2013年4月29日月曜日

太平海 純米 おりがらみ 24BY

私的五百万石酒の代表選手、太平海。12月の本醸造の次は純米です。


冷蔵庫から出して一時間くらい、温度を戻しておきました。

キンキンに冷えてないから、これまでの印象よりよく香る。あの五百万石ならではの穏やかな香り。

口に含むと、おりがらみの分だけいつもより甘さが立つ。
五百万石のお酒、特に太平海は、お米の粉々しい感じがとても好きで、褒め言葉として粉っぽいって表現を使うんですね、僕は。ところが、おりが絡んで本当に粉っぽくなったら、むしろ艷やかな印象になるという面白さ。
フラットとかマットっていう印象じゃなくて、口の中で味の起伏が出てくるし。

温度を少しずつ上げていくと、花冷えくらいで最も艷やか、涼冷えくらいで最も濃厚。味わうなら涼冷えくらいが一番好みでした。奥さんは温度が上がり過ぎると単調になるってぼやいてましたけど。
おりがらみ系は、どうしても温度が上がり過ぎるともっさりしちゃうからなぁ。



間を置いて三日目。
冷蔵庫から出してすぐ、かなり冷えてるままでも旨味が増してて濃厚。かなりしっかり冷やして飲む前提なら、結構日持ちがする上に旨味も持続しそう。まぁそもそも、おりがらみタイプは温度が上がるとダレ易い傾向があるし、こういう飲み方がいいんだろう。

しかし、空気に触れてこういう濃厚さが出てくるならエアレーターを試したい。でもなぁおりがらみだとちょっと躊躇してしまう。

まぁまた来年のお楽しみです。





そういえば、これ3月製造の4月出荷なんだ。蔵のHPには2月出荷ってなってるから遅れてるんですねぇ。っていうか去年もそんな話をした気がする。


太平海 純米 おりがらみ 24BY
府中誉株式会社
精米歩合 五百万石 55%

取手市 中村酒店さんで購入。

2013年4月27日土曜日

王祿 純米 無濾過生原酒 長期熟成 16BY

202本の幸せ。そのうちの1本、貴重な蔵元熟成酒。

王祿酒造さんは酒が良い味わいになったら出荷すると聞いてますので、普段よく飲む本醸造でもBYが意外と古かったりしてびっくりします。

といっても、ここまでの長い期間を経たものは初めて。大変貴重なものでございます。


冷蔵庫からのキンキン冷や冷やでスタート。

香りは熟成ものらしいナッツ系の濃厚な香り。でも奥に樽香にも似た若々しい香りも。

口に含むと膨らみがすごい。きっちり冷やしてあるにも関わらず、冷たさを感じないといいますか。
刺激は少なく濃厚にして綺麗。舌の上で旨さの表情が次々に変わる。甘さ、苦さが旨味になって折重なる。甘い辛い苦いなんて単純な味じゃなくて、なんだろう、例えば煮干の旨みとコク、苦味があるような、そんな自然の恵みの複雑な味わいに似ている。

喉を通るときに若い爽やかな味も。これが元の味なのかな?そして香りの元なのかな?

この佇まいは年を重ねて出来るもの、というのはよくわかるコクでして、そこは熟成酒のわかりやすい部分なんだけど、このお酒にはどこか若々しい味が残る。熟成が足りないという意味ではなくて、古酒と新酒が同居してる不思議な感じ。

そしてグラス一杯飲む間にどんどん熟成感が抜けて、若々しさが蘇ってくる。でも、香りには熟成の濃厚さが。新旧のバランスがめまぐるしく変わる。

口の中の余韻、そして鼻に抜く余韻と相まって、飲み終えるとむふーって味わいを繰り返したくなる、っているかむふーってなっちゃう。

もったいないというのもあるけども、空気に触れてからの変化を楽しもう。これは一日一杯まで。



開けて一週間ちょっと。また一杯飲んでみる。

大きくは変化してない。甘みが少し増したかな?って感じで、リンゴに蜜が溜まったというべきか。ベタつく甘みじゃなくて濃厚になったみたい。その分若さの部分は減ったかも。

香りはコーヒーのような風味もプラス。冷蔵庫直後なのに、浮き上がる、漂うみたいな感じでよく香る。プンプンするのとはちょっと違う。

香りも味も、全体的に艶が出たというイメージ。チョコをテンパリングして艶出ししましたみたいな。まぁやったことあるわけないですけど。



開けて二週間ちょっと。また一杯。

変化がわかりやすく出てきてる。特に香りの濃厚さがすごい。醤油樽みたいな発酵臭。あぁこう書くとなんじゃそりゃって感じですけど、魅惑の香りなんですよ。

味にもコクの旨苦が強く出てきた。開けた時よりも随分どっしりしたんだけど、爽やかどっしり。まだ不思議な爽やかさもある。アタックがキツくないからかな。直ぐに口の中がブワってなるけど。

平目と合わせる。コクを足す。ものすごく合う。酒が強すぎるかと思いきやよく交じる。



開けて一ヶ月。辛口純米の新酒と飲み比べる。

相変わらず迫力がすごい。味の変化はほどほど落ち着いてきたかな。いや、落ち着いてきたというよりは、在るべきところに定まったというか。辛口純米のポストでも書いたけど、余韻が素晴らしい。香りと味のバランスが今すごくいいんだろうなと。



開けて二ヶ月。香りが濃密に貯めこまれてる。カカオ。トリュフの箱を開けたみたい。まったく弱ってない。

酸味と苦味がすごい。ブワッと来てすっと消える酸味。強くなくて片鱗を見せてすぐ消える。入れ替わり出てくるのはカカオの苦味。ほんと、先入観無しで飲んだらチョコと間違えるですよ。余韻は苦味。薄れてくると土とか炭とかみたいな香ばしさ。そしてまた酸味が顔を覗かせる。

ますます刺激が無くなってツルツルする。洗練されたというとパンチがなくなったように感じるし、丸くなったは意味はわかるけどなんかそぐわない言葉。なんて言うのがいいんだろう。



開けて二ヶ月半。
チョコチョコチョコチョコチョコの香りのあとに、妙な爽やかさ。開けてすぐにも感じたけど、まだこの感じが残ってるのが不思議。それどころか華開いて、爽やかというかフレッシュジューシー。果物の果肉ような存在感。なんの味だろうなー。

喉をとおり余韻はコーヒー。ちなみに口でグチュグチュしてよく空気に触れさせて味を膨らますと、カフェオレ。乳酸系のミルクっぽい部分が伸びて苦味を穏やかにして面白い。




開けて三ヶ月、最後の一杯。
ちびちびやってきましたが、ダレるなんて言葉からは程遠く、濃厚さが形を変えて漂い続けました。
ここまで引っ張ると、舌触りは落ち着いて大人しい。舌の上で転がすともう一度華開く、香ばしさと甘み。

ウドと小松菜の白和えと合わせる。ゴマの香りと混じり合うと、奥にある爽やかさがまた引っ張り出される。



熟成酒の凄みを体感させて頂きました。濃厚さの奥にある爽やかさが、醸造直後の面影を残してて時の流れが不思議に感じます。
達磨正宗さんの熟成酒だと10年とか飲んだことありますけど、熟成と言ってもこれはまた違った種類のお酒だったなぁと。

日本酒100年貯蔵プロジェクトってあるんですよね。もっと将来には、日本酒もビンテージを味わうような文化が根付いてるといいなと思ってしまいます。





王祿 純米 無濾過生原酒 長期熟成 16BY
王祿酒造有限会社
精米歩合 60%
酸度 2.0
日本酒度 +2.4

横浜君嶋屋さんで購入。

2013年4月25日木曜日

秋鹿 純米吟醸 にごり生原酒 霙もよう 24BY

昨年に続いて今年も飲むことが出来ました。霙もよう。
去年は開けた瞬間に吹き出して、とてももったいないことをしました。今年はよーく冷蔵庫で冷やして、大人しく開栓。

と思ったら、王冠の上に被せられる金属のを取った瞬間にポンっと吹き飛ぶ王冠。幸いお酒が吹き出す前に注いだのでこぼすことはなく。えぇ、開栓注意ってこんだけ書いてありますから。


ともあれ、飲む。

慌てて注いだ部分は上澄みの薄濁。
発泡してるおかげでとても良く香る。吟醸香よりも甘いお米の香りが強い。

口に含むと濃厚な甘味と旨味、米香る。でも発泡してるからかなり爽やかさっぱり。発泡感が強いと、どうしても炭酸の味もしちゃうんだけど、まぁそれ自体は悪いわけじゃないんですけど、秋鹿は酒自体の味が濃いからそれすらも感じなくなる。

しかしまぁ綺麗なのに濃厚。新酒の秋鹿だと寝かせてないからちょっとコクが物足りないって感じるんだけど、薄濁の秋鹿はその部分をオリが補うことで、味の系統は違うけど満足度は同じくらい高くなるなぁ。ましてや爽やか発泡だし。


ゆっくり注いだ濁り。
濁りが多い分だけ濃厚になり、綺麗さはちょっと影を潜める。まぁワイルドになったってことで。米味がぶんぶん口の中で暴れて楽しい。


牛肉のステーキと合わせる。
濃厚な秋鹿は、肉、それも出来るだけ濃厚な味と合わせたくなるんですけど、霙もようは発泡濁り。どんなもんかなと思いつつ、激レアの牛肉と合わせる。

余談ですが、刺しが一杯の脂じゃなくて肉々しい肉が食べたいとき、我が家はちょっと足を伸ばして水海道のブラジルスーパーに行きます。オージービーフが激安でガッツリ塊を好きな大きさで買えるんで。

和牛だと、どうしても刺しが多すぎてちょっと重たいんですよね。それよりも赤身なお肉のほうが肉味を楽しめる気がしますし、マリネして焼いたりソースを弄んだりと料理の幅が広がって楽しい。まぁ大体は奥さんがやってくれるんですけどね。あ、今日の肉は僕が焼きましたよ。

閑話休題。

血が滴り、肉の繊維を噛み切って食べる、そんな味と秋鹿はよく合う。濃い獣の味を秋鹿が溶かして、更にオリが包み込んで一体化する。熟成した艶やかな秋鹿の合い方とはまたちょっと違うんだけど、やっぱり肉には安心の銘柄でございますなぁ。

ちなみに鹿島灘の春しらすとも合わせたんだけど、合う合わないってことよりも秋鹿が強すぎてしらすの香りが消し飛んでしまう。合うんですけどね、ちょっともったいなくなっちゃう。




発泡感がなくなってもいいという覚悟で7日目。
またそれでもボフって感じはありつつ。

発泡感が落ち着いて濃厚さが表に出てくる。吟醸香も濃厚に出てくる。舌の上でつやっと香って、溶けて粉のように消えるおりが主張して美味い。

鯖の南蛮漬けと合わせる。濃厚さが増したせいもあり、やっぱりちょっとお酒が強すぎる。
不思議なことに、魚系のものと合わせると秋鹿の旨味が消えて米の味が強くなる。だからなんか勿体無いなぁってなるから、やっぱり肉系と合わせておけってことですかね。








秋鹿 純米吟醸 にごり生原酒 霙もよう 24BY
秋鹿酒造有限会社
精米歩合 山田錦 60%
日本酒度 +1
酸度 2.7
アミノ酸度 1.5

横浜君嶋屋さんで購入。

2013年4月23日火曜日

墨廼江 純米吟醸 八反錦 24BY

すっかり購入するのを忘れて、危うく逃すとこでした。人気の八反。

冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

墨廼江らしく、八反錦の吟醸でもそんなに強くは香らない。佇む程度の奥ゆかしい香りがほんのりと。

口に含むと、まだ冷えすぎてて酸味が強い。けど墨廼江らしさはちゃんとわかる。
温度が上がると旨味が湧く。八反らしいクリアな感じが爽やかのバックボーンですな。

今まで八反錦の特徴は、固いって印象だったんですけど、こうやって実際に文字にしてみるとなんか違う。表面がツルっとしてる感じで、そのために喉越しがいい。けどしっかりとした旨味も香りもある。ツルっとしてるって感じを固いイメージにしてたのかな。旨味も酸味をバランスよく立ち上がるから、固いって感じじゃなかった。ただ全体的に荒ぶらないというか折り目の正しい印象が強い。ということで、クリアな感じと言うべきなのかなと思った次第で。

その意味では、味自体の印象って結構薄いんですよね。これまでの固いってイメージも直接的な味の記憶じゃないしなぁ。最後にちょっと癖のある苦味が走るのがちょっとした特徴かな。


鯛の昆布締めの炙りと合わせる。旬の鯛の脂と混じりコクが複雑な旨味に。皮目の香ばしさが香りを補うというか引っ張りだす。



翌日。冷たいせいもあるんだけど、妙に苦味が気になる。温度が上がってきてもなんか引っかかる。

墨廼江といてばエアレーターとの相性がとても良い。ということでエアレーション。良いですなぁ。喉に刺さった棘が抜けた。

エアレーションして丸みを帯びても、さらに温度が上がってきても、綺麗な酒質は変わらない。これは八反錦のおかげなのか、やっぱり墨廼江が偉大なのか、どっちにしても墨廼江と八反錦の相性はいいですなぁ。







墨廼江 純米吟醸 八反錦 24BY
墨廼江酒造株式会社
精米歩合 八反錦 55%

取手市 中村酒店さんで購入。

2013年4月21日日曜日

王祿 純米にごり 出雲麹屋 仕込第十号 24BY

王祿さんにも活性にごりなんてあるんですね。知りませんでした。
そりゃもう飲むしかありません。

よーく冷やして寝かして置いたけど、開けるのに苦労する発泡感。


香りは甘く爽やか、美丈夫のうすにごりを思いだす。

開けるときにわかっちゃいましたけど、口に含めば改めてかなりしっかりとした発泡感。そして濃厚なコメの味。噛むような感覚。

濃厚な味の割には、余韻は短くさっぱり。王祿らしくないことこの上ない。うーん、すごく美味しんだけど、王録っぽさがわからないまま盃が干されていく。

なんだろう、この微妙な感じ。お酒としては十分美味しいのに、つい王祿の雰囲気を求めてしまうからズレというか違和感を感じる。あー、普段の王祿っていうか寝かされて熟成した王祿に引きずられてるなー。そんなに強烈に残っちゃってたんだ。


もったいない、というかお酒にゴメンナサイって気分です。






王祿 純米にごり 出雲麹屋 仕込第十号 24BY

王祿酒造有限会社
精米歩合 60%

横浜君嶋屋さんで購入。

2013年4月19日金曜日

黄金澤 純米 山廃原酒 24BY

全くお初の銘柄でございます。黄金澤

最近たまに行く(遠いからたまにしか行けない)酒屋さんからのDMで見て気になってました。なので久しぶりに訪問出来たので購入です。

玄関放置の常温で開封。

香りはほんのり、乳酸系。どっちかといえばやや古めかしい香り。まぁ薄っすらですけど。

アタックは爽やか、そこに山廃感ははない。綺麗な酸がジュワーと広がり、喉に落とすとシュッと消えていき、乳酸の香りがふわっと余韻になる。

お店で試飲させてもらった時は、まだここまで膨らみがなかった、とのこと。山廃と思えない線の細さがむしろ印象的と。まぁ奥さんが試飲したから僕は飲んでないんですよね。
そしたらお店の奥様が、開けて2,3日すると旨味が膨らんできて、それがまた美味しいとのこと。ということで、あえて玄関放置でいじめてみました。まぁ真相は冷蔵庫に入りきらなかったから、苦渋の選択をしただけなんですけど。

奥さん曰く、試飲の時よりすごく膨らんだと。

綺麗な酸なんだけど、奥にほんのり一癖。これが山廃由来のコクなんだな、きっと。
香り自体ほんのりなので、そもそも山廃の感じはあまりないんだけど、口に含むと益々不思議。山廃?えっ?ってなるくらいの端正な佇まい。
甘みの感じが違うんだけど、この乳酸の感じは伯楽星に似てる。でもあれは速醸(ですよね)。

もともと酸が綺麗なタイプが好きなんだけど、これは一癖ある部分が更に惹きつけるですね。ちょっと甘さが気になるけど、多分これは温度のせいだと思う。冷蔵庫で冷やして再飲しよう。

ともあれ美味しい。初めての銘柄だし、変化が楽しいとのことなので、数日に分けて飲んでみることにするですよ。



3日目、冷蔵庫から出してすぐの冷や冷や。でも香りが強く、早くもチョコが少し。熟成の気配。

口に含むと苦味が先に立つ。チョコよりはコーヒーかな。でもみずみずしさはまだあって、濃いだけじゃなくて爽やかさも残る不思議な感じ。冷たさもあってかなり苦い。

空気に触れさせちょっと温度が上がると苦味は程々に落ち着く。

冷えててもほんのりと乳酸系の香り。古さと新しさの同居具合が面白い。
割と古めかしい味よねって言うと、いやいや結構爽やかで綺麗な酸味よねって思うし、けっこう爽やかで最近のお酒らしい綺麗な酸味よねって思うと、いやいや奥にしっかりした乳酸のコクがあるからこの味になってるんでしょって思う。

米の旨味の濃さ、柑橘系の甘さ、コーヒーの苦味、それらがバランスよくあるから飽きない。
味自体はかなりしっかりとした存在感。なので一回に量は飲めないけど、しみじみゆるりと少しずつ飲みたい良酒ですな。

日々の酒というより、お店で美味しいものと一杯って感じ。

山仙さんのさつま揚げと合わせる。プンプンする魚の香りと潮の香りに負けない、上手に調和する。このタイプのしっかりした味は、結構どんな料理にも合うと思う。すごいマリアージュっていうよりも、ちゃんとした味がついてるものにはそれなりにきっちり向き合えます、拙者って感じ。



10日目、少し残しておいた残りを飲む。
うーん、ここまで引っ張ると、ちょっと味がスカスカになってくる。肝心の旨味が抜けた印象。
ちょっと温度を上げても旨味は復活しきらず。全体的にも、妙に削ぎ落とされたシンプルな味。残念ながらいい意味じゃないからなぁ。


四合瓶なのに長々と飲んでみましたが、美味いと思った時が飲み頃でございますな。
あれ?めっちゃ当たり前の話になってもうた。
ともあれ、このお酒は開けてからは早飲みがよろしいようで。となると我が家はまた四合瓶でしょうな。

山廃なのにとかそういうことはともかくとしても、最近日本酒が好きになりました的な人が飲むと、きっとなんか不思議って思ってもらえるんじゃないでしょうか。甘辛幅広くじゃないけど、広角打法な良酒でございました。






黄金澤 純米 山廃原酒 24BY
合名会社 川敬商店
精米歩合 ひとめぼれ 60%
酸度 1.7
日本酒度 0

水戸市 地酒蔵きなせさんで購入。

2013年4月17日水曜日

信濃鶴 純米 しぼりたて無濾過生酒 BY24

名前は知ってたけど飲んだことなかった信濃鶴。濃厚でいいよーってオススメ頂いたので初飲みです。

冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

開けた途端香る。濃厚な米の香り。香りからもう濃いのがわかる。あれですよ、雰囲気があるってやつですよ。

口に含むと味より先に香りが口の中を満たす。濃厚な甘味。かなり甘いんだけど、甘みの質が今まで飲んだお酒とはちょっと違う。あーなんだろうなー、原種の酸っぱいドライマンゴーとか。奥にほんのりと苦味。チョコとかコーヒーともちょっと違う。あー、これも出てこない。もどかしいなぁ。
そして少しピリッと。

純米だけと、吟醸香、吟醸香の味がする。



3日目、枯れた美田、先日の芳みたいな風情。香りも味も。あれほど太くないけど。

純米とは思えない吟醸味が開けたてより強くなる。舌に残る米の甘みとほろ苦。ピリッとほんのり生酒らしさもまだありつつ。
カラメルのような甘さとコクなんだけど、砂糖と違って最後はスッキリ。キレとはまた違う艶やかさ。これは端正とか角が立ってるとかそういう感じでもなくて、漆を掛けたみたいな艶やかさと言ったらいいのか。そう、濃厚でも透明感があるまま。



7日目、米のツルツル感が強くて感じる。吟醸味も強くなってる。さすがに刺激はなくなってきた。
温度が上がるとミルキー。ツヤって感じから、ぷるって感じになる。米味たっぷりのゼリーとでも言いましょうか。
そしてこの手合いの味によくある苦味が非常に少ない。最後まで完成度が高かった。


食中酒としてのむには旨味が強すぎるという意味で、我が家ではそれほど買わないでしょうけど、お店で見たら確実に飲みたくなる銘柄でございます。
いや、開けてからの変化も楽しいから、むしろ一升瓶で買ってゆるゆると飲めばいいのかな。まぁ冷蔵庫と相談ですけど。





信濃鶴 純米 しぼりたて無濾過生酒 BY24
酒造株式会社 長生社
長野県駒ヶ根市赤須東10-31

水戸市 地酒蔵きなせさんで購入。

2013年4月15日月曜日

旭興 特別純米 無濾過生原酒 直汲 Ver. 五百万石 24BY

旭興は、以前に結構特殊なのを飲んでもうちょっと知りたいなぁと思ってたままのお酒。ようやくこの度、普通のと言ったらあれですが、旭興とはこういう酒ですよってのがわかりやすいものを飲むことが出来ました。

しかも大好きな五百万石バージョン。

冷蔵庫からの冷や冷やで開栓。
結構爽やかな香りがほんのりと。冷えててもそれなりに香る。

口に含むとつるっと、なんの引っ掛かりもなく喉に落ちる。ほんのり最後に酸が香る。余韻はいい意味で短く、スカッと爽やか。でも味わいは結構しっかりした旨口。旨口がしつこくならない素敵なさっぱり感。

爽やかさの要因は柑橘系の味わいがあるからかな。レモンピールのような香りと苦味。

舌の上でふくらませると、米味も出てきてほろ苦さと共にちょっと美味しさの形を変える。苦味もちょっと独特で、青っぽい、セロリのような一癖ある苦味。もちろんほんのりだから嫌な感じはない。

最初冷えてたからグラスが曇ってて気づかなかったけど、これおりがらみだった。コクの強さとほろ苦さはオリのおかげかなと。

ちょっと温度が上がると苦味が増して、甘さが抑えめになる。伯楽星にちょっと似てくるかな。でも甘さの分だけあたごのまつと近いかな。


いやー美味しかった。また飲みたい。四合瓶とはいえ、さっくり一日で飲んでしまった。もうちょっと時間をかけたかったなぁ。



旭興 特別純米 無濾過生原酒 直汲 Ver. 五百万石 24BY
渡邉酒造株式会社
精米歩合 五百万石 55%
酸度 1.55
日本酒度 +2.5

水戸市 地酒蔵きなせさんで購入。

2013年4月13日土曜日

早瀬浦 純米 浦底 24BY

記憶が確かなら、4年ぶりの幸せです。早瀬浦の浦底。
出来れば常飲したいお酒なんですよね、早瀬浦。でもなかなか買えない。

冷蔵庫冷や冷やでスタート。

スマートな甘くて爽やかな香りがふんわりと。相変わらず品が良い。でもおりが絡むおかげでいつもよりむっふーんって感じで誘う香りがイヤラシイ。

口に含むと軽い刺激と切れの良い酸味。メロン、ぶどう、米じゃないフルーツの香り。おりの濃い旨味とそれにかぶさるホロ苦さ。絶妙よね。

あれだ、日本酒の全てがここにあるって感じの、甘辛酸苦揃い踏みって感じです。旨くて品がいいってなかなかないんですよね。だからなかなか買えないんですよね。


この感じってなんかに似てるねって話になり、あぁ磐城壽だと。どちらも海の酒だし。
味自体はもちろん違うんだけど、なんか方向性が似てるかもってことで、磐城壽の純米山廃青ラベルとちょっと比べてみる。

うん、似てる。磐城壽のほうがガツンとくる甘みとか旨味の強さがあるものの、酸の雰囲気が似てるからそう思ったのかな。


いやー、数年ぶりの美味しさに再会でした。
以前とあるお店で飲んだんですけど、僕以上に奥さんのお気に入りでして、事ある毎に浦底って喚いてたんですよね。







早瀬浦の蔵元の場所ってちゃんと知らなかったんですけど、これを書いてて見ると美浜町なんですね。美浜町のおとなりの若狭町には、子供の頃、毎年数日海水浴に来てたんですよ。なのでなんとなくこの辺りは第二の故郷。

故郷の酒は美味いなぁって、無理やり縁を作ってみたり。

えっ?故郷の海?
(´・ω・`)ショボーン


早瀬浦 純米 浦底 24BY
三宅彦右衛門酒造有限会社
精米歩合 55%
日本酒度 +8.5

横浜君嶋屋さんで購入。

2013年4月11日木曜日

お花見、2013春

4月は花見で酒が飲めるぞっと言いたいところですが、今年は早かったですね、開花。
でもめげません。飲兵衛は集まるのです、酒のためには。

暗いなぁ。そう、当日は例の爆弾低気圧の日。大事なことなのでもう一度言いますけど、飲兵衛は集まりますよ、酒のためには。

それなりに残ってる桜を愛でつつ、一杯。



で、まぁ予想通り雨が降り出しまして、速攻で中村酒店さんに避難。
えぇ、昨年の花見も寒くて避難先にさせてもらいました。もうあれですね、毎年恒例ということでお願いしたいものです。ほんと迷惑な客でスミマセン。



そんなこんなでして、花見なのか単なる飲み会なのかわかんなくなるのはまぁ毎度のことでございますが、お酒だけはきっちり揃えて参ります。

左から、
  • 王祿 超辛純米
  • 斬九郎のなんだっけか
  • 龍力の山田錦のなんか
  • 玉川 純米吟醸原酒
  • 墨廼江 大吟醸 吟星四十
  • 醸し人九平次 EAU DU DESIR 純米大吟醸
  • 鳳凰美田 純米吟醸 雄町
  • 玉川 純米 山廃無濾過生原酒
あと写真に写ってないけど、
  • 喜久醉 純米
  • 鶴齢 純米
もありました。8人でどんだけ飲んでんだって話ですが。

あぁ、さらに鳳凰美田の桃とか、相模灘の特別純米とか、明鏡止水の特吟とか、誰かが買って開けてたな。そんで試飲のお酒も出してもらってたな。


すいません、細々写真を取らなかったので詳細を忘れちゃいました。
その上メモとか全く取ってないし。まぁどれもこれも美味しかったんですけどね。

でもまぁいくつかとても印象深いものについては、よーく覚えてます。


龍力。
普通に美味いよねくらいに思ってましたがゴメンナサイ。燗をするとすごいとのことで、30℃くらいからジワジワ上げて飲んでみました結果、45℃の龍力、めちゃくちゃうまい。燗映えがたまらんです。感服。
このメンツにはお燗のプロがいますから、業務用の温度計できっちり温度管理がありがたいことでございます。


玉川の山廃純米。
最初の頃は純米吟醸の玉川のほうが美味しいと思ってたんですけど、飲み進めてくると好みはこっちでした。密度の高い味、度数の高さ(20.9度)のせいで重たくなるよりパンチが効いてて、それでいてアルコール感より米の香りが強い。カラメルのような香ばしさが奥にあって、お陰で余韻が心地よく引っ張られてまた杯を重ねたくなる。
お店で一杯飲んだことあるって程度の記憶しかなかったんですけど、いいお酒ですなぁ。


とまぁなんだかグダグダですけど、酒談義に花が咲くメンツと飲めば、花がなくても大丈夫ということでございます。


2013年4月9日火曜日

磐城壽 山廃純米生原酒 青ラベル 24BY

磐城壽の山廃生原酒。ちょっと前に飲んだ山廃の今年のものです。
でもお米が違うか。23BYは五百万石。これは出羽の里。

出羽の里かぁ。このお米が良いとか悪いとかじゃなくて、山形県が生んだお米で醸されるんですねってことで。ちょっぴり感じ入ってしまう部分もありつつ、新たな蔵で確かな造りを営まれてるんだなとか思ったり。

ちなみに出羽の里の親にあたる出羽燦々は結構好きなお米。十四代とかで飲んだ記憶があります。


冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

香りはほとんど感じない。まぁ冷たいし。
口に含むと固い。刺激はないんだけど、舌に反発するような感覚。鼻に抜ける香りが、樽酒のような杉のような香り。
奥のコクが山廃らしい濃厚さなんだけど、先に立つ爽やかな甘みがそれを先ずは隠してて、飲んだあとの余韻に喉から香る米の香り、苦味。

今年も美味しいなぁ。

温度が上がると爽やか乳酸の香りと旨味が、舌の上で弾ける。先日の中取りに通じる甘み。でもどこかずっと残るほろ苦さが、お酒としての深みを与えてるようで。
この苦味があまりない綺麗な磐城壽より、こっちのほうが飲んでいて楽しいのは好みなんだろうなぁ。

昔はもっと綺麗な味が好きだったけど、最近一癖あるほうが面白いと感じるんですよね。これってあれですか、35歳も越えて人生の機微がわかるようになったってことですかね。んなことないか、先日のひこ孫でまだまだって証明されてますし。
(´・ω・`)ショボーン



2日目。早瀬浦の浦底と飲み比べる。
早瀬浦を飲んでて、この感じって磐城壽に近いよねってことで飲み比べてみました。特に酸の立ち方に同じ方向性を感じつつ。旨味のボリュームや舌触りの傾向から、磐城壽が海の男酒ってことなら、早瀬浦は海の女酒って感じですかね。まぁ無理やり言うならですけど。でもなぁなんとなく日本海が男酒ってイメージだったんですけどね。


結局2日目で飲んでしまったのか…もう少しじっくり味わうつもりだったのに…
(´・ω・`)ショボーン






磐城壽 山廃純米生原酒  青ラベル 24BY
株式会社鈴木酒造店
精米歩合 出羽の里 65%

水戸市 地酒蔵きなせさんで購入。

2013年4月7日日曜日

秋鹿 純米 槽搾直汲 24BY

初めての秋鹿の新酒。


冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。よーく冷えてるのにポフッてなる微発泡ぶり。生生しいですなぁ。

香りはほぼない。温度が低いこともあるけど、秋鹿って毎度鼻からの香りは強くない。新酒でもその傾向は変わらないんですね。まぁこれは純米だからってのもあるんでしょうけど。

口に含んだ瞬間、微発泡のシュワシュワが舌を刺激する。
後味はスッキリ感があるのだけど、味自体の余韻は割りと長い。シュワシュワ感が一番の余韻だけれども。

力強い酸味が旨味を後押しするけど、それでもまだ熟成されてないから濃くてもさっぱり感が強い。旨味よりも酸味が先に立つ。

温度が上がってきたら、酸味が落ち着いてきた。でもやっぱり旨味の伸びが記憶の秋鹿ほどはない。なるほど、あれは熟成の素晴らしさなのかと再認識するですよ。


湯どうふ。
ほっこりするけど秋鹿にはちと物足りない。

しめ鯖。
今回はしめ鯖の出来がいけてないってのもあるけど、酸味が喧嘩をして合わない。

炙りしめ鯖にする。
脂が立つとちょっとは合うようになるけど、本質的に魚の香りとはあまり合わない気がする。まぁ肉と合うって思い込みも強いんでしょうけどね。


豚肉とアスパラの炒めもの。
うーん、味付けが甘辛のせいか、今度は甘みが邪魔をする。もっと肉々しいやつと勝負しないとだめかなぁ。



二日目、栓を抜くとまだボシュっとガスの音。
でも口に含むとアタックが優しい。ずいぶん刺激が減って旨味の膨らみを感じやすくなってる。良い感じに変化した。


秋鹿は相変わらず美味しいんだけど、新酒で飲むとちょっとバランスが悪く感じる。正しくは勿体無く感じるのかな、やっぱり熟成させて旨味を引き出したほうが真価を問えるなぁと。
だって、今飲んでても、これが熟成して旨味がもう少し立つようになったらどんだけ美味いんやろって片鱗が、まったく隠れもせずあるわけやし。

でも反面、妙なさっぱり感がある秋鹿というのも、確かにこの時期だけのお楽しみでもあります。秋鹿好きはBYの始まりにこういうのを飲んでおくと、後々が楽しくなりますなぁ。

しかし速醸酛でもこの調子ということは、生酛山廃は推して知るべしという感じです。





秋鹿 純米 槽搾直汲 24BY
秋鹿酒造有限会社

精米歩合 山田錦 75%
酸度 2.8
アミノ酸度 1.6
日本酒度 +6

大洗町 酒舗おそのえさんで購入

2013年4月5日金曜日

鳳凰美田 大吟醸 本生原酒 愛山荒押合併 24BY

芳のH18BYの時に少し書いてますけど、鳳凰美田の愛山と言えばかつて熟成を試した愛するお酒。

そんな愛山の大吟醸の原酒。荒ばしりと押切りのブレンドです。試験醸造品ってあるけど、なんの試験でしょうかねぇ。気になるなぁ。


冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

立ち上る豊かな香り。やっぱり芳しい美田香。温度の低さも相まって、ちょっと線が細いかな。細いってかくと印象悪いな、上品ってことで。

口に含む。爽やか。後味も軽い。鳳凰美田は大吟醸になるとぐっと上品さが増すんだけど、これはそれとものちょっとちがって妙に軽やか、静かな綺麗さというより弾む綺麗さ。
でもしっとりとした愛山らしい甘味、品の良い儚げな甘さはちゃんと残ってるんだけど、なにが違うのかなぁ。余韻が短いのか。物足りないってことじゃなくて、引き際が美しいってことなんですけど。

そしてそんな特徴以上にフルーティーさが際立つ。柑橘系の酸味と、なんだろう、梨とスイカ。スイカの青さと梨のみずみずしさ。舌の上で膨らませると、洋なしのようなこってりとした味わいも。
奥さんは洋なしかなーっと懐疑的でしたけど。

荒ばしりと攻めのワイルドさはキリッとした味わいに消化されてて、味として荒かったり雑味だったりは全然感じない。そりゃまぁ大吟醸ですから。

ちなみに、僕は大吟醸の攻めって楯野川で初めて飲んだんですね。もう数年前のこと。大吟醸のいいところと、どうしても上品になりがちなアタックや喉越しを絶妙に刺激してくれる面白さで、それ以来大吟醸の中取りじゃないとこって好きなんですよ。まぁ単に安いからって話もありますけど。

そういえばこれはおりがらみ。でもおりがらみというほどのおりは見えない。一晩置いたら沈むかな?

しかし切れ味がいい。辛味や苦味でのキレじゃなくて、味そのものが精緻で整ってるからもたつかないという感じか。だからキレという言葉はちょっと違うかな。

温度が上がると薄っすらの酸味が引っ込んで、米由来の甘さがシンプルに出てくる。甘くて味わい自体は濃いんだけど、どこか爽やかさがあってスッキリするから食中酒にできる。

刺身と合う。以外と言うと失礼だけど、栃木は海なし県仲間。魚と合う印象は特になかったからなー。

それにしても疲れない美田はほんといいなー。なんか普段のをディスってるみたいやけど、そういうことではないんですよ。



2日目。
冷えすぎて硬いけど、その分吟醸味がよく分かる。
刺激は全くなくつるつる。冷たさ故のほろ苦さが最後に。温度をあげよう。

温度が上がると米味。1日目と変わらない。完成されているからか、空気に触れさせてもさほど変化しない。熟成に向くのか向かないのか、悩ましいお酒ですなぁって何で熟成させる話が基本になるんだろ。


結局2日で完飲。このクオリティで3,000円ってすごいなぁ。そして乾杯にも食中にも使える万能選手。線の細さが食べ物に対する懐を深くしたから、普段の鳳凰美田よりも幅広く楽しめたですよ。





鳳凰美田 大吟醸 本生原酒 愛山荒押合併 24BY

小林酒造株式会社
精米歩合 愛山 45%

佐野市 上岡酒店さんで購入。

2013年4月3日水曜日

磐城壽 純米 中汲みしぼりたて 24BY

ひらがなの磐城壽。震災後初の出荷だそうです。

聞けばこのお酒の22BYを詰める直前があの震災で、だから21BYを最後に出てなかったとのこと。それがようやく今年復活。まぁ僕は初めて頂くんですけど。


購入後、ほんのり冷蔵庫の冷や冷やからスタート。

果実のような甘みと綺麗な酸味。柑橘系の爽やかさ。
香りはほんのりと、やはり酸味を湛えた香り。

口に含んだ瞬間旨味が爆発する。おりがらみのせいもあるんだと思うけど、舌の上での味の膨らみ方がガツンと来る。ほんのりのおりのおかげですな。

最後にうっすらと米の苦味が味を引き締めてスッキリさせる。余韻はわりと短くさっぱりとした後味。


飲むと思い出す、あぁこれって磐城壽だなぁってわかる芯のある味。


蒸し野菜と合わせる。
野菜の甘みとお酒の綺麗な酸味が調和する。

蒸し牡蠣と合わせる。
やっぱりよく合う。以前も書いてるんだけど、とにかく塩味潮味との相性がいい。スイカに塩じゃないけど、潮気がお酒の甘さやコクを引き出す感じが強い。
まぁ海の男酒って書いてますから、そもそも山のものとは合わせようと思ってないあたり、ステレオタイプでございます。



3日目、熟した。開栓した時よりより冷えてるはずなんだけどなぁ。熟々。
甘み絶好調。芳醇。ものすごく上品なまま、ジューシーさだけが増してきた。

なんだろう、乳酸の感じはあたごのまつの薄濁りと近しい印象かな。

全体的には爽やかな綺麗な酸だから、甘さと相まってカルピスとかそんな感じ。いや、ネタじゃなくて乳酸発酵飲料系なんですよ。どこか懐かしい感じはそのせいなのかな。
カルピスサワーとかみたいに、そんなにお酒を飲み慣れない人でも手が出るんじゃないかと。

燻製牡蠣のソテーと合わせる。
甘さと酸味が塩と煙を抱き込む感じでよく合う。



6日目、最高潮。
今日で飲み終わったんですけど、いや最後まで濃厚。ちがう、最後になってすごい味のり。爽やかさと濃さの絶妙な状態。いやー、一番美味い。ここにきてもう一伸びあるとは、脱帽のクオリティ。

ちなみに今日も冷蔵庫でキンキンに冷えてる状態。全然固くないし冷えによる苦味もない。強いお酒なんですねぇ。


さて、少しずつゆるゆると飲んできたんですけど、開栓後もダレるどころかぐんぐん旨味を増していく凄さ。次回飲むときはエアレーターで日にちを進めるのを試したいですな。






ちょっと余談。

磐城壽との出会いは、実は震災のちょっと前にあった酒の会
その時のコメントが残ってるんですけど、
いやー、美味しい。今回の試飲会で一押しでした。
全く名前も存じ上げない蔵でしたが、個性と旨さがとても同居しています。
純米、純米原酒を冷/燗で味わってきましたが、熱冷どちらも満足なお味です。
口に含んだ印象は結構古いタイプの味わいなのですが、その後広がる香りと旨みは最近のお酒らしい綺麗さで、純米にも関わらず余韻の綺麗さは特筆モノです。
こういう知らないいいお酒に出会えると、試飲会が楽しくなるですよ。
だそうで。まぁ書いたのは自分ですけど。
で、こりゃー今後注目やなーって思ってた矢先に震災。

その後のご苦労は、復活の蔵としてよく取り上げられてますから周知の通り。



昨年は随分と注目を浴びたそうです。復活復活って。
でも今年はもう陰りが出てるんだそうです。結局、ブーム的に捉えた酒屋さんは、もう今年になると取引が続かないんだそうですね。

震災云々をおいても、磐城壽はとても美味しいお酒だと思ってますから、変にシンボリックな扱いを受けるとちょっと悲しくなります。だって流行りは、本当の味や美味しさに関係なく廃れますから。そして流行ったものって、往々にして正当に評価されなくなる危険性をはらんでますから。

でもそんなことをただの酒飲みが思っても関係なくて、それでも売れたほうがいいんですよね。蔵を買い取られた経緯とか条件とか色々なことを耳にすれば、ほんととにかく売れたほうがいいと思うんですよ。


そんなちょっと悲しい話を聞いたあとでも、このお酒は美味しいんだから素敵です。


磐城壽 純米 中汲みしぼりたて 24BY
株式会社鈴木酒造店長井蔵
精米歩合 65%

水戸市 地酒蔵きなせさんで購入。

2013年4月1日月曜日

大和桜酒造を訪ねて、2013春

今回の来鹿で最大の収穫とも言える大和桜との出会い、これは蔵元である大和桜酒造さんにお話を伺わねばと思い立ち、電話して蔵見学をお願いしてみました。
さっくりOK。いいよーって気さくに了解頂きました。


建てて数年の蔵は綺麗で可愛い。あいにくの雨だったので蔵の全景を撮れませんでしたけど。
5代目の徹幹さんが案内してくださいました。

洗米のタンクと蒸し器。想像以上に小さい。そりゃそうです。ほとんどお一人で造られてますから。一人というのは言いすぎなんですけど、社員としての造り手は四代目の社長と五代目の徹幹さんのお二人なんだとか。で、造りの時期には手伝いのおばちゃんがいるそうです。曰く、大和桜の半分はおばちゃんで出来ていると。




麹室。聞くのを忘れてましたけど、これって石造りの麹室ですよね。ってことは中村酒造場に続き珍しいんじゃ。



芋洗いの場所。今はもうきれいに仕舞われてます。



甕たち。大和桜さんも一次/二次の両仕込みとも甕です。まだ二次仕込みのものが残ってまして、ようやく芋焼酎の仕込中の現物を見ることが出来ました。




これは紅芋のですね。赤い破片が見えます。



こちらの甕は蒸留後のもの。フーゼル油が浮いてきてます。ラップを使って吸着させて取り除くのを見せてもらいました。取り除かなきゃだめだけど取り過ぎても駄目だしって、お邪魔した蔵のみなさんがおっしゃいます。



最終のろ過装置。ほんと最低限のろ過しかしないんだと。



ボトリング。中村酒造場さんと同じく手詰めです。



ラベリングの機械。細々としたラベルはこれで貼れないから手作業。



箱詰めされてるもの。ほんと、このラベルはかっこいいというか可愛いというか。そもそも僕はこのラベルに一目惚れしてたんですよね。
ちなみにラベルにも逸話があって、「BE A GOOD NEIGHBOR ぼくの鹿児島案内」という本でも紹介されてます。



焼酎の造り、蔵の歴史などから、鹿児島との関わり方、さらには酒造業界全体を見据えたお話など、これまためちゃくちゃ面白い話を伺いました。
まぁここで色々書いてもいいんですけど、ぜひぜひ徹幹さんに会って話を聞いたほうが楽しいと思いますのであんまり書きません。まぁなんか僕の下手くそな文章でだらだらと書いてもあれですし。

でもでもそんな中でものすごく印象的なのが、伝統への敬意と鹿児島への愛情。

これまでの造りに対して真摯に向き合って、その結果、自然と技術の調和するポイントを見つけられてるんだろうなと。飲んだ時に腑に落ちる味だなって感じた理由がわかりましたよ。無理やりこういう味を作ろうなんてことをせず、在るべき形に変化させていくだけ。

その土壌となる自然や文化を育む鹿児島への愛を語る姿には、歴史ある蔵を継ぐ責任を楽しむことで果たそうとする姿に映ります。

そしてだからこそのフラットなものの見方。とても話し上手で様々なことを伝えてくださるんですけど、その色々なことが線になってつながる、全体を俯瞰した内容には本当に刺激を受けます。
いやー同い年とは思えません。あ、学年は僕がひとつ下でしたか。

新酒の味見をさせて頂いたりお土産を頂いたりあっちこっち送って頂いたり、ほんとありがとうございました。
またお邪魔します。今度は是非酒も飲みたいです。それまで大和桜を買ってぐびぐび飲んでます。


大和桜酒造さんは広く一般に蔵を公開をされているわけではありません。今回お伺いするにあたり、(前日とはいえ)事前にご都合などをお伺いして許可を頂き案内して頂きました。これを読んで見学したいと思った方は、蔵元さんのご迷惑にならないよう十分配慮してくださいませ。飛び込みとかもってのほかですよ。