2013年7月30日火曜日

亀齢 純米 無濾過生酒 五段仕込 八九 BY24

亀齢の珍しい一本、麹割合が89%というかなりマニアックなお酒です。そして日本酒度は-7。

亀齢を飲むこと自体、相当久しぶり。ホント何年ぶりだろう。正直美味しかった以外の記憶が無いけど、こんな珍しいタイプのはお酒はどうなんでしょうか。

ちなみにこれは、君嶋屋さんで面白いお酒ない?という無茶ぶりなお願いで選んでもらった一本です。


冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

開けると同時に香りが濃ゆっ。リビングが甘酸っぱい香りで満たされるかのよう。
口に含むとヨーグルト。じゅわじゅわ、酸がすごい。数値通りの酸味。でも甘さもしっかりあってバランスは良いから不思議。

麹歩合が高いからもっと甘くなるところを、キリリと酸で押さえ込んだとのこと。だから味の詰まり具合が濃ゆすぎる。甘さ自体は結構爽やかなタイプの甘さなんだけど、その甘みの量というか強さというか主張があるから芳醇たまらんといった感じ。生のブドウをかじったみたいな?

とはいえ数字ほどの甘さは感じないほど、酸とまとまって一体となった味がする。刺激やコクの余韻はあるものの、キレはよくもたつかない。そう、甘さの割にキレがいい。

味と酸のワイルドさの一方で、酒質自体は非常にキレイで雑味を感じない。
酸に由来する刺激が舌をシュワシュワさせるけど、コクになって余韻に変わる。

うまいなー。

濃いからそれほど一度に飲めないかなと思ったのも束の間、結構クイクイいけてしまうから魔物でござる。だめだめ、これはちょっとゆっくり飲もう。



3日目にして熟成の貫禄。独特に立ち上る酸味が、鼻に抜けるときのアタリを日本酒とは思えないほど強くしてくれる。
味も甘酸の濃厚さがさらに増してきたから、まったり濃厚なものと合わせたくなる。

ということで、クリーム系を試す。ヤンソンさんの誘惑。
いやはや素晴らしい。濃厚なクリームをものともしない酸味が、口の中をぐわっとキレイにさらっていく。酒の甘みとクリームの相性は完璧。アンチョビの塩気が、あぁ今日本酒飲んでたんだと思い出させてくれる。

ところでスウェーデンのお酒って甘いのかな、辛いのかな。




10日目。
熟れきった果実、メロンとか。加えて香りには醤油とかコンソメとか?
味ももちろん濃厚のまま。甘みが強いように感じるんだけど、米のコクと酸が甘いと言わせない。

これ書いてて知ったんですけど、亀齢酒造さんの杜氏の西垣さん、以前は悦凱陣の丸尾本店さんにいらっしゃった方なんですね。どうりで味が好みのはずです。



19日目。
ようやく舌触りが丸くなってきて変化が落ち着いてきた。濃厚でマイルド、でも濃さは相変わらず。

四川風の麻婆茄子と合わせる。酸味と唐辛子がガシガシと殴りあうかのよう。なるほど、紹興酒で中華を食べるときと似てるのか。油を流すだけじゃなくて、甘みを武器に存在感を張り合うと言いますか。



3週間。

ワイングラスで味わう。
香りが3倍濃厚。むせ返る香り、開けたてと同じ位の強い存在感が楽しめる。
とはいえ、味は落ち着いて安定の佇まい。

香りのせいもあって、かなり濃く感じる割に、お腹いっぱいとはならずに2杯目にいきたくなるからこのお酒は魔物でございます。



1ヶ月半。引っ張ったなぁ。
勿体無くて最後の1杯が飲み干せないまま、まぁへたれる酒質じゃないからとのんびり冷蔵庫で放置。

ワイングラスで香りを立たせると、味噌のような発酵臭。甘味噌。いや、栓を開けた瞬間から力強く香り立つから、ワイングラスじゃなくても同様の香りは楽しめただろうな。

口に含むと甘さが落ちついてきてて、艶やかな旨味。ワインですなぁ。正直、米のお酒を飲んでる感覚が麻痺していく。

喉に落とすときに香りが一段と解き放たれ、甘酸っぱい濃密さ。引っかかるところがなくとろける。

アジのたたき。
濃厚に溶け合い、きれいの酸味が立ち、魚の生臭さだけを流す。醤油との相性もよい。

カツオの塩たたき。
少し癖があるこっちの方がまじり方がいいなぁ。強く溶け合うという感じ。

昭和なポテサラ。
いまいちかな。合わないわけじゃないけど、一体感は欠片もない。

熟成気味のサンタンドレ。
美味いなぁ。発酵と熟成と、バターの如く香るチーズは、正に一体となって溶け合う。



さてさて、調子に乗って長期にわたって飲んでまいりました。大きく変化したというより、熟していく過程を早回しで見たような感覚でした。

爽やかでありながら甘く、濃厚でありながらキレがよく、唯一無二の味に感動でございました。
どこかの酒販店さんのサイトで、来年も仕込むかは未定とか書かれてましたけど、是非にも毎年飲みたい一本でございます。何卒、よろしくお願いします、と頭を垂れる次第でございます。



2013/9/24追記

なんとも嬉しい事に、もう1本分けていただくことが出来ました。これも半月くらいかけて飲んだんですが、相変わらずの美味しさでございまして。

醤油?味噌?ぷんぷん匂い立つ熟成の香りが既にあり、初回の飲み終わりの続きを楽しめる。
心の底から、これがお米で出来てるとは信じ難い、濃厚、フルーティー、芳醇。

その後はあまり変わらず安定しきった。もちろん劣化もない。
うーん、素晴らしい。強いて言うなら、甘みが増したかも。キャラメル、薄っすら感じる苦味が甘くても甘さが中心の味にさせない。

魅惑の香りでして、ワイングラスで飲めば最早日本酒の世界を飛び出していました。
ほんと、来年も飲みたいなぁ。





亀齢 純米 無濾過生酒 五段仕込 八九 BY24
亀齢酒造株式会社
精米歩合 中生新千本 70%
麹歩合 89%
日本酒度 -7
酸度 3.0
アミノ酸度 2.6
アルコール度数 17度


横浜君嶋屋さんで購入。

2013年7月28日日曜日

鶴齢 特別純米 爽醇 24BY

2013年夏酒第14弾は、鶴齢の爽醇です。
鶴齢さんの夏酒は早い時期に純米の超辛口がありますけど、我が家はなんとなく毎年スルー。なんでって言われても謎なんですけど、何故か触手が伸びない。

触手と言えば、我が家の今年のグリーンカーテンはパッションフルーツ。まだ小さい苗を買ってきてワクワクすること3週間。ちっとも触手が伸びてきません。いやまぁ触手とか書いてますけど蔓のことですけど。
で、ネットで調べても蔓が伸びないなんて悩みの人は皆無でして、ブラウンフィンガーで有名な我々はここまでダメなのかとしょんぼりでございました。我が家の前の街路樹だけなんか枯れるしさ。
でもですね、梅雨が明けたらとうとう触手出現!いやー、単に気温が低かったって話なんでしょうか。ビニール袋でもかぶせりゃ良かったんでしょかねぇ。

閑話休題。

触手が伸びない。そう、美味しくても好みじゃないとそんなもんなんですよ。

なんて思ってましたが、この日の夕食はジンギスカン。墨廼江の五百万石を買いたかったんですけど、ちょっと合いそうになぁなと困ってたところに此奴に遭遇。
試飲させてもらってもなかなかの美味しさでして、巷のイメージの新潟酒とはちょっと違う濃厚で力強い味わいに期待の選択でございます。


冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

細い酸味をたたえた香り。強くなくうっすらと。
リンゴの酸味。アタックの柔らかさに対して、舌の上ではヤンチャな酸と苦味。喉ではつややかな残り香が残り、割と長めの余韻を楽しめる。

少し温度が上がると、ほんのりの甘みを含んだ濃い旨味が。これですよ、鶴齢らしさが出てくる。同時に酸もより主張しだして、口の中が甘辛酸で満たされる。そして余韻のほんのりとした苦味。うまいなぁ。

ジンギスカン。
甘めの醤油ダレと旨苦がよく合い、油を流して脂を受け止める。

奥さん曰く、濃い目の魚の煮物なんかと合う印象だったから、タレのジンギスカンならいいんじゃね?とのこと。
なるほどー、的確な試飲でございました。



2日目。
水の中に旨味がある。鶴齢は新潟の中でもコクが強いと思っていたけど、それは逆で、旨味が強くても新潟なんだなぁという端麗の舌触りなんですねぇ。
甘さも旨みも、みんな後からやってくる。喉に落として初めて湧き上がる味。満足度の高いスマートな旨み。

刺身類と合わせる。
マグロ、ホタテあたりのねっとりするものとの相性がいいなぁ。きゅっと身を締めるよなキリリ感が、ねっとりをダレさせず流してくれます。あ、白身よりという比較でして、青魚はなかったから比較出来てないんですけど。



4日目。
だめだ、だれたというか芯が抜けた。
普段の鶴齢がどれくらい引っ張れるのか経験値がないけど、夏酒は全体的に早飲み必須ですねぇ。


久しぶりに鶴齢を買いましたが、やっぱり美味しく、そして食中酒としても優秀な銘柄だなぁと再確認。肉にも魚にも寄り添えるバランスの良さは、新潟酒にしては濃い方だとか言われても、どこか旨みに傾倒しない土地の風情が隠れているためでしょうか。

でも何故か普段は買わないんだよなぁ。長野酒が苦手なような理由もなく、うん、好みって難しいものでございます。






鶴齢 特別純米 爽醇 24BY
青木酒造株式会社
精米歩合 55%


取手市 中村酒店さんで購入。

2013年7月26日金曜日

磐城壽 純米吟醸 標葉にごり 24BY

2013年夏酒第13弾は、磐城壽のにごり酒です。夏季限定ではあるけど、夏酒と言っていいのかどうなのか。

磐城壽のにごりは初めてです。おりがらみは飲んだことあるんですけどねぇ。
そして夏のにごりはなかなか楽しみです。

お店で手に取った瞬間、本当に液体なのかと疑うコッテリ具合。お店の方も、ムースですねって。


冷蔵庫で2日程休ませてから開栓。
注意書きはありますけど、ガス抜きが付いてるタイプの蓋ですから、気にすることなくザクッと開栓。
軽くボフッとガスの音がしましたけど、吹き出すほどでもなく。

注ぐと瓶の状態で思ってたほどはドロドロじゃないけど、にごりと言うにはにごりすぎな状態。そして大粒の塊が見て取れます。

強くないけど見た目のボッテリした感じとは違う爽やかな香り。

口に含む。ムースは言い過ぎだけど、まぁ粘土が高い。グラスに注ぐ時よりも口に運ぶ時のほうがねっとりくる。

泡を抱き込んだトロトロふわふわの液体が、口の中でジュッと溶ける。この食感はお酒としては新食感。

そしてこれほど濁っていても米味の粉っぽさより果物感が強い爽やかさ。苦みがなく、微発泡の刺激もほんのり。

バナナジュース、わかるけどもう一歩爽やか。梨かなぁ。結構甘みが強く、そして大きめの粒子があるにもかかわらず、喉越しがよいと感じるし、キレ良く後味さっぱり。

非常に美味しい。でも流石に粘土が高くて食中には難しいし、1回に1杯でいいかなと。デザートだなぁ。

我が家の愛する濁りシリーズにランクインでございます。



こういうお酒は置いちゃいけんと思いつつ、10日目。

苦みがほんのり強くなったけど、ピリリとした発泡感は残り、そしてねっとりとした食感に似合わない爽やか味。ラムネ。

全然へたれてない。問題ない。まぁ置いたほうがいいかと聞かれるとそんなことはないって答えな気もしますけど。いや、これはこれで。というか言うほど劇的な変化じゃないからなぁ。


最後の最後まで、爽やかさが持続するコッテリ爽やか。
重たいと言えばまぁそうですが、デザートとして素晴らしいアイテムではないでしょうか。
来年も楽しみにしよう。






磐城壽 純米吟醸 標葉にごり 24BY
株式会社鈴木酒造店長井蔵
精米歩合 夢の香 100%


印西市 酒のなべだなさんで購入。

2013年7月25日木曜日

外飲みメモ:いずみ橋・米鶴・松の司・王祿@銀座 君嶋屋さん

銀座方面に出たので君嶋屋さんで試飲試飲。

君嶋屋さんのPBの情熱シリーズの飲み比べ。

いずみ橋。
乳酸の香りがほっそり。
苦味と固いミネラル系の味。美味しいと思いつつも、細くて物足りないと感じる。
自分的に昔と変わらない印象だから、きっとこれは相性が良くないんだろうなぁ。いいお酒だとは思うのに。

米鶴。
香りはごく弱く、立たない。
リンゴ系の酸味が主張して軽快。余韻は割と長めで、ほんのりの苦味とともに酸が香る。
舌の上ではさほど膨らまず、一貫してさっぱり。
ふむ、もう少し華やいだほうが味わい深くなるのかな。米鶴は一升瓶飲みをしたことないから、印象が飲む度にブレるなぁ。一度ちゃんと試さないと。

松の司。
渋い、何かが焦げたような深い香り。
濃厚バニラの佇まい。奥にはナッツ。ナッツ系のオイルのような、ねっとりとした後味。
鴨と合わせると相乗効果。よいですなー。


奥さんが飲んでる王祿。

王録 純米吟醸。
ナッツ、キャラメル、なんだろうなぁ。厚い香りがほんのりと。
甘辛酸揃い踏み。これでもかと迫り来る味。


松の司がよろしく、王祿がすごすぎるという感じでしょうか。まぁ王祿のようなタイプは印象を残しすぎるわけなので、こういう試飲で比べること自体反則気味でございます。
とはいえ、肴が鴨肉なので、王祿がとてもよく合った印象になってしまったわけです。

味の濃い野菜とかを松の司に合わせたいなぁとか漠然と思ったり。

タイミングを逃してボトルを見せてって言い出せない、小心者全開でございました。
(´・ω・`)ショボーン



銀座君嶋屋
東京都中央区銀座1-2-1 紺屋ビル1F
03-5159-6880

2013年7月24日水曜日

大観 純米吟醸 ひたち錦 24BY

一昨年くらいからよく耳にする気がします。大観。
今年の鑑評会も金賞で、確かに美味しかったです。なので一本飲んでみないといけんのぉということでございます。

まぁこれまでも目にすることは何度もあったんですが、有名人の名前が使われてる銘柄はいまいちっていう根拠のない偏見のせいで未飲でした。
横山大観でしょ、愛飲してたからってその名前を付けるのは安直でどうなんだろうって、知りもしないのに思うあたり、相変わらずの中二っぷりでございます。


ともかく、冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

綺麗な、スマートな香り。柔らかい香り。香り自体が控えめなせいもあり、吟醸香はあまり感じない。

苦味、引っ掛かりのない、綺麗な味、香りと味のつながりが美しい。
舌の上で転がしても印象が変わらず、美しくスマートな佇まいに米の澄んだ旨味。

温度が上がると甘みがにじみ出てくる。にじみ出てきても強いわけじゃなくて、旨味とほろ苦を支える甘み。

涼冷えくらいまで行くと、乳酸系の旨味が湧き、それまでに出てきてた甘さが一段落する。米味がよく出て美味い。これくらいの温度が一番美味しいかも。


刺身類、マグロ、ホタテ、甘エビ、タイ、しめ鯖、タコ、イカなど。
甘さが上振れしない整った味が、刺身によく合う。なんとなく五浦の海を思い出して、きっと魚に合うはずと思ってましたが、その通りだったかなと。


四合瓶、思わず1日で空けてしまった。もうちょっと引っ張って変化を見たかったのになぁ。つい杯を重ねてしまう、食中酒としてもよい味わいでございました。

というか、これって純米吟醸なんですよね。吟醸感はそれほどなくて、綺麗さに昇華されているということでしょう。
穏やかで癖がなく、優しい味わいでございました。

専務は南部杜氏なんですね。南部杜氏の造りは好きなお酒になる比率が高い、愛する職人さんでございまして、なんとなくいいねって感じるのはそういうことなんでしょうか。






大観 純米吟醸 ひたち錦 24BY
森島酒造株式会社
精米歩合 ひたち錦 55%
アルコール度数 15度
酸度 1.6
日本酒度 +2


つくば市 たがみ酒店さんで購入。

2013年7月23日火曜日

外飲みメモ:富田さんの料理で富田さんのお酒をのむのだ@赤坂 まるしげ夢葉家さん

タイトルの通り、幸せ度全開のお外飲みでございます。

赤坂の名店、まるしげ夢葉家さん。何度も行こうとしては満席等々で振られ続けておりましたが、この日は龍宮を醸す富田さんがいらっしゃるとのことでして、気合を入れて予約。めでたく開店と同時に行ってまいりました。

翌日に某有名酒販店のお酒の会がございまして、富田さんはそのゲスト蔵元としていらっしゃってるんですね。毎年その前日はまるしげ夢葉家さんで蔵元料理の特別献立の日があるんだそうです。
我が家もその話は蔵にお邪魔した時にも聞いてましたが、昨年は都合がつかず断念。今年は満を持してというわけなんです。


特別献立。
富田さん直筆の献立は、もうそれだけで奄美全開なんです。



あおさの酢の物。
プンプンと香るあおさの香りが、奄美を思い出させてくれます。



スタートはもちろん蔵元モヒート。
今回は底に黒糖がちょっと沈んでます。元々の蔵元モヒートに黒糖は入ってなかったんですが、なんでもお店でこうやって提供してるのを見て、これはいいと許可を貰って盗んじゃったんだってお茶目に話してくださいました。

なんで家で作るのとこんなにも違うんだろうねぇってしみじみしつつ、さっくりと飲んでしまって未練たっぷりでございます。

この日多くの龍宮ファンが集まるわけですので、蔵元お手製のお酒と料理は各品一回までと勝手にルール付けしております、我々。



島の塩豚。
いやー、島豚ってちょっと脂の質がすごすぎる。とろける甘い濃厚な脂。身ももちろん美味しいんですが、それ以上に脂が癖になります。ちょっと口に残るこのオイルを、キリリと龍宮で流すと素敵です。

このころは蔵和水のオンザロック20回ステアを飲んでましたか。
富田さんが、10回ステアしたものを持ってきてくださいまして、まぁちょっと飲んでみてと。そんであと10回ステアして飲んでよと。
ビックリするほどわかりやすく味が変わるんですよ。棘が抜けて、丸くなって、不思議な事にステアが多くなった方が甘味を強く感じるから全体的に濃く感じるという変化が。
このステアの回数については、以前も蔵元がFacebookとかに書いてて知ってるんですが、蔵和水がなくて試してなかったんですよ。いやはや、楽しい。

島豚は、他にも炙りのものがあってですね。

蔵元曰く、つけダレは奄美のなり味噌を龍宮で溶いたんだと。そしたら苦くてダメだったと。だから黒ゴマペーストでごまかしたんだって。でもなかなかだよって。

えぇ、癖になる味でございました。なり味噌は美味しいけどダメな人もいるだろうなって一癖があるんですよね。僕は好きですけど。ゴマと龍宮がそれを程よい調味料に変えてて大変おいしゅうございました。

えぇ、そんなことを蔵元と話しながら食べてたので、誰一人写真を撮っていなかったというオチなんです。



豚軟骨としぶりのとろとろ煮。
昆布の効いた出汁に豚の旨みがたまらん溶け出しっぷり。それを吸った冬瓜が勝者でござる。
おだやかーな味で、龍宮に負けちゃうかと思うんですが、出汁が濃ければそんなことないんですね。いつも龍宮には味がしっかりしたものを選んでましたが、ポイントはそこじゃなくて旨みの量だったのかもしれません。

このころは、まーらん舟の25度をロックで。
まーらん舟はずっと33度とか原酒とかの濃いやつしか買ったことなくて、いまさらながら初飲みでございました。
これがまた想像と全然違った味でビックリなんですよ。度数が高いまーらん舟はねっとりとした甘味とコクがたまらないんですけど、25度だと甘さよりも黒糖のミネラル分、つまりその黒糖の特徴が浮き彫りになるんですね。海藻だったり青草だったりと、甘みの奥にある味と香りが主張してきて、なんともめまぐるしく口の中で味わいが変わり楽しめるんですよ。

知らなかったなぁ、この風情は。25度のまーらん舟も常備しないといけないですなぁ。



島の魚とスガリの唐揚げ。
魚はアカハタ。カリッと芳ばしく、ふわほろの身。淡白なんですけど、ジューシーな身質がとっても素敵。小さい骨はいけるかと思いきや、めっちゃ固いんですね。知らなかった。

そしてスガリ。テナガダコって仰ってましたが、調べたら正式名称はウデナガカクレダコという言うんですね。
これを取って市場に出す漁師さんはいないんだそうで、まず地元でしか食べられないタコ。というか島でもなかなか食べられないんだとか。
これがまた食感と味が強くて濃くて。タコは鹿島の地ダコを食べてるので結構舌が肥えてる自負がありますが、これはまた全然違うタイプで美味しかった。
固いとも言いがたいしっかりした食感。ブリっと噛み切ると中の身質は結構柔らか繊細。そして旨みがその細かい遷移繊維からじゅわっと出てきて、食感の変化がへーってなる面白さ。

そんな旨みと油を流すのは、龍宮の30度を炭酸割りで。
最近ようやく割って楽しむことを覚えた龍宮。黒糖焼酎は炭酸割りも美味しくて夏には最適なんですって言ってみたいお年頃、というか奄美シマ酒案内人ですから、自分。
その割に家では美味しく作れないんですよね。結局はバランスの問題なんでしょうけど。なのでここでしっかりお勉強なのです。

しかしまぁ、切れ良く、香り高く、もちろん薄く感じることもなく。目指す味は判りました。これから精進でございます。
まぁあれですよ、比率を聞いておけばいいだけなんですけど、全くそんなことすら思い浮かばなくてぐびぐびと飲んだだけでして。



他にも通常メニューから、お刺身を頼んだり。すごく美味しかった。



黒糖焼酎の長雲を醸す山田酒造さん直伝の豚足煮を頼んだり。

そう、この豚足はレシピがdanchuに載ってるんですよ。先日からずっとこれを作りたいんですが、鹿児島の甘い醤油が切れてて断念してたんですよね。
ここに来る前、鹿児島のアンテナショップで買ってきましたから、近々我が家でも食す予定なんです。



他にもいろいろ食べた記憶はありますが、そろそろみんな写真を撮るのも忘れて飲んでます。

蔵元は、料理を作り酒を作りの合間に、蔵元目当てで来たお客さんを回ってらして、我々も随分楽しい時間を過ごしたわけでございます。

そしてそろそろ締めるかと、鶏飯と油そーめんをお願いしたんですね。

えぇ、我を忘れてがっついたので、鶏飯の写真はありません。
油そーめんもほとんど食べてから気づいたのでこんな有り様。

しかしどっちも美味しかったなぁ。鶏飯は奄美で有名店のを頂いたことがありますけど、それと比べても主張が激しくない穏やかな味。そして油そーめんも優しい味わいなんですよね。

冬瓜の時も思いましたが、出汁と龍宮というは、龍宮ファンは今後よく研究しないといけないテーマだということです。至福。

そう、油そーめんについてはポイントを色々と伺いました。ポイントねぇ、オリーブオイルかなぁと。
なるほど。後は鷹の爪と、きびなごやねぇと。
きびなごかー、確かに食べてみるとわかる上品かつワイルドな出汁。出汁自体は濃いのに、エグみとか魚臭さって感じはないんですよね。
しまったなぁ、鹿児島のアンテナショップで見ればよかったなぁ、きびなご。



とまぁ、締めな料理を頂いて仕切り直し。
えぇ、帰る気が全くありません。色々と料理を追加して引き続き飲み続けたわけです。

かめ仕込み40度の炭酸割りに全員がどっぷりと浸かる時間帯。
いや、ほんとこれすごい美味い。かめ仕込みを炭酸割りって怖くて試す気もありませんでしたが、あまりの夏飲み物っぷりに感動です。

そんなこんなで、各自が7杯飲んだところでそろそろ閉店、というか終電。

さすがにこの時間ならいいかなって思って、スグリの唐揚げ、鶏飯、油そーめんを再オーダー。
残ってたスグリを贅沢に頂いたわけですが、旨さに瞬殺。蔵元もタコが喜んでるとおっしゃる食べっぷりです。

そして2回目の鶏飯でも写真を撮り忘れるがっつきっぷり。

そして締めはらんかん。お湯割りでほっこり頂きました。
ロックで飲むと感じる、ぎゅっと閉じ込められた濃密な味わい。それが正に今、解き放たれております。癒やしとはこういうことを言うんですよ、きっと。



いやはや、幸せな時間でございました。毎年恒例になってるよーって伺いましたから、ほんとこれは我が家も恒例行事にするであります。

ごちそうさまでした。富田さん。


ちなみに、僕以外は相当酔っ払ったらしいんですが、翌日に酒が残ることもなくさっぱりとお目覚めだそうです。

えぇ、僕はあんだけ飲んでもピクリとも酔ってません。緊張しちゃうんですよね、富田さんに合うと。
お会いすると、とても穏やかで細やかな方でして、緊張を誘う要素はないんですけどねぇ。

思春期が続いてるおっさんなんですよ、龍宮を想うと。




まるしげ夢葉家
東京都港区赤坂2-14-8 山口ビル 2F
050-5869-3515 (予約専用番号)
03-3224-1810 (お問い合わせ専用番号)

2013年7月22日月曜日

相模灘 特別純米 美山錦 23BY

新酒シーズンが始まる頃にも、23BYを飲んでますが、以外なことにまだ切り替わってないとか。
それでもさすがに近々24BYなるんじゃね?って話なので、名残の23BYを再度楽しんでみます。

いや、単にしばらく夏酒を巡回してたから、相模灘が恋しくなっただけですが。


冷蔵庫から出してちょっとたったくらいで開栓。

こってりとした香り。普段の相模灘にはない重さ。さすがに熟してます。

口に含むとバナナ。完熟。青いバナナが熟してきた。

刺激のない穏やかな佇まい。いつもの爽やかな鮮烈さは影を潜めても、品の良い佇まいはそのまま。正に大人になったなぁと。
「大人になった」という言葉は、一言一句奥さんと同じコメントだったわけでして、まぁ我が家的には共通認識でございました。


鰹のたたき。
旨味を溶かしよく合うなぁ。

アジ刺し。
今日のアジが激旨なのもあるけど、魚の旨味と非常によく合う。

ローストチキン。
ブラジリアンスーパーのもの。悪くないけど、圧倒的に魚をオススメするですなぁ。


相模灘という名前のおかげか、妙に魚類と相性が良い印象がありまして、そしてそれは全然間違ってないんですけど、蔵は神奈川県の内陸なんですよね。

神奈川って、鎌倉とか湘南とかが浮かんで、県全体がなんか海っぽい気がしちゃうんですよ。きっとサザンのせいだと思っていますが、えぇ、復活おめでとうございますということなんですよ。

まぁ全然関係ない話なんですが、久しぶりに一晩一升飲みをやってしまった言い訳みたいなものなんです。言い訳のかけらもありませんけど。

しかし美味しかったなぁ。





相模灘 特別純米 美山錦 23BY
久保田酒造株式会社
精米歩合 美山錦 55%

取手市 中村酒店さんで購入

2013年7月20日土曜日

あたごのまつ 純米吟醸 ひと夏の恋 24BY、2回目の変化

前回飲んだ時、例年のひと夏と違って穏やかでして、やや失恋気味だったんです。
でも半月経ちましたから、きっと大人になったはず、とか思って再度飲んでみます。


冷蔵庫から出してちょっと置いたくらいで開栓。

やっぱりちょっと味のりが遅かったんですね。半月強経って旨味が湧いたですよ。
キリリとした旨味。ほのあまく、でもキレがよく、素晴らしい完成度。
そしてこれだとあたごのまつだなぁとしみじみ感じ入ります。



3日目。
落ち着いた旨味に。酸味と甘味が融合し、果実味あふれる旨味に。ブドウ、爽やかな味わい。

常温まで上げても爽やかさは減らない。旨みは濃密になり、新澤さんらしい乳酸の香りも爽やかによく立つ。でも、伯楽星にも普段のあたごのまつにもない果実味あふれる酸味が一貫して印象的。この味が出てくる位まで温度を上げれば、それ以降はどの温度帯でもうまいなぁ。


初年度のひと夏の恋が、今回の雰囲気で飲んでるんですよね。出荷されてすぐのを買ってるはずですけど。なので、その印象がどうしても残り続けてるんです。
でもまぁちょっと置けばこれくらいの味のりになってくれるんですねぇ。

しかし振り返ると伯楽星に近い佇まいは、伯楽星のものというより新澤醸造店さんの根底なんですね。そこにどれくらい味を乗せるか、甘みを乗せるか、香りを乗せるか。そういった味作りをされているんでしょうか、どうなんでしょうか。一度お話を伺ってみたいなぁと思った次第でございます。

写真は前回の流用です。





あたごのまつ 純米吟醸 ひと夏の恋 24BY
株式会社新澤醸造店
精米歩合 55%


取手市 中村酒店さんで購入。

2013年7月18日木曜日

龍宮モヒートのレシピ、2013梅雨

龍宮のかめ仕込み40度、30度でそれぞれモヒートを作ってみた備忘録。
梅雨の間、ジメジメとした空気と気分を吹き払うべく、そしてこの夏を乗り切るための準備でございます。


ミントは自家栽培のスペアミント。ちゃんとしたサイズの葉で2、3枚。
ちゃんとってなんだ、2,3cm程度。

ミントの使い方、潰すか叩くか?
ミントは潰さないほうがいい。手でパンと叩くに留めた方が、青臭さがでなくて良い。
まーらん舟だとねっとりとした甘みが青臭さを絡めとるから潰して厚みのある味を楽しめるけど、龍宮だと辛味と青臭さがぶつかるからもったいない。

かめ仕込みか30度か?
かめ仕込みより30度のほうが切れ味よく作れる。かめ仕込みは辛味のパンチが効きすぎてミントの香りを消してしまう。かと言って潰すといまいちなのは上述の通り。

私的には、龍宮の水割りは濃い目の7対3が愛すべきポイントなんだけど、それくらいに留めるためにはキツメの炭酸が望ましい。こればっかりはどうしたもんかと。未開封で冷蔵庫、開けたてで作るのが一番美味いということですな。

なみなみ作らず、香りを貯める空間を残したい。大ぶりのグラスに半分から2/3程度。
この空間の有無で、グラスを口に運んだ瞬間の印象が全く違うんですよね。香り、大事。

氷が溶け出すことによる味の変化、炭酸の弱まりはないほうがいい。だから龍宮も炭酸水も両方冷やして氷なしで作るのがいい。ハイボールと同じですね。

レモンを少々。モヒートだからライムか、本来は。果汁の瓶ならどちらも常備してますけど、できれば生がいいのは言うまでもないことでございますなぁ。

そんなことを思いつつ、一杯。




ということで、龍宮30度を瓶に移して冷蔵庫で冷やしておきました。
生ライムも入手。

氷なし、開けたて炭酸、叩きミント、生ライム。

至福でございます。えぇ、至福でございます。



2013年7月16日火曜日

奄美シマ酒案内人になりました。

7/8から7/15まで、離島のためのメディアである離島経済新聞社さんが主催で、島酒Week「奄美黒糖焼酎祭」が開催されました。

黒糖焼酎好きにとっては、黒糖焼酎が注目される大変うれしいイベントなんです。

その中で、「奄美シマ酒案内人になれるシマ酒レクチャー&試飲ワークショップ」というのがありまして、参加してきました。

ずらりと並ぶ、代表18銘柄。7,8割くらいは飲んでますけど、並べて飲むのは初めてです。




始まりは弥生焼酎醸造所の4代目による黒糖焼酎の解説。製造方法などのスタンダードなお話から、奄美シマ酒案内人として話せるこぼれ話的なものまで、とてもためになるお話でした。


続いては奄美シマ酒案内人代表である、ダイニングバー味彩の小田さんによるレクチャー。
黒糖焼酎との出会いに始まり、黒糖焼酎への愛あふれるお話でした。非常に共感する部分が多く、ぜひ一度お店におじゃましたいなぁと。


さて、続いては代表18銘柄の試飲です。今回、頑張りました。ちゃんと利いてメモを残してます。字が汚くて読む気がしませんけど。
ただ、飲んだ順をメモするのを忘れるという致命的な失態をしておりまして、順序による影響は…でございます。

  • 天海(奄美大島:株式会社天海の蔵)
    瀬戸内町唯一の蔵元(だったはず)で、これまでに加計呂麻とか瀬戸の灘とか川智は飲んだことあるけど、名代である天海は未飲でした。
    麦や草といった枯れた香り。アルコール感に由来する辛味が舌に残り、甘味はざらめのような粒を感じる味わい。
    水割りにすると甘味がおとなしくなり、香りや甘さの奥にあるコクが浮き出てくる。
    ちなみに5,6年前に川智を一升瓶で買ったことがあるんですが、癖が強すぎてかなり苦戦した記憶があります。当時はストレートかロックでしか飲んでなかったけど、多分お湯割りだと美味しいんじゃなかろうか、と今なら思うんですよね。そのうち再挑戦しようと思います。
  • 朝日(喜界島:朝日酒造株式会社)
    奄美群島で最も古い蔵元。大正5年創業。近場で買える割に、今までお店でグラスでしか飲んでなかったなぁ。あ、陽出る國の銘酒は朝日酒造さんのものですね。
    べたつくようなねっとりとした香り、強くないものの横たわる。昆布系の旨みが先に立ち、奥に甘さがある。
  • 喜界島(喜界島:喜界島酒造株式会社)
    これも居酒屋でグラス飲みの経験はあり。癖が強かった記憶。
    甘味と、堆肥のような一癖のある香り。口に含むと強い甘味、そして香りが迫る。ピリピリと口の中全体を刺激する辛味。舌で転がすと草や灰のような香りも。ロックがいいだろなぁ。
  • 奄美(徳之島:奄美酒類株式会社)
    それほど回数を飲んだことないのに、妙に私的黒糖焼酎のスタンダードの位置を占める銘柄。奄美という名前から大島のお酒と勘違いすることしょっちゅうなんですけど、徳之島なんですね。
    細く甘い香りが立ち上る。とても判りやすい、そして落ち着いた甘さ。辛味とのバランスが非常によく、突出した癖がないため、個人的には黒糖焼酎を人にすすめるときの1本目に推したい良酒。
  • あじゃ(徳之島:株式会社奄美大島にしかわ酒造)
    奄美に行った時に四合瓶で飲んだはず。それ以外では飲んでないなぁ。自宅に1本あるんですけど、数年物のため勿体無くて開けれてない。
    香り自体がほんのり。甘さもほんのり。反面、口に含むとねっとりとした甘さが先に立つ。
  • 稲乃露(沖永良部島:沖永良部酒造株式会社)
    お初でございます。
    蒸した黒糖といいますか、湿ったミネラルの香り。辛さは控えめで甘みが強く、粉っぽい舌触りが面白い。
  • 昇龍(沖永良部島:原田酒造株式会社)
    こちらの蔵に「昇龍 好太郎」という原酒があるんですが、僕に黒糖焼酎を教えた人から中日ドラゴンズの優勝祝いに頂いたことがあります。濃密で非常に美味しかったんですよ。それでスタンダードの昇龍を買ったことがあるんですが、これもなかなかの癖で困ったんですよね。そのまま寝かすこと4,5年、まろやかになり、素晴らしい変化を楽しんだ思い出の酒です。
    あぁ、えらぶの酒やねぇという香り。硬く、あまり優しくない香り。トロリとした強い甘み。後から辛味。ふむ、記憶のような癖は感じなくて、普通に美味しい。
  • 天下一(沖永良部島:新納酒造株式会社)
    こちらもお初でございます。これまでは昇龍のスタンダードの癖の記憶があったせいで、沖永良部のお酒には手が伸びてませんでした。
    少し泥臭い、癖のある香り。口に含むと甘さとコクになり、辛味とのバランスが良い。後味がにじむような佇まいで心地よい。
  • 有泉(与論島:有村酒造株式会社)
    与論島唯一の蔵元、ということで存じております。居酒屋では何度か飲んでるはず。通常20度だけど、今日のは25度だとか。
    細い香り。甘みと草のような青さ。辛味は少なく、昆布系の旨みが主体。甘さも強く感じないから、お湯割りで甘さを立たせるとまた違った印象になるんじゃなかろうか。
  • 浜千鳥乃詩(奄美大島:奄美大島酒造株式会社)
    これ自体、居酒屋でよく飲んでましたが、奄美に行った時は高倉とかじょうごとかやんごとか。こうやって書いてみると、結構お世話になってる蔵元さんでした。
    青い香りがほんのり。紫蘇なんかが浮かぶ、青い甘さ。味自体は奥深く濃く、後から来るピリリとした辛味が引き締める。辛味自体はすぐに消え、キレのためのものといった感じ。相変わらず安心の味でした。
  • あまみ長雲(奄美大島:有限会社山田酒造)
    こちらも何度も飲んでる銘柄。自宅には、ほんの少しだけ原酒40度が残ってるはず。穏やかで優しい甘さは、人に薦めるのにも安心の一本でございます。
    改めて利くと、甘さが穏やかに香り、奥にはフルーツのような風情も。口に含むとほんのり昆布系のコク、黒糖の横たわる甘さ、マンゴーのような南国の香る甘さ。黒糖焼酎の甘みを存分に楽しめるなぁと再確認でございます。
  • 里の曙(奄美大島:町田酒造株式会社)
    安心と信頼の曙。どんだけ飲んだことか。といっても家で瓶を買ったことはないなぁ。居酒屋で黒糖焼酎を頼む時の定番でございます。
    爽やかで品の良い香り。減圧らしい軽さと果物系の爽やかさが、甘さを抱き込んで単に甘くさせない。
  • 緋寒桜(奄美大島:大島食糧株式会社酒造所)
    お初でございます。
    弱い香り。口に含むと、ハーブ系の香り。薬草、漢方のようなどこか引っ掛かりのある風情が妙な懐かしさを感じさせる。香りに反して甘みがストレートで、黒糖より白砂糖といった感じ。クセのある品のよさが面白い。
  • 彌生(奄美大島:合資会社弥生焼酎醸造所)
    居酒屋で飲んだことあるけど、もっと飲んでる銘柄はまんこい。
    ほんのり淡い甘さが香る。口に含むと広がる甘味と辛味。黒糖味を強く感じる。水割りにすると甘さと辛さが解けてフラットな舌触り。五百万石の日本酒が浮かぶ。
  • 龍宮(奄美大島:有限会社富田酒造場)
    心の酒なので贔屓目バイアスなんでもありでございます。今回は割りと終盤に味見です。
    えー、ぴたっとハマる、という表現でいいんでしょうか。僕の中には龍宮がはめ込まれるための、なんか型枠みたいなのがあるんですね。そこにパコってハマる感覚は、何時飲んでも、何度飲んでも変わりません。えぇ、まったく利き酒のコメントになりませんねぇ。
    ちょっとまじめに書くと、よく辛いと言われる龍宮も、比べてみると辛味自体はそれほど突出するわけでもありません。ただ、辛さ自体に厚みがあり、ピリピリではなくてジーンと痺れる感じが特徴なんでしょう。
  • 珊瑚(奄美大島:西平酒造株式会社)
    奄美に行った時に蔵にもお邪魔して飲んでる銘柄。こちらの蔵は樽貯蔵の加那という銘柄もあるのですが、個人的には珊瑚の方が好きだった記憶があります。
    薄い香りが横たわる。口に含むと刺激が先に立ち、次に豊かな甘味。透明感のあるキレの良い味わい。
  • 八千代(奄美大島:株式会社西平本家)
    お初でございます。
    ほんのりと弱い香り。口に含むと辛味が特徴的に立つ。香りも、ピリリと来る感じも、生姜のような風情。水で割るとこの特徴が薄まり勿体無いから、ロックかお湯割りはどうだろうか。
  • れんと(奄美大島:株式会社奄美大島開運酒造)
    里の曙と並ぶ安心銘柄。これもさんざん飲んでます。
    あまり香らない。口に含むといつものスッキリ軽い舌触り、軽快な喉越し。

ひと通り飲んでみての感想は、
  • サンゴ礁の島である、喜界島、沖永良部島、与論島の3島の焼酎は、共通してミネラル分に起因する味わいが強くあり、硬水がその元になっているのがよく分かる。そのせいで一癖あるように感じる場合もあり、相性が良い飲み方を探るのは楽しそう。
  • 黒糖の甘さの立ち方に蔵の個性が良く出るんですが、その対になるのが辛さとのバランスかなと。個人的には大島、徳之島の中だと徳之島の奄美が、上記サンゴ礁の3島だと沖永良部島の天下一が、甘辛のバランスがよくて飲みやすい、判りやすい味かなと。
  • 感想を書いてて思うのが、甘さが単に甘さの度合いだけじゃなくて、元の黒糖の特徴に起因する個性があり、甘い以外にどう言えばいいのか悩むなぁと。明らかに違うのはわかっても、的確な言葉が見つからない、というかそこまで甘みの表現が豊かじゃないなぁと。
てなとこでしょうか。


途中からは、いろいろなもので割ってみようというということで、様々なアレンジについての話も。
一般的なお酒の試飲会とはちょっと違う、シマ酒らしいゆるさと自由さを楽しめる会でございました。


最後に、奄美シマ酒案内人の試験を受けて終了。
無事に認定して頂きました。ちょっと面白いことに、会員番号を自分で選べるんですよね。迷わず5910を選択しましたけど、予想通り先客がいらっしゃいました。いいんです、もう一つこれだよねって番号は選べましたから。内緒ですけど。


芋焼酎や麦焼酎ほどの市民権を得られていない黒糖焼酎。
啓蒙の一助を担えたらと思う次第でございます。

ちなみにこの場でもお話がありましたが、鹿児島県酒造組合の奄美支部では「奄美黒糖焼酎語り部」の資格認定もあり、こちらはテイスティング試験もある更に本格的なものだそうです。いつか受けてみたいなぁ。


追記:
しかし、待てども待てども、正式な会員証がこないなー。

2013年7月15日月曜日

外飲みメモ:喜楽長・福小町・南部美人・手取川@北千住 呑肴処 きたせん楓さん

北千住の「きたせん楓」さんにお邪魔しました。
あまりに暑い日の夕暮れ時、爽やかで美味しいお魚と日本酒をゆったり飲みたいと。

それぞれ1合ずつ頂きました。


喜楽長 純米吟醸 三方良し
京都にいる頃はちょくちょく飲んでた喜楽長も、関東に来てからはあんまり飲む機会がありませんねぇ。古い感じと新しい感じの交わるような印象があるんですが、この三方良しもそんな感じ。

喜楽長と言えば天保正一杜氏。平成17年に引退されて、その最後の造りのお酒を頂いた記憶があります。思えばそれ以来な気がします。現在の杜氏である家杜氏の味は、記憶にある喜楽長の姿を思い出させてくれる良酒でございました。





福小町 純米吟醸。
奥さんの一杯目で、ちょっと分けてもらった。秋田らしい甘さが上品に香り、でも、濃くても甘くてもしつこくさせないキレが後味まで品よく終わらせます。
ちょっと甘さが気になるのは最近の僕の好みのせいですかな。




南部美人 純米吟醸 生
南部美人も何度も飲んでるお酒ですが、生酒は初めてかもしれません。日常的に飲んでるわけじゃないですからねぇ。
久しぶりに飲みますが、厚みのある、それでいて角が立った端正な佇まい、美味しいですなぁ。生らしい艶やかさもたっぷりで、美味しすぎて飲み疲れると言っても過言じゃないタイプでした。





最後は手取川 大吟醸 あらばしり生酒。
手取川も随分久しぶりです。以前飲んだ時のはあんまり覚えてないなぁ。
大吟醸らしいキレイさに、あらばしり+生の弾ける感じがプラスされて大変美味しい。個人的に、能登の酒はちょっと苦手な香りを感じることがあるんですけど、これは全然そんなことなく、思えば能登杜氏の喜楽長の方がその気配を感じてたかも。

手取川は杜氏が2人いらっしゃいますが、これはベテラン杜氏の山本杜氏。品よく、瑞々しく、本日魚に一番合うお酒でございました。





ちなみに料理もめちゃくちゃ美味しかった。

入店後、1000円でお酒1杯とお刺身1皿、おつまみ2品というセットがありましたので、ビールでお願いしました。いやー、このセットは素晴らしいスタートでして。
あ、写真はもうビールを飲み終えた後ですけど。

つぶ貝は非常に上品な出汁で、食感も絶妙の状態。出汁まで飲み切る美味しさでございます。
そして白眉は今年初のホヤ。いいんですかってくらい盛りよく頂きましたが、もう絶妙の塩加減。奥さん的にはもう一歩生っぽいのがいいって言いますが、それは塩辛と言わず刺し身じゃないかと思ったり。いやはや日本酒が進むでありました。

お刺身は、写真のセットの他にも炙り〆鯖をお願いして、そしたらちょっと量が少ないからって小肌も頂いたりしまして。そんでまたどっちも非常に美味しかった。
特に小肌。締め加減が絶品で、こんなに美味い小肌は何時以来だろうか。



桜海老の素揚げ。
ちょっと塩がキツイと奥さんは言うけれど、個人的には塩を舐めて酒を飲める人間なので、これくらいキツメが旨かった。まぁでも次は頼ませてくれないだろうなぁ。
それにしても桜海老の味が濃くて、塩のキツさも油のしつこさも吹き飛ばす濃厚な味。



美味しい焼き物が食べたいなぁとカマスを。
カマスって僕はすごく好きで、奥さんはそんなでもないんですが、このカマスは大きさから焼き加減までとても良かった。美味しかった。感動した。奥さんがべた褒めしてた。

写真で見て分かる通り、お腹が割いてないですよね。でも実は開くと中は内臓はなくて卵が蒸し焼き状態に。つぼ抜きでどうやって卵だけ残せるのか、素人にはよくわかりません。

ふかふかの焼き加減は身の厚い大物のカマスだからこそ出来る食感でしょうか。
カマスって、ホロホロの身と言えば聞こえはいいですけど、下手に焼くとパサパサか水っぽくなるかの両極端ですし。



大将の、豪快な笑い声とは対照的な、非常に丁寧な仕事っぷりがよく分かる良店でございました。
お店の中もキレイでゆったりでして、のんびり美味しいお魚と日本酒を楽しめるなぁと。

お酒のラインナップを見ると、割りとしっかり華やか旨口を多く置かれてる印象です。これだけ魚自体の味も濃く美味しい料理ですので、お酒が少々派手でも負けないんだなと。

これからもお世話になること確実なお店でございました。