論そのままが美味しいんでしょうけど、甘さが気になったらロックを試すというよい教材ですな。

そういえばこれを書いてて思い出しましたが、我が家は買わなかった屋守の荒責も、ロックがいいよって酒屋さんで聞いたなぁと。



12日目。
刺激がなくなって落ち着いたけど、ストレートで飲むにはこのお酒のいいところも薄くなった感じ。

ということで再びのロック。ほどほど氷が溶け出したら桃の香り。よいですなー。


焼肉と合わせる。こういう濃い味に対しては、甘みも含めて非常に相性が良いですな。血も滴る牛肉なんかを流すにはとても力強い甘み。



なんだか全然褒めてないような書きっぷりになってしまったんですけど、本質的には美味しいお酒だと思うんですよ。でも我が家は粕取り焼酎の香りにぴくって反応しちゃったから、甘さと相まって厳しいなぁってなってたわけなんです。

でも、適した飲み方を探るとやっぱり美味しく頂けるあたり、日本酒は奥が深いなぁと思う次第でございます。






屋守 純米中取り 直汲み無調整生 24BY
豊島屋酒造株式会社
精米歩合 八反錦 50/55%
酸度 1.1
日本酒度 -1.0


取手市 中村酒店さんで購入。

白隠正宗 純米 誉富士 24BY

瓶で飲むのは初めての白隠正宗です。お店とか試飲会とかでしか飲んでないなぁ。まぁ近場で買えるお店を知らないというだけですけど。

実は、先日我が家で奥様方の(女子会とは言わせない)飲み会が開催されまして、えぇ、怖くてとても近寄りたくなかったんですが、お酒の味見だけはちょっとだけしてきました。


冷蔵庫から出してちょっと経った、ちょっぴり冷や冷やで開栓。


静岡酒らしいほんのり酸味の柔らかアタック。香りも穏やかです。あぁ静岡酒万歳です。鑑評会の金賞がないなんて、なんぼのもんじゃいというところです。愛してます、静岡酒。

そして穏やかだけど、純米にしては香ってるといえるかな。この辺りの優しさと香りの感じが、誉富士なんでしょうか、どうなんでしょうか、未だに誉富士がよくわかりませんというほど飲めてません。



飲み会の残りをありがたくいただきます。2日目。

冷え冷えで飲むと酸味がたって旨味がない。ちょっと置くとすぐに復活する。温度もそうだし、空気に触れるとよく開くタイプなんですね。

常温くらいまでゆるゆる上げると旨味が増す。以前の燗寒BBQの時の正雪を思い出すと、誉富士は温度を上げていくほうが美味しいのかもしれません。静岡酒の仄かで綺麗な酸味と穏やかな旨みや香りは、いつも冷酒をイメージさせられるんですけど、いやいや結構幅広く楽しめるものでございます。

喉に落とした後の消え方もやさしく、フェードアウトって感じ。あぁ、静岡酒を堪能致しました。


激旨ってビックリするタイプのお酒じゃないけど、きっと全く飲み飽きない日々の良酒でございます。

静岡酒の愛飲日常酒である喜久醉よりも、甘みも旨みもちょっと軽くて軽快。僕はたまに喜久醉が美味しすぎるときがあるので、そんな時に選びたいお酒かもしれません。あぁ、それっていつもは伯楽星の役割か。味は違えど立ち位置が僕の中で近いということですね。なるほど、気に入る訳でございます。






白隠正宗 純米 誉富士 24BY
高嶋酒造株式会社
精米歩合 誉富士 60%
酸度 1.5
日本酒度 +4

2013年5月29日水曜日

澤の花 純米吟醸 夕涼み 24BY

2013年の夏酒第2弾は、澤の花です。

最近、あまり得意じゃないと連呼してる長野酒。この澤の花も、普段の味は私的には典型的な長野酒のスタイル。美味しいの認めるんですけど、積極的には買わない、そんな銘柄の一つです。

でも夏酒は毎年楽しみにしています。いつもの感じとはちょっと違ったスッキリさが、苦手意識を払拭してくれます。嗜好品なんだから、そんなに苦手なら飲まなきゃいいのにって自分でも思うんですけど、この美味しさがわからないままでいるのも悔しいんですよね。いいんです、嗜好品ですから理由は人それぞれ。


購入後ちょっとの冷蔵庫、なのでキンキンに冷えてはない、花冷え弱って程度で開栓。

程よく酸味を含んだ香り。強い香りではないけど、スキっと、一直線に立ち上る感じの硬質な印象。

口に含むと、棘のないきれいなアタック。舌の上でじゅわっと酸が湧いて、旨みを適度に引き締める。この酸の雰囲気は長野酒の特徴の一つだと思うんですけど、夏酒はそこが強く主張しないというか軽快な印象。
喉に落としても、普段の苦味のような引っ掛かりは極々わずか。まぁ冷えてるってこともありますが。
余韻は短く、爽やかに飲み切る、スマートな一本です。

やっぱり夏酒は軽快でよろしいですなぁ。

お米は長野酒の定番、ひとごこち。輪郭がボヤけないクリアな印象は、夏酒にピッタリでございます。でもひとごこちが故の酸味が苦手要素を生むんだけどなぁ。なんで夏酒だといい方向に解釈出来るんでしょうかね。えぇ、人の、というか僕の舌なんて適当なもんです。

そして昨年より精米歩合が5%上がって50%まで削るようになったとか。そのおかげなんでしょうか、アタックの酸味の主張が減って、非常に綺麗な入り方になってます。

温度が少し上がってきても、この雰囲気は崩れないまま。若干酸味が強くなりはしますけど、軽快さは保たれます。

50%の純米吟醸、普段なら食中酒にするには主張が強くなりそうなスペックですけど、夏酒はクイクイいけるから素敵でございます。



半分残して翌日に。
少し酸が強くなったかな?って程度の変化。
さっぱり美味しいまま、食中酒としてかなり好印象で頂けました。
2日で無くなるんだから、そりゃ美味しい証拠でございます。





澤の花 純米吟醸 夕涼み 24BY
伴野酒造株式会社
精米歩合 ひとごこち 50%


取手市 中村酒店さんで購入。

2013年5月27日月曜日

出雲富士 純米吟醸 山田錦 無ろ過生原酒 24BY

数年ぶりの出雲富士です。というか、瓶で買うのは初めてです。

6,7年前、当時よく行ってた日本酒が素晴らしい居酒屋さんで初めて飲んで、その華やかさというか甘さ、そして綺麗さにおぉってなったのは覚えてるんですが、それ以降出会うことはなく…

ところが初めて行った酒屋さんにあるじゃないですか。スタンダードなのにするか、季節ものにするか、時期を逃してはということで季節ものの無濾過生原酒にしてみました。いやー、お久しぶりでございます。

冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

いやー、香る。ふわっと甘い吟醸香。アルコール感は非常に薄く、漂う上質の甘い香り。

口にふくむと冷えによる固さが一瞬、そしてすぐに弾けてブワッと甘い。そのまま甘さを残して、他に引っ掛かるところもなくするすると喉に落ちる。空気を含ませると、甘さが解けて米粉のような感じも。

上質な甘さを楽しむにはとても良い出来です。

ちょっと温度が上がってくると、アタックのツルっとした感じがなくて甘さが立ちすぎるかな。元々食中酒向きとは思ってないですけど、やっぱりきっちり冷やして一杯飲むのにふさわしいお酒です。

山田錦のお酒は、一歩間違うとベタベタの甘さになると思ってますが、出雲富士はそのギリギリを攻めて綺麗に仕上げたという印象。



3日目。
甘さが少しだけ落ち着いてよりクリアな味。旨味も甘みもあるけど、相変わらずするすると進む。
香りはまだまだ甘さが濃厚に立ち上る。

エアレーションしてみる。ほんのりあった雑味のような苦味が消える。
元々アタックが柔らかいから、劇的には変わらないものの、更に柔らかく優しい口当たりに。



瓶飲みは初めての出雲富士でしたが、なかなか満足度の高い一本でした。ただ、甘みが味の中心なので食中酒向きではなかったなと。無濾過生原酒ですし。お店で一杯という飲み方がお似合いな気がします。

以前お店で飲んだのは大吟醸だったので、同じような味の記憶があります。となると、スタンダードなランクだとどうなるんでしょうか。そのうち試してみたいですな。







出雲富士 純米吟醸 山田錦 無ろ過生原酒 24BY
富士酒造合資会社
精米歩合 山田錦 55%


印西市 酒乃なべだなさんで購入。

2013年5月25日土曜日

大和桜 ヒカリ 2012年発売

美しい白衣を纏ったヒカリ。お米がコシヒカリとヒノヒカリ。なのでヒカリ。

開封するのがもったいない美しい佇まいなんですが、開けないと飲めない。そして開けたら楽しいのも知っている。





白衣を脱ぐと職人の前掛け。



この蔵元は結構寝かしてから出すから、これをBY表記するのがいいのか発売年で表記するのがいいのか悩んでしまいます。まぁ少なくとも年単位の寝かしをするのは伺いましたから、素直に発売を書くのがいいのかな。この瓶も買ったのは2013年ですけど多分2012年に発売で、仕込んだのはもっと前だろうし。

どっかに書いてないかなーって思って瓶を眺めてたらありましたよ、こんなトコロに。



さてと飲みます。


ストレート。
甘い。米由来の甘み。黒糖じゃないけどああいうちょっと独特の甘みがある。しっとりと濡れた感じ。吟醸香のような香りの甘みがあって、舌ではラムのよう。辛味は控えめ。お湯割りよりロックかな?

でもまぁお湯割り。またこれ優しいなぁ。甘味が控えめになり、スッキリする。なんかちょっともったいないかな。お湯じゃない、これ。ストレートで飲んだ時の印象は間違ってなかった。


ロック。
これでした。粕取り焼酎と、さすがに間違えはしないけと、その片鱗があるような甘味が映える。芋の甘さと二重の味わい。それがバラバラじゃなくて折り重なる味わい。
ほどほど氷が溶けたくらいが一番味わい深い。甘みとキレのバランスが素敵。あれか、前割で水割りを氷無しで飲むのが至高かも。

とりあえず水割り。
あぁ、こっちでしたか。香りも甘みもコクも無理なくそこにある。ロックで飲むのと同じ感想が全部優しい。軋まないと言いますか。前割を作っておこう。あー楽しみ。



前割して2日目。1日は常温でおいて、2日目に冷で飲むために冷蔵庫へ。
あれ?あれ?薄い。駄目だ、僕には5:5は薄かった。っていうか、前割って比率はどんなんがいいんやろか。とりあえず、6:4になるくらい足しておこう。

ちなみに前割しておく時間なんですが、以前聞いたときは前日に翌日飲む分をってことだったんですよね。でも、先日八千代伝酒造の健太郎さんから聞いたのは、3日目くらいまでは変わらないよと。1週間くらい寝かせると違いがよく出てくると。
なのでとりあえず今日は味見のつもりでした。いやー、味見しておいてよかった。

そういえばちょっと前に龍宮の蔵和水を飲んだ時、こういう蔵で割水したのって流行ってるのかどうなのかなって思ってたら、2年ちょっと前にこんなプレスが出てました。ほー、やっぱりそれなりの大きな流れだったんですね。今でも売ってるみたいですし。



一週間どころか10日経っての味見。僕じゃなくて奥さんが味見して、めっちゃ美味しくなってるってことなので一杯。

すごい。香り方がまず違う。ふわーと甘い香りを撒き散らす。こういう感じで香る焼酎は今までなかった。湧いて出るというか目に見えそうなくらい、香りの塊がグラスの上に漂う。

口に含むと甘みと香りがふわーとかおって、喉に落とすときにボフって香ってふっと消える。薄くなくて優しい。前割ってやっぱすげーなー。
刺激は全くなくてツルツル。芋由来の香りは喉を通過すると共に消えていくんだけど、結構長く続く余韻は米味。お米の粉々しい感じが喉の辺りをさまよってる。
うまいなー、ヒカリには前割が一番合ったなー。

うん、でもこれってこのお酒に前割という手法が合致したのか、それとも前割はどんな焼酎もこうやってすごくしてくれるのか、「前割の威力」と「銘柄との相性」の違いが謎として残る。特に前割で10日って自分でやったの初めてですし。まぁいろいろ試していこう。

ともあれ、大和桜のヒカリは前割がとても美味しいということです。
今度はもう一回前割を仕込んで、燗を付けてみよっと。




大和桜 ヒカリ 2012年発売
大和桜酒造株式会社
25度

鹿児島市 山形屋 薩摩酒蔵さんで購入。

2013年5月23日木曜日

秋鹿 純米吟醸生酒 24BY

我が家の2013年の夏酒は、秋鹿でスタートです。

夏酒、ここ数年で本格的に火が付いて、いろいろな蔵元が並ぶようになった気がしますが、私的には7,8年前(だと思う)に石鎚の夏吟に出会ったのが始まり。

コンセプトとして面白いなと思い、当時は冷卸よりも楽しかったものです。今では種類も増えてきたので、新酒、冷卸とならぶ季節の風物詩として定着しましたけど。

以前は「夏吟」というイメージで、辛口さっぱり、でも爽やか華やか吟醸ってスタイルが主流だったと思いますが、最近は「夏の生酒」というのも夏酒のスタイルなんですね。名門酒会が謳ってるからかな?

この秋鹿も名門酒会の一本です。この場合、夏吟も夏生も両方なんですけど。


ということで、夏に飲むのにふさわしく冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

吟醸香はさほどでもなく、口に含むと秋鹿の味わい。でもいつも程の濃厚さはなくさらりと。
米味は十分なのに後味スッキリという、まさに夏酒ですなー。

奥さん的には、スッキリしすぎて物足りないと。まぁ秋鹿の酒質を考えると、そもそも夏酒向きじゃないというのも一理あるなと。
逆に言えば、こんなふうに万人受けしそうな秋鹿もまた面白いと言えますが。

名門酒会の秋鹿は、普通?の秋鹿に比べて元々さっぱりしてると思うんですよね。だからガッツリ秋鹿を期待して飲むとちょっと肩透かしをくらうんですが、酸が立ちすぎず、バランス重視なので、みんなに奨められる秋鹿入門酒といえるのかもしれません。うーん、でもこれだと秋鹿のインパクトを伝えるには物足りないから、むしろ秋鹿を知ってる人が爽やかさを楽しむ秋鹿上級酒なのか。

まぁ入門でも上級でもどっちでもいいんですが、豊潤辛口+酸の絶妙な味わいはやっぱり秋鹿ならではでございました。




秋鹿 純米吟醸生酒 24BY
秋鹿酒造有限会社
精米歩合 山田錦 60%


つくば市 たがみ酒店さんで購入。

2013年5月21日火曜日

磐城壽 純米 中汲みしぼりたて 24BY、ふたたびの味

初めて入ったお店で見かけたら、前回と仕込みが異なってたので購入。

なんて偶然の出会いのように言ってますが、遠出して磐城壽が売ってるお店を探して訪ねたらこれがあったんですよね。というかこれしかなかったんですよね、磐城壽。
ちょっと前に飲んだからなー、美味しかったけど知らない銘柄も売ってるしなーなんて思ってたんですけど、ふと思い出して仕込み番号を確認すると違うじゃないですか。それは確かめねばいけないということなんですよ、きっと。


冷蔵庫から出して程々冷や冷やで開栓。

よく立ち上る香り。前回よりシャープな気がする。

口に含む。美味いなぁ、やっぱり美味いなぁ。香りと同様に、アタックがシャープ。尖るとか刺激があるとかそういうことではなくて、旨みが滲み出ないと言いますか、ツルっと表面が艷やかという感じ。

その後にジュワって旨みが広がるんだけど、やっぱり記憶よりも佇まいがスマート。おりがらみの感じがあまりしない。ちゃんとおりが舞ってるだけど、味としては一体化したと言いますか、安定したと言いますか。


あ、旨みが足りないということではないですよ。記憶との差分の話ですから。
それに好みで言うなら今回のほうが食中酒として飲みやすいですし、全体的なまとまりが良い分評価が高いんですよね、個人的には。

新酒らしい荒々しさを求めるなら前回のほうがフィットするんですけどね。


味の方向性は同じ商品として販売してるだけあって揃ってるんだけど、口中の皮膚に触れる感じが違うのかなー。

それにしても美味い、飲みやすい、飽きない、ダレない。危うく一晩一升になってしまうところでした。グッと堪えて一杯分を残したですよ。



3日目。

華やか、すごいバナナ。華やかさ極まりって感じ。いやー、ビックリの変化。その上、ツルッと喉越しの良さはそのままで、重たくならずしっかりした味で軽快といういいとこ取り。
ただ、その香りの代償として、アルコール感も強く感じる。特に余韻。でもそれを補って余りある香りだから私的には問題ない。
まぁ残りがちょっとだったから、というのもあるんだと思う。もしこの味が開けたてから出てきてたら、ちょっと重く感じるかもしれないし。

小名浜のさつま揚げと合わせる。
練り物大好き一家なので、さつま揚げは結構いろいろ食べてきてます。最近は本場の鹿児島串木野に行ってきたし。でも、小名浜のさつま揚げはまたちょっと違って、しっとり上品。きめ細かい練具合とあっさりとした味付けで、軽快な海の酒によく合う。


いやいや、同じスペックでも、仕込みが違う、つまり仕込みの時期も出荷の時期も違えば、同じ味の中にこれほどの変化を見つけられるとは。楽しいなぁ。




磐城壽 純米 中汲みしぼりたて 24BY
株式会社鈴木酒造店長井蔵
精米歩合 65%


足利市 武井酒店さんで購入。

2013年5月19日日曜日

武勇 吟醸 生酒 蔵の旬かすみ酒 24BY

年に一度のお楽しみ、武勇の蔵の旬。

随分昔のことですが、蔵におじゃました時の記憶が間違ってなければ、大吟醸酒と吟醸酒の底のおりがらみのブレンドのはず。なので特定名称は精米歩合の低い吟醸となるわけです。

ちなみに早瀬浦の浦底は、同じようにタンクの底のおりがらみを集めたものですが、純米をキーワードに集めたもの。武勇の蔵の旬は、吟醸というキーワードで集めたものということです。

ちなみにラベルにはかすみ酒って書いてますけど、つい蔵の旬って呼んでしまいます。かすみ酒って名前が付いたのは、去年だか一昨年だか。それまでは蔵の旬だったんですよねー。
もう飲み続けて数年なので、癖が抜けません。

ついでに記録を探ると、瓶が透明になったのは3年前の21BYから。かすみ酒って名前にはまだ馴染めてないですけど、透明な瓶はコンセプトと似合ってて変更当初からお気に入りです。


さて、余談はともかく開栓です。冷蔵庫から出しての冷や冷やでスタート。


開けると共に爽やかな吟醸香。よく冷えてるのに香るなー。

口に含むと綺麗な酸と共に抜ける香り。武勇の活性諸白でも爽やかさは感じられるのですが、こういう酸味とはちょっと違う。
そもそも武勇は厚さが大きな特徴で、米の旨みがどっしりって感じ。爽やか武勇は新酒ならではのもの。活性諸白が始まりの味なら、蔵の旬は終わりの味と言ったところでしょうか。

それにしても、おりがらみとは思えない透明感。これは冷たいうちだけかな。

徐々に温度が上がると、おりと共に味わいにも濁りが。豊潤なコメの濁り。硬くて綺麗か、解けて豊潤か、どっちも捨てがたい。

普段のお酒で冷え過ぎると出てくる苦味が、これでは温度が上がるにつれて感じられる。いつもの酒とはちょっと違う感じ。なんでだろうな。おりの味が強いのかも。


鯛の昆布締めの炙りと合わせる。冷たいうちが特に合う。綺麗な酸と昆布の香りの相性がとても良い。

普段武勇は濃厚な旨味が食事を支える、そんな合い方だと感じてたけど、蔵の旬は爽やかさによる合い方になるから、ほんとお酒は楽しい。



翌日。香りはちょっと落ち着き、食中酒としてはむしろこれくらいのほうがいいかもしれない上品さと味わい。



ちょっとだけ、1週間くらい置いてみました。
丸い。綺麗といってもキリリとした部分があったんですけど、正に角がとれた感じ。その分爽やかさはなくなるから、どっちがいいかは好みでしょうなぁ。

そして味わい自体が、乳酸が強くなりヨーグルト感。普段の武勇より酸は立ってたと思いますが、これはその酸味が分厚くなった印象。決して酸が突出するわけではなくて、重厚になって、それがコクになってるということでしょうか。


蔵の旬って、もう一回飲むには(味も値段も)ちょっと贅沢やなーって毎年思うんですけど、でもやっぱりもう一回飲みたいってなると、もうその頃は売り切れてるわけです。
まぁほっとかれませんよね、美味しいお酒は。今年はどうしようかなぁ、そろそろ夏酒始まるしなぁ、と悩んでしまいます。






武勇 吟醸 生酒 蔵の旬かすみ酒 24BY
株式会社 武勇


取手市 中村酒店さんで購入。

2013年5月17日金曜日

南 純米中取り無濾過生酒 24BY

愛する南、毎年恒例の中取りです。無濾過の南はいつもより骨太濃厚。さらに中取りと来れば旨味も品格もたっぷり。そして今年のは例年に増して濃厚な気がします。


冷蔵庫から出してちょっと置いて開栓。

香りは、立ち上りの勢いが強いわけじゃないけど、香り自体は結構強め。濃い米の香りに芳ばしさもあります。

口に含むと、樽香のような香ばしさ、キャラメル系のコクと苦味。なんだか妙に熟成したお酒みたいなんですけど。
舌の上でふくらませると、リンゴ?のような爽やかさも。濃厚さは蜜ような感じでも、しつこくなり過ぎないのは松山三井だからかな。どこか最後は綺麗なまま。

普段の南は、この綺麗な感じが先に来て、その奥に味わいがあるって印象だったんだけど、これは旨味が全面に出てくるし、いつもより随分旨味が複雑で色とりどりといった感じ。



二日目。
空気に触れてか、益々の熟成感。これが今年のお酒とはって、秋鹿を思い出す。

南は高知のお酒の中では味わいがあるタイプと思ってました。それでも、淡麗という言葉に代表されるキレとはまた違う高知酒ならではの軽やかさがあって、そのバランスが味の大きな特徴だったと思ってます。
この一本は、そのキレを上回る芳醇さ。いつ寝かしたんですかと。



一日開けて四日目。
熟成感は止まって安定した感じがある。温度が低いままで飲んでるのに、香りも立つし旨みもずっしり。


せっかくなので1週間。

普段の南には合わせようと思わない、ガッツリ牛肉と共に。
肉の脂をサラッと流す効果に加えて、口に残る肉汁と南の混じった濃厚な風味。お酒もお肉も二度美味しい。


開栓から1週間引っ張ったけど、全くダレないし、キリッとした風情のまま濃厚豊潤で終わりました。

この感じが続くのなら、南の購入率が上がりそうです。我が家的には、凱陣、秋鹿、王祿あたりに代表される濃厚爽やか系は貴重な銘柄ですから。






南 純米中取り無濾過生酒 24BY
有限会社南酒造場
精米歩合 松山三井 60%
酸度 1.7
アミノ酸度 1.3
日本酒度 8.0


取手市 中村酒店さんで購入。

2013年5月15日水曜日

八千代伝 ひとつき半むろか 24BY

年末に買い逃してたら、鹿児島でまだ売ってたので購入。さすが地元です。まぁ残り数本でしたけど。

買い逃してたって書いてますけど、実は焼酎ってあんまり時期ものを追っかけてなくて、スタンダードで美味しいものを愛してるからあんまり固執してなかったんですね。でもこれは、焼酎バー礎さんで飲んで、あまりの美味しさにやっぱ買わんといけんとなりました。

昔飲んだ時はロックだった。礎さんで飲んだのもロック。でもでも今日からはお湯も試しますよ。


まずはストレート。
辛味の後に濃厚な甘味。ジトっと舌にまとわりつく。ジトって書くとなんかいい印象がないですよね。でもあれですよ、悪い印象がないジトって言葉ってなんなんでしょうかね。濃密に舌を覆う甘露です。

お湯割り。
纏まる。なんだろう、これが完成形という風情。お湯割りにしても甘味は後からやってくる。最初の印象は粉。芋粉。こふき芋。奥さん曰くペースト。ねっとりしっとり旨い。

お湯の温度を少し上げる。
衝撃的な美味さ。膨らみ方が違う。ずっと5:5で割ってるんだけどなぁ。あー温度計が欲しい。買おう、これは買って記録しないといけない。
この状態は冷めてもそのまま。濃密になった味はそのバランスを保ったまま温度を下げていく。

蜜が詰まってるって果物に使うと思うんですけど、このお酒をお湯割り、ちょっと温度高めを試すとその言葉が出てくるんですね。もちろん果糖のような直接的な感じではないんですけど、お湯で割ってお酒自体を薄めてなお濃密さわかるってのが面白い。


先日蔵にお邪魔した時に専務の健太郎さんとお話してたのが、海外の人、特にウイスキー文化圏の人たちは割水して売るというのがわからないらしいんですよね。こんなに美味しいお酒をなぜそのままで売らないのかと。
確かに通常の焼酎は割水して25度にしますしね。このひとつき半むろかだって25度です。でも、割水しててその上お湯で割って、でもストレートで飲むのとはまた違う味があるですよ。

原酒の美味しさって確かにあります。僕も割るなんてもったいないって、ホント鹿児島行くまでずっと思ってましたし。でも、この懐の深さが芋焼酎の凄みなんじゃないかと思ってしまったわけです。

原酒で出して、氷で溶かして、水で割って、最後お湯で割って、ってみたいな一連のストーリーで提供出来ないのかなって思うお湯割り初心者であります。





八千代伝 ひとつき半むろか 24BY
八千代伝酒造株式会社
25度


鹿児島市 山形屋 薩摩酒蔵さんで購入。

2013年5月13日月曜日

大吟醸立ち飲み試飲会@取手市 中村酒店

日頃お世話になっている取手市の中村酒店さんで、この時期ならではの限定酒、高級酒を集めた試飲会が開催されましたので、お邪魔して来ました。

出品は8銘柄で、何が出品されるかはオープンの状態で、ブラインドチェックです。条件を揃えて、花冷え程度の温度でした。

5勝3敗、僕にしてはかなりいい成績でしたが、伯楽星を当てられなかったという痛恨の失態もありつつ。まぁ成績が悪かったら書きませんけど、えぇ。
  • 九頭龍 大吟醸
  • 無風 大吟醸 生原酒 華や香
  • すてら 純米大吟醸 本生
  • 伯楽星 純米大吟醸 東条秋津山田錦
  • 明鏡止水 純米大吟醸 m12
  • 鶴齢 大吟醸 生原酒
  • 鳳凰美田 純米大吟醸 無濾過本生 赤判
  • 鳳凰美田 大吟醸 原酒 別誂至高
あ、写真には9種類ありますが、黒龍の大吟醸は今日参加出来なかった常連さんからの差し入れという、なんとも太っ腹な話でございます。


さて、それぞれと味わっていきます。

九頭龍 大吟醸。
ほんのり乳酸、後味の穏やかさ、若干香りの足りなさから、お燗かなと九頭龍を予想。正解でした。

本来お燗して飲むコンセプトで醸されてるお酒ですので、冷やを味見した後はお燗のプロがお燗を付けてくれました。

45℃あたりの上燗で飲みましたが、乳酸が解けて旨みになるって感じの、ホロホロ燗酒。美味しいけど、大吟醸らしさ、特に吟醸香の部分はよくわからなかった。
あと想像ほど燗上がりしなかった。まぁお燗は冷やで全種飲んだ後ですから、その印象に引きづられてる気もしますけど。

吟醸酒の燗酒って、一昔前は邪道とかありえないとか言われてましたが、僕はその頃から超ぬる燗とかで吟醸酒を飲んだりしていました。もちろんそれが合う酒、合わない酒はあるんですけど、吟醸香が飛ばず、嫌な感じにならず、でも燗上がりした旨みが楽しめるみたいな。
それを期待してたってのもあるんですけどね。

九頭龍に関してはお燗用の吟醸酒なので、程々温度を上げてもいいと思ってましたが、もしかしてもっとぬる燗で飲むべきだったのか、謎は深まるけど多分自分では買わないからなぁ、何時かそういう機会に恵まれますようにと。


無風 大吟醸 生原酒 華や香。
しっかりした甘さがあり、割りと口の中に残る濃厚な感触。無風か鶴齢で悩むも、無風は以前大吟醸を試飲しても結構さらりとしてたから外し、強いて言うなら新潟酒の中では濃厚な鶴齢を選択。鶴齢らしい濃厚でもキリリとした辛味がないことに疑問を感じてたら、やっぱり外れ。

なるほど、華や香という銘打つだけありますね。何時もの無風とはちょっと違う。
思い返せば、この蔵の醴泉に印象は近いかな。

温度が上がってなくても濃厚な味わいで、ねっとり美味しい。温度が上がるとダレちゃいそうなタイプの甘みなんだけど、踏みとどまってくれるあたり大吟醸クオリティでしょうか。

一応これも燗酒で試してみました。35℃。あぁ、もったいないな、常温がいいな。



すてら 純米大吟醸 本生。
ちょっと雑味が残り、今日のラインナップの中ではちょっと物足りない、そんな失礼な消去法から、すてらを選択。正解だけど、なんかちょっとそれは嬉しくないなぁ。

温度帯の問題か、ちょっと苦味となる雑味が気になり、そして旨みが少なく感じる。
ところが35℃でお燗すると、雑味が芳ばしく香るナッツの味に。旨みが少ないという側面は、お燗になれば主張が強くなくて優しいといういい側面に変わるから面白い。

お燗しないまでも、常温くらいには上げて飲むべきお酒かもしれませんって、しまった、後から常温で飲んどきゃよかった。


伯楽星 純米大吟醸 東条秋津山田錦。
東条秋津と言えば山田錦の最高峰。フロンティア東条21っていう、東条の山田錦を使った日本酒を造る団体?もあったりして、まぁ有名なお米です。

旨みはあるけど、スルッとサラッと抜ける味わい。エステル香が薄っすらと香り上品。もっとこの感じが強いと鳳凰美田の可能性もありつつなんて試飲。軽さの点から無風を選択。そして伯楽星を外すという痛恨の極み。これは候補にすら上がらなかったからなぁ。

温度が上がってくると、伯楽星らしい乳酸の味わいも出てきて、一癖あるのに何も引っかからないという素晴らしい味わいを堪能しました。

適温で飲めば分かったって強がりたいところですが、伯楽星好きの酒友達は当ててましたから、それは単なるいいわけです。

そして伯楽星と言えば燗酒の隠れ王者。大吟醸だとしても試さないわけにはいけません。50℃の熱燗。激旨です。普段の純米より乳酸が少なく、むしろアミノ酸といった旨みの立ち方。ブドウのような旨みと酸味。
大吟醸ならではの綺麗さや爽やかさがそのまま残って、何だこの燗酒は、という不思議な味わいです。あぁ贅沢。



明鏡止水 純米大吟醸 m12。
軽い綺麗な酸と米の旨み。綺麗なんだけど、最後にちょっと苦手な引っ掛かりがある、ってことから、これはきっと長野酒と予想。なので明鏡止水ですなと正解です。

長野酒、美味しいとは思うんだけど、結構どの蔵にも共通して後味が苦手なんですよね。苦いというか引っ掛かりがあるというか。我が家ではこの感覚は共通認識なんですけど、なかなか他の人には説明が難しい感覚。美味しいわけですし。
嫌いじゃないけど得意じゃないという、個人的にはなんとも扱いが難しいお酒たちです。


鶴齢 大吟醸 生原酒。
整った旨み、切れのよい酸、でも温度が低いせいかちょっとほろ苦さも。甘みの感じが強いかなと思いつつも、適温より低いと苦味が出やすい新澤醸造店さんの特徴を優先して伯楽星と予想。鶴齢でしたか。

わかってから飲むと、甘さの感じはやっぱり伯楽星じゃなかったなと、えぇ銘柄を聞いてから飲めばそんなもんです。甘辛のバランスがよく、そして大吟醸らしい綺麗さ、鶴齢の濃厚越後酒という(勝手に思い込んでる)特徴の集大成だなぁと。

生原酒ですから、いつも以上にしっかり濃いめの味わいなのに、温度が上がってきてもぼやけることなく飲めるですよ。鶴齢のキリリと引き締める味に、大吟醸故のスマートさが加わって、余韻の愉しさは秀逸でございました。

これもちょっとお燗してみました。37℃。酸が立ち上がって、えぇアミノ酸です。美味い。燗酒の方が旨かったということではないですけど、なかなか普段は味わえない酸の立ち方です。



鳳凰美田 純米大吟醸 無濾過本生 赤判。
飲んだ瞬間わかる、美しき鳳凰美田の味。香りは控えめですが、口に含めば隠し切れない美田香。髭判だったり先日の試験醸造の愛山だったりを思い出す、細面の輪郭です。

最初に飲んだ時点では、鳳凰美田とはわかっても赤判か別誂かはわからなかったんですけど、最後の一本を飲んだ結果、消去法で赤判を選択して正解。


鳳凰美田 大吟醸 原酒 別誂至高。
至高、まさに至高の一本。すごい、なんだろう、飲んだ瞬間の印象は、赤判と同じく大吟醸クラスの鳳凰美田に共通する感覚なんですけど、その後の美しさがあまりに突出してる。そりゃこれが別誂ですよと即断でございます。

なんでしょう、溶けていく感じなんですよ。液体が。液体が溶けるってなに?って感じなんですけど、例えるならそういう表現になってしまう。
特に、花冷えから涼冷え程度の常温まで上がり切らない温度帯、そこでの美しさはここ数年でもトップクラスの衝撃でございます。




と、まぁ贅沢な試飲会でございました。

個人的感想は、鳳凰美田の別誂至高があまりに突出。次点は伯楽星でした。
ただ、お燗をしてみての面白さでは、すてらのナッツ感、大吟醸でも熱燗が旨い伯楽星がこれまた印象的でございました。

余談というかおまけの話ですが、大吟醸のお燗は、乳酸系の旨みではなくてアミノ酸系の旨みが立ってくるという共通点がある気がします。
まぁ滅多にやることもないんですけど、想像する燗酒の味わいとはちょっとずれた位置に旨みのポイントがある、という面白い発見もありました。


九頭龍 大吟醸
黒龍酒造株式会社
精米歩合 五百万石 50%

無風 大吟醸 生原酒 華や香
玉泉堂酒造株式会社
精米歩合 山田錦 50%

すてら 純米大吟醸 本生
稲葉酒造場
精米歩合 五百万石 50%

伯楽星 純米大吟醸 東条秋津山田錦
株式会社新澤醸造店
精米歩合 山田錦 29%

明鏡止水 純米大吟醸 m12
大沢酒造株式会社
精米歩合 山田錦/美山錦 45%

鶴齢 大吟醸 生原酒
青木酒造株式会社
精米歩合 山田錦 48%

鳳凰美田 純米大吟醸 無濾過本生 赤判
小林酒造株式会社
精米歩合 山田錦 40%

鳳凰美田 大吟醸 原酒 別誂至高
小林酒造株式会社
精米歩合 山田錦 35%


取手市 中村酒店さんで開催。


2013年5月11日土曜日

なかむら 2013年春

蔵にお邪魔したときにちょうど詰めてたのがなかむら。外では何度も飲んだことあるのですが、なぜかこれまで瓶で買えなかったんですよね。タイミングを逃してまして。

でも今回はなんせ蔵で見てきてますから、家に戻り次第速攻で購入です。きっとこのボトルは蔵で見たボトルの一本に違いないと思いたい、ちょっと浮かれ気味な三十路です。


ストレート。
ストレートならではの刺激はあるものの、それ以上に感じるのは芋と米が一体となった甘い旨み。舌の上で転がすと、空気をまとって木のような芳ばしい香りも。飲んだ後も余韻が長く、ついまた手が伸びる。旨み、香りともに十分だから、どう飲んでも美味しいそう、どれがよさそうって決め切れない。

5:5でお湯割り。
芳ばしさが花開く。刺激がなくホロホロとした甘味と旨味。後味に酸味のような仄かな香りも。

お湯を熱めにしてみる。
いいなー、更に芳ばしい。奥行きのある味。綺麗なまま鼻に抜ける香り。熱めの方が味の太さを感じられる。

水割り。五分五分で割ってみる。
美味い。美味いけど満開って感じじゃないな。まだちょっと固く、そして刺っぽく感じる。多分この飲み方より美味しい飲み方があるって思ってしまう。
冷たく飲むならロックかな。それともこの固さを解すくらい前割しておけばいいのかな?

ロック。
濃厚さが際立つ。氷がほんのり溶けたくらいだと、糸をひくようなねっとりとした芋の甘さを感じて、その後の刺激が甘みを香りに変えて鼻へと抜けさせる。
氷が溶け過ぎないくらいに飲み切らないともったいない。せっかくの味わいがみるみる散っていく。


いろいろ飲んでみて思ったのは、ストレートが一番美味いなと。お湯や水で割っても美味しいんだけど、割水せずにぎゅっと詰まった旨みを味わうのが一番味を楽しめる。口の中で変化するのも含めて、ちびちびじゅわっと飲むがよろしでした。

よく飲んでた玉露シリーズとの大きな違いは、ストレートで楽しむほうがわかりやすい芋の味でございました。





なかむら
有限会社中村酒造場
黄金千貫/ヒノヒカリ
25度

つくば市 スドウ酒店さんで購入。

2013年5月10日金曜日

陽出る國の銘酒(ヒイズルシマノセエ)2001、2013年の黒糖焼酎の日

紅さんごの味見に気を良くして、もう一銘柄、陽出る國の銘酒(ヒイズルシマノセエ)の味見です。

朝日酒造さんの、自家製黒糖の一本。味見は購入して以来二度目、二年ちょっとぶりです。ストレートでジミジミと舐めてみます。

ボテッと横たわる、湿度を含む香り。重く濃厚。硫黄じゃないけど何か鉱物のような、一癖ある香り。爽やかさもほんのりあって、ローズマリーのようなハーブ臭も。

甘い香りはあまりしないのに、口に含むと爆発するような甘さ。ミネラルたっぷりの深い味。香りと味のギャップがすごい。

アルコールの刺激はあるものの、痺れた口中にじわっと甘みが滲み込む。爽やかな甘さではなくて、ジトっと濃厚。濃厚さ、という点は香りにもあるけど、甘さじゃなかったけど、酒質としてはこの湿気を含む濃厚さが特徴だと言える。

徳之島の徳南製糖さんの黒糖に「生黒糖」という商品があるのです。しっとりとした生食感のもので、冷蔵庫で寝かせると蜜がトロっとなる一品なんです。それは龍宮の富田さんに、これをアテに黒糖焼酎を飲むと美味しいよって教えてもらったんですが、その生黒糖を思い出す、密度、味わいの深さ。
風味は違えど、上質な黒糖に通じる深みを感じる次第で。

図らずも、上質のデザートで〆た、2013年の黒糖焼酎の日でございました。





陽出る國の銘酒(ヒイズルシマノセエ)2001
朝日酒造株式会社

紅さんご、2013年の黒糖焼酎の日

黒糖焼酎の日、2日目は紅さんご。

ボトルに何時のものか書いてないから正確なことはわからないけど、少なくとも購入してから6,7年は経ってるはず。いやもう8年経ってるかな。


相当久しぶりに味見です。ちょっとストレート、そして少々の氷で。

開けるとベイリーズの香り、とは奥さんの言葉。ベイリーズがわかんないから、それがどれくらい的を得てるのかはなんとも言えないけど。

味も香りもミルキー。ミルクの脂肪分。甘みは蜂蜜のような、甘味だけじゃないミネラルっぽい香りも。

鼻に抜くと熱く感じるアルコール感の刺激と、その次に湧き上がるのはやっぱり甘いミルク。牛乳飲めないのに、この旨さはわかるから不思議というか自己中というか。

熟成感や甘さの奥にある渋みやスモーキーさは、アイリッシュウイスキーを思い出す。まぁたいして詳しくないけど、昔少し飲んでた頃を思い出す。

それにしても余韻が長い。余韻というのが正しいのか、ちょっと桁外れな存在感。口から鼻までこの甘いミルクの香りに満たされたままで、喉に落としたあとも、数分という単位で香りが残っている。至福。

あと一つ、味には爽やかさもあるんだけど、それをなんと例えていいかわからない。ミントのような、でもピッタリではないんだよなー。

飲み干したグラスからも延々と香りが立ち昇る。いやー、強烈。
まだ1/3くらいはあるから、毎年黒糖焼酎の日に味見しよう。




紅さんご
株式会社奄美大島開運酒造

2013年5月9日木曜日

らんかん 2009、2013年の黒糖焼酎の日

5月9日、10日は黒糖焼酎の日。
我が家も2009年のらんかんでまったりでございます。


まずはストレート。
もう、注いでからの香りの立ちが止めどない。湧き上がる甘く鮮烈な香り。いやー、飲むのも忘れてくんくんし続けてしまうですよ。

口に含むとビリビリと痺れる尖り。その次に来るのは濃厚な甘味。辛くて甘くて、余韻はほろほろと苦い。折り重なるようにそれらが迫り来る。いやー、たまらんです。

少しだけ氷を落とす。
甘味が抑えられて、より刺激的。冷たさによる刺激と、旨味の刺激。辛い、でもやめられない。じっと辛さを味わうと、痺れた舌にじわっと甘味が湧く。

溶かして濃い目の冷たい水割り。8:2くらいかな。
あぁ、尖りが丸くなり、優しく甘さが香り立つ。今回のは絶妙に出来た。黒糖を舐めてるような濃厚なコクと甘味を味わえるんだけど、きっちり冷えてるから妙に爽やかさもある。

普段の愛飲酒、龍宮の30度と比べる。
やっぱり香りが決定的に違う。いつもの龍宮でも魅惑の香りなんだけど、ちょっと格が違うと言いますか。
そして舌触り。透明感がある、ガラスと言うかゼリーと言うか。

この香りと舌触りは、妙に艶っぽい、そしてちょっと湿度を感じる。名瀬のらんかん山と、その麓に建つ富田酒造場、曇り空の奄美がよみがえる。

やっぱり、このお酒は特別。



我が家のハレの日のお酒たち。おかしいなぁ、もっとあったはずなのに、なんだかんだで減っていってしまう。


らんかん 2009
有限会社富田酒造場