2013年6月30日日曜日

開運 純米 涼々 24BY

2013年夏酒第8弾は、昨年の夏酒の王者、開運の涼々です。去年は3回くらい買ったっけか。

開運、とても好きなお酒なんだけど、何故か季節ものしか買わないんですよね。そして涼々は1年待ったホント嬉しい季節のお酒。


冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

香りはほんのりメロン。強くなくて上品。
口に含めば、冷えすぎてほんのり苦味が気になるけど、旨味たっぷりの爽やか濃厚の気配がタップリ。

少し置いて空気に触れた後は、引っ掛かりが消えてツルツルに。
完熟メロンになったんだけど、爽やかさは維持されてるから面白い。

静岡らしさ全開に加えて、開運らしい太さがちゃんとある。でも軽快爽やかというこの素敵なバランス。

よくよく味わって飲むと、基本的に開運の味という芯は揺るぎなく存在してるんですよ。でもこの涼々には爽やかさがある。更に言えば、クチュクチュと空気を含ませるとより爽やかになる謎の酒質。

キレがいいとかアタックがさっぱりとかじゃなくて、飲んでる最中が爽やかなんよね。これがこのお酒の特徴でしょうか。

そして温度があがってくると、爽やかさが増す。冷えてる頃より爽やかになる。花冷えより涼冷えのほうが、風味があるのに爽やかさが増している。


唐揚げと合わせる。油を流すのには、さらりとした静岡酒は頼りになる。



3日目。
あいかわらずうまい。2晩おいてしっとりした。穏やかだけど旨味は十分。
私的には、山田錦を上手く使いこなした好例。甘みも旨味もあるけど、それが一番には主張せず、そして夏らしくアタックは艶やかつるリ。ほんのりの酸味は穏やかなオレンジジュースとかそんな感じ。ジューシー、でも濃くない。



9日目。珍しく引っ張ってみた。
ワイングラスで飲む。大ぶりのボウルに注ぐと立ち上る青い香り。若く青く瑞々しい。

メロンほど甘さが強くなく、スイカほど水っぽくなく、でも、スイカのほうが近いかなー。あとラムネ。夏ですよ、これ。

ほろ苦く、甘さの余韻が短い割に、青々しい旨味は喉に張り付く。
全く重たくなくて、でも満たされるふくよかさがあって、今年もこれが夏酒のナンバーワンだなぁ。

ヤンソンさんを誘惑。うまいけどちょっと苦味が立つ。まぁ夏酒に合わせるアテじゃないなと。


チーズと合わせるのを、久しぶりにちゃんとやってみる。

Jean d'AlosTomme de Chalosse。セミハードとかセミソフトとか、サイトによって記載が違う。食べた印象はセミハードかな。賞味期限が近く、すでにちょっと熟成が進んでるとのこと。まぁ2割引きですから。
そしてこれ自体がめっちゃうまい。開運のほんのり苦味と、チーズのナッツ&ミルク感が絶妙に合う。
ちなみにJean d'Alosのサイトを見ても、Tomme de Chalosseという名前のはなくてリンクの通りジャンル?的なものなのかもしれない。この辺り、全く分かってないんですが、教えてチーズの人でございます。

BEEMSTERVlaskaas。オランダのチーズでございますか。全く存じ上げておりません。
ほんのり甘目のしっとり。悪くないけど2割引きの勝ちかな。

チェスコさんのコンテ6ヶ月
やっぱり合う。先日の君嶋屋さん以来、コンテと日本酒はたまらない。若いコンテ、今回は6ヶ月。
口の中でコンテを砕いて満たし、それに日本酒を投入する。溶け合い、剥がれたコンテの欠片が新しく香りを放ち、2度目の芳醇さが楽しめる。
チーズと日本酒は基本的に相性がいいからよくやってたんですけど、コンテの合い方はちょっと別格。素晴らしい。まぁ元々コンテ好きですから、贔屓目が無いと言えば嘘になるんですけど。



10日目。
メロンの中にクルミのような香ばしい香りも。
味はちょっと枯れた。昨日の空気で一気に進んだかな。昨日がピーク。9日というより、空気に触れさせること3回が限界ということかな。


いやはや、今年もおいしゅうございました。食中酒としても飲みやすい軽快さと、癖になる旨み、ついつい杯を重ねてしまうんですけど、今年は我慢して引っ張ってみました。
ワイングラスによる香り補正はあるものの、空気に触れさせた後の苦味と青さのバランスは、旨みに対して正に涼々と宣言するかのような味の重なりでございました。

来年も楽しみでございます。






開運 純米 涼々 24BY
株式会社土井酒造場
精米歩合 山田錦 55%
日本酒度 +2
酸度 1.3


取手市 中村酒店さんで購入。

2013年6月28日金曜日

流輝 純米吟醸 夏囲い 無ろ過生 24BY

2013年夏酒第7弾は、お初の銘柄、流輝の純米吟醸です。

初めての銘柄で最初に飲むのが夏酒というのは、変な先入観を持ってしまいそうでいやーんなんですけど、これは酒屋さんオススメでもあり、試飲した奥さんオススメでもあるので楽しみでございます。


ちょっと冷蔵庫にいれてる時間が短かったから、キンキンには冷えてないくらいで開栓。

程よく立ち上がる甘めの吟醸香。数字どおりです。

口に含むと、しっかり甘いけど、それが立たないようにしましたよって感じの軽さがある。確かに夏酒のスタンス。

酸はほんのりとしか感じず、しっかり味わうと舌の上で甘さがトロリとする。でもアタックがツルツルのおかげでさらりの喉に通る。最後にほんのりと刺激と苦味、これがまた甘さを掻き消す余韻になる。

もうちょっと冷えたほうが良さそうかな。

静岡酒っぽい感じのスマートさ。果物とかの感じはしないんだけど、大人しい旨みがにじり寄ってくる。

カツオとはあまり合わない。玉ねぎとか茗荷がダメなのかなー。薬味の香りばっかり立ち上がる。
イワシの刺身とはよく合う。イワシの旨みにツルツルの味と甘みがよく溶け合う。

奥さん曰く、試飲ではここまで苦くなかったとのこと。そして旨味ももっと奥ゆかしかったと。

よく冷やすという点も含めて、翌日以降を楽しみにするであります。もしかしたらエアレーターでも良い相性かな?



3日目。
少しまったりした。夏らしさは少々影を潜めたけど、酒としては旨く変化したかな。

穏やかになり、甘さが舌の上で優しく湧く。それほど強くない甘さは、後味の軽い刺激が全体を引き締めることで、全然しつこく感じない。

鼻に抜くと吟醸香がふわりと。この点は初日よりわかりやすい。

ブリカマとあわせる。正しくは鰤まで大きくないワラサ。なので鰤ほど脂も乗ってなくて身の味が濃い。ほろほろの身に旨味が溶け込み良い感じ。



7日目。
あー、もったいない、ちょっとだれてしまったなぁ。


ともあれ、初めての銘柄でしたが、なかなか興味深い一本でした。最近多い酸味を効かせたタイプと違って、穏やかで旨みがあり、でもぼんやりしないという食中酒としても良さげなクオリティ。
是非是非、定番酒も試してみたいものでございます。






流輝 純米吟醸 夏囲い 無ろ過生 24BY
松屋酒造株式会社
精米歩合 山田錦 60%
日本酒度 -4
酸度 1.6


印西市 酒のなべだなさんで購入。

2013年6月27日木曜日

久礼 特別純米 無ろ過無調整 手詰直汲み、祝定番とチーズとその正体

季節ものの久礼の特別純米 手詰直汲み、めでたく定番になったそうです。定番という言い方がいいのかよくわかりませんが、少なくとも年一回出荷みたいな季節をめっちゃ限定するものじゃなくなったとのこと。

我が家の久礼はこれで始まったせいで、レギュラー商品だとイマイチ満足しないんですよ。なのでこのお酒がクピクピ飲めるのは、非常に、とっても嬉しいんでございます。

さて、そんな久礼にも夏酒がありまして、酒屋さんで試飲させてもらいました。
…苦い、大好きな爽やかさがない…あれー、すっごく期待してたのに…

ということで、取り置いてもらってたこの愛する一本で久礼熱を冷ますとします。


ワイングラスで。少しコンテを口に。
強いラムネ感。山椒のように舌を刺激する何かが少し。苦味がよく解る。

チーズと合わせたら、久礼の正体みたりという感じでございまして。
そうか、久礼は元々苦いのか。そこに爽やかな甘さと弾ける舌触りが、いつものキレ良く味濃く爽やかな一本に仕上げてたのか。

つまり夏酒は甘みが足りなすぎてだめだったということ。開けて味乗りすればどうだろうか。


それにしてもこやつは美味いなぁ。また2日で終わっちゃった。
そして写真は以前のもの使い回し。撮るの忘れちゃった。



2013年6月26日水曜日

ちえびじん 特別純米 八反錦 24BY

ちえびじん、お久しぶりです。瓶で飲むのは初めてでございます。

2年半くらい前、とある酒の会で味見して以来です。その時のコメントは、
こちらは全く知らない蔵でしたが割とよかったです。ただ飲み続けるにはちょっと重たい酒質なので、お店で見たら一杯飲むといった塩梅でしょうか。
などと偉そうに書いております。どんな感じで重かったのかは記憶の彼方でございますが。


ということで、冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

香りが独特。漢方?みたいな、かなり強烈な個性。香り自体が強いわけじゃないけど、これはなかなか。

口に含むと意外と綺麗なコク。味自体は甘さもそれなりにあって濃いんだけど、酸が引き締めるからしつこくない。

そしてやっぱり香りの個性が口に含んで一呼吸、グワッとくる。鼻で嗅ぐよりももう少しわかりやすい米の香り。米のコクや苦味が強く立ち、苦手な人はダメだろうなぁ。

喉に落として一拍置くともう一度香りがプンと上がってくる。その瞬間に最初に浮かんだのは甲殻類の味なんだよなー、カニ系、ヤシガニ?

奥さん的には青臭い、茹でがあまい豆とか。なるほど。灰汁とか?
でもそれなのに秋鹿の味がするとは奥さんの言葉。なるほど、米の強さという点では同感。

温度が上がってくると、香りにも味にももう少しまとまりが出てきて、米の旨み、酸味に集約される。


なんだかおよそ褒めてない単語が並んでますが、あくまで個性の表現なんです。あれですよ、ソーヴィニヨン・ブランのワインをネコのおしっことか言っちゃう感じなんです。まぁ表現としてどうかと思ってたんですけど、率直に浮かんだのを書くとこうなっちゃうんですねぇ。


カツオ刺し、イマイチ、薬味のせいかも。
イワシ刺し、まぁまぁ、でも次第点には…うーん。
イワシ煮、まだこっちのほうがいい。
豆アジのエスカベッシュ。油とよく合う。

奥さんの秋鹿説を考えると、ベストマッチは肉かなー。明日以降考えよう。



2日目。
昨日とあまり変わらない。若干味が軽くなったかも。

冷蔵庫から出したてくらいの冷えだと、癖を強く感じる。ハーブ、と言ったものの何だろうなぁ、漢方系。
涼冷えくらいになるとクセが気にならなくなる、旨味が強くなってバランスが整う。

豚肉と大根の煮物。脂との相性がいい。豚のほんのり臭みともよく合う。魚じゃなくて肉と合うのは予想通り。ちえびじんは他の米でもそうなのかな?



3日目。
癖の香りが全体の味と調和して、濃厚穏やかに。旭若松と秋鹿を足して2で割ったは言い過ぎかな。でもまぁそんな期待を持ってしまう。

ヤンソンさんの誘惑と合わせる。こってりとした旨味を溶かし、がっぷり四つに組める強さがある。いいねー。

四川麻婆茄子。合う、すごく合う。辛さ、香ばしさ、ラー油、肉汁、どれもと繋がり、じんわりと旨味と辛味で口が満たされる。



なかなかやんちゃな味でございました。
でも、ちょっと空気に触れさせれば穏やかにまとまることも判り、今後かなり気になる銘柄になりそうです。


しかし、八反錦というお米はなかなかどうして面白いお米だなぁと。

墨廼江の時は、固さがあっても舌触りのツルっとさからクリアという印象。
屋守の夏酒の時は、香りの癖が気になり蔵の甘さの立たせ方と相まってロックを選択してる。
そして今回のちえびじん。

墨廼江の八反錦がクリアなのはやっぱり蔵のスタンスということかな。
甘みを立たせようと思えば、屋守にしてもちえびじんにしてもかなり厚みのある甘さが出せると。甘さの量は蔵元のスタンスかなと。
でも、ちえびじんを飲んでも舌触りはキレイな印象を持ってるし、屋守も冷えてる時のツルッとした感じは、なるほど、確かに共通する。
そして香りに一癖、蔵の個性を出すという使い方が出来るということなのかな?
比較のために、墨廼江の八反錦をもう一度飲みたいなぁと思う今日このごろでございます。

ちゃうねん、ちえびじんの他のお米を飲みたいなぁと思う今日このごろですって終わらなきゃいけません。




ちえびじん 特別純米 八反錦 24BY
有限会社中野酒造
精米歩合 八反錦 60%


印西市 酒のなべだなさんで購入。

2013年6月24日月曜日

墨廼江 純米 大辛口 24BY

2013年夏酒第6弾は、墨廼江です。

墨廼江自体が元々爽やか夏向きのお酒って印象を持ってましたが、それでも夏の墨廼江はスッキリ辛口。ここ数年の墨廼江は味乗りがいいですから、夏酒の爽やかさは一層際立ってます。


そんな墨廼江、今年もやってきました。冷蔵庫からだしての冷や冷やで開栓。

爽やかな酸、甘くない香りがふわっと。思ったよりよく香る。

口に含むとメロン。熟れてない若いメロン。そしてメロンが通り過ぎたあとにフワリと酸が香る。
冷たいせいか後味に軽い苦味。後味自体はキレがよく、若干の青さを残して消える。中村酒店さんでも聞きましたが、例年より辛いとまでは言えない。

でも甘みや味のりの軽さが夏らしく爽やか。甘みが少ないせいで旨みが足りないように感じるけど、味自体が薄いわけじゃない。甘みを抑えると言えば愛する伯楽星なんですが、そういう抑え方ともちょっと違ってキリッと控えめ、酸が目立つ。決してキツイ酸じゃないけど、バランスが沿う感じさせる。

ワラサの竜田揚げと合わせる。鰤ほど脂が乗り切ってないワラサ、というかそもそもこの時期そんなに脂が乗るわけじゃないから、結構さっぱり同士。すみのえのキレはもっと濃いものを相手してもいいな。


温度が程々あがってきたら、甘みと辛みの両方が湧いてくる。それでもメロン感は変わらないのが不思議な感じ。

ヒイカの煮付けと合わせる。肝の香りとメロン香がよくマッチする。煮付けはそれほど濃い味付けにしてないんだけど、肝はさすがでございますな。


涼冷えから暫し置いたくらい、冷えがキツくないくらいが一番美味い。ちょっと意外。
そして辛さと旨さが若いメロンを完熟させるかのような風情。

墨廼江は魚と合わせたくなる印象があるんですけど、こういうバランスだと意外と肉でもいいかもしれない。血が滴る肉というのは難しいけど、ジャーキー、ソーセージなんか。

ということで、ハンス・ホールベックさんのフライシュケーゼと合わせる。
しっかり練られたみっちりした食感と肉汁、それをサラリと流す墨廼江。良いじゃないですか。



2日目。
昨日より青さが立たない。美味いなぁ。

舌に絡むところがない、サラサラ爽やか。お酒というより、爽やか飲料と言いたくなる。



4日目。
甘みがぐんと抑えられ、ドライな旨味。辛くはないけどキリリとするのは墨廼江の佇まい。
喉を通ってからしばらくして、じんわりと辛味が沸き立つ。

いわしと合わせると激旨。
味がよく染みた2日目の鰯、染みた味を墨廼江が流して、再びイワシの旨さが現れる。そして脂が溶けて墨廼江にコクを足す。



ということで、数日に渡り飲んでみましたが、今年も満足の一本でございます。
大辛口って書いてあるほど辛くない。そう思いきや、後からじわりとするあたりがいつもの墨廼江ともちょっと違う夏仕様でございました。

「辛さ」という言葉は、先頃のdanchuでも特集されてわけでして、まぁ正直あまり使い方をよくわかってないんですよね、個人的には。今回感じた辛さは、そもそも蔵元が言う辛さなのかどうなのか。困ってしまうデスヨ。


それにしても、正直このラベルは瓶の色との相性含めてかっこ悪いなぁ。普段の墨廼江のラベルがかっこいいだけに、なんでこれだけはこうなっちゃったんだろうか、と味に文句がないから見た目に文句を付けてみる。いやまぁ文句をつけなきゃいけない理由はないのですが。






墨廼江 純米 大辛口 24BY
墨廼江酒造株式会社
精米歩合 60%


取手市 中村酒店さんで購入。

2013年6月23日日曜日

もやしもん 農大グラス

つい油断して買ってしまった。


いいんです。使わなくたって、持ってることに意味があるんです。

2013年6月22日土曜日

松の司 純米吟醸 心酔 山廃仕込 18BY

君嶋屋さんで松の司を選んでもらったうちの一本。純米吟醸の山廃造りの熟成酒、18BYです。
この心酔というラインナップは今は生酛造りになってるから、もう飲めないものです。

君嶋屋さんでは寝かせたお酒ばっかり好んで買うから、松の司も熟成酒と比べてみてはどうでしょうかとなってしまいます。ありがたやありがたや。


冷蔵庫からだしてちょっと置いた、そこそこ冷や冷やで開栓。

すごくほんのりの吟醸香。薄っすらと佇んでいる。

口に含むと、旨味の前に吟醸香、その後に山廃の乳酸、そして米の旨味と順に変化していく。そして瓜系の甘み。控えめな甘みだから完熟メロンとまでは言わないけど。

刺激はなく、旨味の苦味、その奥にある滲み出るコメの味。舌の上で転がしていると、ジワッと口の中が熱くなるような酸の刺激が、軽めの苦味を含んで出てくる。この苦味がたまらなく旨い。深い、そして緩い苦味。

温度が上がるに連れて苦味はなくなり、乾いた旨味に変わる。
粉を吹くように解ける旨味が心地よい。この輪郭の粉っぽさが五百万石を思い起こさせるんだけど、これは熟成がなせるわざなんだろうなぁ。こういう輪郭の緩さは、以前鳳凰美田の芳の熟成酒を飲んだ時と近い感覚。


横浜中華街の金陵さんのモツと合わせる。同時に味見してた数本の日本酒の中で一番良く合った。今日のモツはちょっと味が濃い目だったから、この優しい甘さがよかったのかな。



2日目。
メロン、瓜の香りが優しく香る。
ちょっと芯が抜けた感じの味わい。穏やかになりすぎたかな。ミルクメロン。

冷えた感じが抜けると、とたんに甘みが湧く。
刺激がなく、トロリとした感触、そして香る瓜の香り。甘さの抑えっぷりが、およそ山田錦とは思えないんだけど、香りには山田錦らしい膨らみがある。山廃らしい乳酸が、穏やかに旨味になっている。



2週間。
口に入れた途端はヨーグルト、乳清。爽やかで濃厚だけど甘みは少ない。酸味に加えて、軽い辛味が後味をよりキレさせる。

舌で転がすと米の香りが立ち上がり、より濃い旨みになる。そしてほんのりと甘みも引き出される。

タイの昆布締めと合わせる。それぞれの旨味が混じったり離れたり、口の中でもふもふする。この乳酸の香りは木桶よりも合うなぁ。お酒単体の旨さは木桶の方がわかりやすくあるんだけど、食事の旨味と混じる感じは熟成の妙だなぁと感じいる。

温度があがってくると、さっき引っぱり出さなきゃ出て来なかった甘みが、ホロホロと出てくる。多分燗しても良かったんだろうなぁ。季節柄、というかめんどくさがりのせいで出来ずじまいなのが無念でござる。

常温近くまで温度が上がってきて、最後の最後で一番甘みと旨味が調和した。
ヨーグルトに色々な果物をぶち込んだかのような、上質上品デザート。

図らずも、とても愉快な〆の味でございました。




旭若松とか悦凱陣とかの熟成感と違って、これはまたなんとも品のある枯れた味わい。枯れ過ぎ?物足りない?って思った矢先に新しい旨みに出会うことが出来る素敵な一本でした。

しかしまぁ上級者向きだったなと。温度帯とか飲み方とか、もう少しこのお酒の真価を引き出せる人と一緒に飲みたいものでした。自分、まだまだ修行が足りません。






松の司 純米吟醸 心酔 山廃仕込 18BY
松瀬酒造株式会社
精米歩合 山田錦 50%
酸度 1.4
日本酒度 +7


横浜君嶋屋さんで購入。

2013年6月20日木曜日

松の司 純米 無濾過生原酒 木桶仕込 24BY

松の司の木桶仕込です。

なんて、松の司をよく知ってるように書き始めてますけど、松の司を瓶で買うのは初めてです。何故だったんでしょうか、めぐり合わせなんでしょうね、お店で飲んだことは何回かあるのになぁ。

ということで、君嶋屋さんで松の司初心者なんで面白いの教えてって選んでもらった内の一本。今年のものです。スタンダードなものから選べないあたりが天邪鬼というかなんというか。


冷蔵庫からの冷や冷やで開栓。

香りは穏やか、あまり立たない。というかかなり薄い。

口に含むと、軽い刺激と供に、旨味がジュワジュワと出る。
立ち上がりの印象は非常にキレイな酒と感じるんだけど、後からぐんと旨味が湧いてきて、味としては強く後味も濃厚。そんな風に結構口の中で暴れるんだけど、喉に落とした後は綺麗なお酒やねぇって序盤の印象が顔を出してくるから面白い。

そして結構辛い。辛いけど骨太な旨味があるからナタで斬られたような鈍い痺れが続く。鉈で指を切った経験ならありますけど、あれって切れ目がきれいじゃないから痕が残るんですよねーって関係ないですが。

鉈はともかく、山田錦だけど甘さを抑えて米の芳ばしい味が強い。生酛らしさが全面に出るというより、生酛だからこの味が出来ましたっていう手段としての生酛って感じなんでしょうかね。

あと木桶だからある程度香りを中和してくれるのかどうなのか。一般的に木桶は杉だと思いますが、桶自体が若ければ木の香りが移るんだけど、これはそういう感じが強いわけじゃないし。

吟醸じゃなくて、生酛、木桶ってあたりのせいなのか、記憶の松の司よりも旨みが乗って濃い味を感じる。でも、思い返すと舌触りが妙にスマートというか美しくて、キレイなお酒よねーって思うから素敵。



2日目。
昨日より香りが立ちあがり、木の香りもわかるようになった。
甘さも出てきて、生酛純米とは思えない優雅な佇まい。純米吟醸を飲んでいるみたいな錯覚に陥るなぁ。

温度が上がるに連れて酸味が少し強くなり、同時に甘みが影を潜める。生酛感がもにょもにょ浮き上がってくる。常温くらいまで上げても美味しいだろうなぁと思いつつ、待ってられずに飲んじゃう。

乳酸系の酸味と供に、別の酸味もあって爽やか。でもなんだろうなぁ、これ。最初は柑橘系?って思わなくもないけどちょっと違うなぁ。



2週間。
気が抜けたと言えば聞こえは悪いが、それくらい穏やかになった。それでもほんのり舌に残るピリピリ感。酸味の中に木の香りがほんのり。

タイの昆布締め4日目と合わせる。ワサビも醤油もなしの炙り。昆布の香りと木桶の香りが深いところで絡み合って新しい味になる。ねっとり濃厚な香りに変わる。

温度があがって酸が香り高くなる。美味いけど旬が過ぎた、少し物悲しい味。引っ張りすぎたかな。


四合瓶にしては長々と飲んできましたが、味の変化に対して、木桶の香りのホロ苦さはずっとこのお酒の芯にあって、それが味の奥行きになっていた。すてきな味わいでございました。







松の司 純米 無濾過生原酒 木桶仕込 24BY
松瀬酒造株式会社
精米歩合 山田錦 65%
酸度 1.9
日本酒度 +6


横浜君嶋屋さんで購入。

2013年6月18日火曜日

鳳凰美田 純米吟醸 無濾過本生 No,14 24BY

No,14 の名の通り、とちぎ酒14号の鳳凰美田です。去年とか一昨年とか飲んでるはずだけど、なんせ鳳凰美田のラインナップの豊富さは半端ないから勘違いかもしれない。

まぁいずれにしても今年初めてなのは間違いないわけですからいいんです。


氷水にざぶんと冷やした状態で開栓。

お久しぶりです(`・ω・´)ゞ美田香。
とちぎ酒14号は、その名の通り栃木で開発された品種なわけでして、特徴は…よく知りません。
(´・ω・`)ショボーン

最近鳳凰美田は五百万石が一番好みだなーって思ってるんですが、それと比較して艶がある佇まい。奥行きがある味と言いますか。でも甘くなりすぎず、そしてよく香るといった感じでしょうか。
その意味では鳳凰美田の特徴が良く出るお米なんじゃないかと思ったり。

口に含むといつもの甘みと香り。安心と信頼の華々しさでございます。


来福の夏酒でもちょっと書いたんですが、先日友達が陋屋に来てくれたんですね。日本酒を詳しくなりたいって言うからいろいろなタイプの日本酒を飲ませてたんだけど、そのラインナップに鳳凰美田がいなかったんですよ。
そんなわけで、これは飲んどかなきゃいかんだろーってことで買ってきたんです。

あれですよ、「日本酒飲めな~い」とかいってるおねいちゃんに勧めたら、「なにこれおいしい~」とかいってウォフウォフできんじゃね?って話が始まりだったんですけど…どうなんでしょうか。

鳳凰美田にはそんな魔力があると信じております。


そんな戯言はともかく…

3日目。
艶が落ち着き艶消しにって感じの印象。つまりは幾分大人しくなる。
肌理が細かいと感じる舌触り。



6日目。
冷蔵庫からだして涼冷えくらいまで放置しておいた。

マイルド。舌触りはなめらかで、引っかかるところもなく、甘みと香りが口中を満たして喉に進む。鼻に抜くとアルコール感がふんわり。

温度的にも日数的にも、もっとモッタリするかと思いきや、スマートな甘さで留まるからこの酒はすごいなぁと。

鳳凰美田の味って、いい意味で、人工的に統制された味のひとつの頂点だなぁとしみじみ感じ入るですよ。






鳳凰美田 純米吟醸 無濾過本生 No,14 24BY
小林酒造株式会社
精米歩合 とちぎ酒14号 55%


取手市 中村酒店さんで購入。

2013年6月17日月曜日

日本酒フェア&公開利き酒会 2013

先日陋屋に来てくれた友人に誘われて、日本酒フェアと公開利き酒会に行って来ました。

基本的に家飲み一升瓶派でして、その上ひきこもりがベースの人間です。なのでお酒の会とかはほとんど行きません。特に都会の大きい会は、人混みの時点でおうちに帰りたくなります。

でもまぁたまには新しいお酒を探してみるのもいいかな、なんて思って出かけてみました。


まずは日本酒フェア。
県毎のブースとプラスアルファ。とある1県を除いて、全ブースを廻ってきました。この時点で利き酒を前に疲れて帰りたくなる…

とは言え、こういう機会に飲んだことない気になるお酒をピックアップです。
  • 若波
    程よいメロン系の香りに穏やかな飲み口。ちゃんと一本買って飲みたいなぁ。
  • 田中六五
    軽めのバナナ香に軽めのアタック。でも旨みは後からついてくる。常飲酒に出来そうないい雰囲気。まぁ常飲する値段じゃないか。でもとてもよかった。
  • 伊根満開
    赤米のお酒は当たり外れが多くて、過去にも痛い目にあっててビクビクしてたんですが、素晴らしい酸味。お燗した味は、冬に大ぶりのグラスでジミジミと飲みたくなります。
  • 青雲 颯
    切れの良い後味ながら舌の上ではしっとりと旨み。神の穂のお酒は瀧自慢でしか飲んだことなかったのですが、やっぱりいいお米ですなぁ。
他にもあった気がしますけど、メモを取る根性がなくて記憶にあるのはこれくらい。

あとは普段買わない買えないけど知ってるお酒のチェック。
  • 亀齢の大吟醸、濃くても美しくさすがでございました。
  • 松の司の大吟醸、味の重なりがたまりません。
  • 香露の純米、香り高く艷やか、うまー。
  • 旭興、今日一番美味しかったかもしれない。
  • 石鎚、夏酒のファンで普段のはそれほどって記憶だったんですが、いやーほんとゴメンナサイ、ざっくりと切られた気分です。旨かった。
  • 静岡ブースの誉富士シリーズ、どれにも共通する誉富士の佇まい、それに加えるのは蔵の個性。ようやく誉富士の感じがちょっとわかった気がしました。
他にもあった気がしますけど、メモを取る…以下省略。
と言いますか、この後の利き酒会のせいでいろんな味の記憶が吹き飛んでおります。

気がついたら2時間…疲れた、帰りたい…


とは言え本番はこれから、公開利き酒会でございます。

3時間くらいかけて、8割くらいのお酒を利いてきました。

ほぼ流れ作業と言いますか…香りを利くのは最初の数本でもう無理です。鼻が速攻麻痺しました。
なので味、含み香で判断です、というかそれしか出来ない。プロはすごいなぁと。

そして良かったものを写真に撮るというなんとも大雑把な記録方法で、63本。その中でも良かったのは、以下のお酒たち。
  • 東洋美人
  • 千代むすび
  • 天領
  • 志太泉
  • 開運
  • 大観
  • 久慈の山
  • 栗駒山
  • 松の司
  • 石鎚
  • 美丈夫
  • 池亀
そして、更に群を抜いて記憶に残ってるのがこの1本。
  • 松緑
以前一度だけ飲んだことがあって、美味しさと、ちょっと独特な個性の記憶があります。それが大吟醸の出品酒でもきちっと蔵の個性として出ていて、それでなお高いクオリティを出す素晴らしさ。感服でございます。

というのもですね、鑑評会のお酒はどうしても似たような傾向になると思いますが、実際飲んでみると、想像以上につまんないんですよね。同じような味で、すぐに飽きちゃう。

もちろん、各銘柄をちゃんとした量、時間をかけて味わえば様々な個性もあり、素晴らしさは発見出来るんだと思いますよ。でも、そうだとしても方向性はそれなりに同じだなぁと。

これだけ利いてきても、これって他のお酒と全然タイプが違う!なんてことはなかったわけで、同じ方向性の中で色々と蔵の個性を出しているって感じなんですよ。
そいういう観点だと、松緑の両立具合は一番記憶に残った次第でして。

まぁ、単に僕の舌が大したことないって言いたいところですが、これに関してはしみじみ思ってしまったんですよ。なので自虐はなしでございます。


あとですね、県単位で言いますと栃木県が素晴らしかったです。
上の良かったリストには栃木のお酒はありませんが、それはいずれかの蔵が突出するというより、ホントあの一画は押し並べて良かったからなんです。
鳳凰美田の別誂えは先日飲んでるんですが、それに勝るとも劣らぬ名品揃いでした。


とまぁ、初めて参加しておいてなんたる言い草って感じの感想なんですけど、多分来年からは日本酒フェアだけでいいかなー。聞き酒会はお腹いっぱいでございます。


あ、なんだかんだで、最後に飲んだ酒類総合研究所謹製の本醸造が、非常にクオリティ高かったと申し添えておきます。いやまぢで。


まぁそんなこんなでございますが、大変楽しく勉強になりました。

それにしても、福島県のブースはなんであんなに品がなくてうるさかったんだろうか。


外飲みメモ:悦凱陣・王祿、公開利き酒会の前なのに試飲する@銀座 君嶋屋さん

日本酒フェアと公開利き酒に行ったんですが、その前にちょっと寄り道して今年3月にオープンした銀座君嶋屋さんにお邪魔して来ました。

横浜の本店は数ヶ月に一度お邪魔して、日頃の常飲酒とはまた違ったお酒を分けてもらうんですが、銀座店は初めての訪問です。

意外とこじんまりとしたお店でした。まぁお店の詳細とかは今更書くまでもないのですが、銀座店では有料の試飲が出来ますから今回はそれについてちょろっと。


メニューは結構豊富です。しまった、メニューは写真を撮るの忘れてた。日本酒だけでも5,6種類+セット物って感じで、何を試飲するか迷いまくりです。ワインとかビールもありましたし、ちょっとしたおつまみなんかも揃ってます。

今回は、当年の悦凱陣と、なかなか飲めない王祿の丈径を。


まずは悦凱陣。
24BYの赤磐雄町の純米無ろ過生、山廃です。

もう色からして若々しい、瑞々しい凱陣。
キイチゴ、プラムとか、そんな感じの香りがかなり強い。ワイングラスだから判りやすいかな?
口に含むとまず感じるのは渋み、若いフルボディの赤ワインを飲んでるみたい。

温度があがってくると、苦味は落ち着いた。けど酸味が立ち若木のような香りも。
グラスを回しよく空気に触れさせると、甘みが立ち上がる。ひかえめだけど滲み出るような感じ。

常温まで近付けると酸が落ち着きバランスが良くなってくる。でもまだまだかな。今飲むのはもったいない、と思ってしまう一杯でした。

凱陣は寝かせたものが美味しいからめったに当年のものを飲みません、というかそもそもあんまり目にしない。でもこうやって今年の新酒を飲んで将来を思うのは楽しく贅沢な体験ですねぇ。ワインにハマる人の気持ちが判ります。





お次は王祿の丈径。
23BYの地元産山田錦の一本です。

軽い酸味と濃い甘味が香る。ジトっと横たわる感じ。

アタックから喉に落ちるまで、一貫して整った品の良さ。王録らしい濃さはあるのに、厚みが薄い、いい意味で削ぎ落とした凄みを感じる。

佇まいは大吟醸クラス。口に含んでまず感じる突出した部分が品の良さでして、クオリティの高さが尋常じゃない。55%精米は十分贅沢なんだけど、55%でここまで繊細ですかとひれ伏したくなります。
品が良いとか綺麗だよねってお酒はいろいろありますけど、ほんとこれは気高いとか気品があるという言葉がぴったり。何を以って、何を感じてそう思うのか、我ながら不思議でございます。

味は、舌に絡みつく甘みと苦味が素晴らしい。いつも思うんですが、王録は苦味が強く、そしてそれが美味しい。綺麗な苦味が奥行きを与える。

温度が上がってもあまり変化しない。完成された味。
あ、でもこれはこの瓶のラストでしたから、開栓からちょっとは時間経ってるんだ。だから変化が乏しかったのかもしれない。しまったなぁ、抜栓が何時か聞けばよかった。

ちなみにラストだったから残りをサービスしてもらいました。明らかに多くてちょっとビックリ。贅沢なことでございます。






チーズ盛り合わせと合わせる。チーズに負けないどころか絡め取る王祿の凄み。

ブルーチーズ(名前忘れた)、カマンベール、コンテの3種類だけど、特にコンテとの相性がたまりませんでした。
食べながら、コンテかな?でもこんなに柔らかくてしっとりしてたっけ?と思いつつ聞いてみると、12ヶ月の若めのものとのこと。コンテってもっと熟成して固いのばっか食べてたから知りませんでしたが、というかそもそもチーズに詳しくないんですが、この相性はかなり秀逸でございます。

くるみと合わせるが、くるみ程度じゃ物足りない。
干しぶどう、苦味が変に立つからちょっとイマイチ。

チーズはソムリエールの方がセレクトされているらしく、まずそのものがとても美味しかったです。必要以上に風味が強くなくて、日本酒にもよく合う内容でした。
家飲みでもちょくちょくチーズで日本酒をやりますけど、こうやって種類を揃えるのはめったにヤラないから楽しいですなぁ。



試飲スペースは5席程度の立ち飲みなんですが、銀座を行き交う人を眺めつつ飲むという罪悪感満載のシチュエーションが楽しめますw


それはともかく、ワイングラスでそれなりの量の試飲が出来るというのは非常に勉強できる機会です。ワイナリーに行ってワインのテイスティングをするのと近い感覚。

日本酒の試飲って、プロじゃない限り(飲むか利くかという違いはあるにしても)お猪口にちょっとってのが一般的だと思いますが、こうやって一工夫あると、味を見るという観点では非常に楽しかったです。まぁこのやり方だと種類を飲めませんけど。

銀座という車で来る人が少ないであろうロケーションだから出来ることかもしれませんね。グランスタのはせがわ酒店さんとかもそうですし。

銀座方面に行く+飲んでも大丈夫って時には必ず寄っちゃいそうです。


悦凱陣 純米 赤磐雄町 無ろ過生 山廃仕込 24BY
精米歩合 雄町 68%
酸度 2.3
日本酒度 +8


王祿 純米 丈径 無濾過生原酒 23BY
精米歩合 山田錦 55%
酸度 2.5
日本酒度 +4.8


銀座君嶋屋
東京都中央区銀座1-2-1 紺屋ビル1F
03-5159-6880

2013年6月16日日曜日

八千代伝 黄色い椿 2013年

年一回のお楽しみ、黄色い椿が今年もやって来ました。
安納芋に黄麹と、普段の八千代伝とはちょっと違った趣です。


まずはストレートで。
濃厚で強い甘みの香り。香りの濃厚さに比せず味の切れは非常にスマート。
丸い甘みの中に、昆布系の旨味。舌の上で転がすと、この丸みが溶けていって中からコクが出てくる感じ。甘みの割に余韻は短め。でもアタックの芳醇さがあるから物足りなくはない。


ロック。
甘みが消えてダイレクトにコクが出てくる。旨味が剥き出しで、ちょっと頼りなくなる。ストレートで飲んだ時の、旨みを包む甘み、これ重要でございます。


水割り。
ロックの感想から、やる前から奥さんには止められる。予想どおりもったいなかった。ロックを更に薄めた感じ。


これだけ旨味のタイプが海藻系だと、お湯割りはあまり期待できないんだけどどうなんだろうか。



5:5でお湯割り。
普段の芋とはまた違った甘みが香り立つ。醤油とか味噌とか言いたい発酵臭も、ほんのり。
口に含むとやはり安納芋らしい溶ける甘さが。それとともに、冷たい時はもっと主張した昆布味が補足する感じで少しある。

海藻系はお湯割りすると匂い立ってダメかなーと思ってたけど、意外やこれが一番味がまとまって非常に美味い。あぁ美味い。

冷めてくると昆布感が強くなる。熱めの方が好みだなー。でもまとまり感は残ってるから、お湯が繋ぐ不思議な感覚。

更に冷えると、苦味が湧く。冷え切らないうちがいいなー。難しい酒だなぁ。自分には、蔵元の狙いがまだちょっと理解しきれてないんだろう。私的上級者向けのお酒と認定でございます。


ということで、ひとまずはストレートかお湯割り、ちょっと熱めでもいいのかもでした。












八千代伝 黄色い椿 2013年
八千代伝酒造株式会社 猿ヶ城渓谷蒸留所
安納芋/黄麹
25度


つくば市 スドウ酒店さんで購入。

2013年6月14日金曜日

あたごのまつ 純米吟醸 ひと夏の恋 24BY

2013年夏酒第5弾は、待ち焦がれたひと夏の恋。
ほんと、恋と言わず愛と言いたい一本です。

新澤醸造店さんのお酒は、冷え過ぎると苦味が出るという特徴が顕著に出ると思ってて、適温はその苦味が消えてからダレない間って思ってますが、ひと夏の恋はその幅が結構狭い印象なんですね。
なので今年も冷え冷えから徐々に温度を上げていって楽しもうかなと。


ということで、氷水に突っ込んだ冷え冷えで開栓。

ほんのり乳酸系の香り。吟醸香はあまり感じない。

口に含むと、あれ?穏やか。苦くない。ほんのりと瓜系、うーん、酸味も相まってプラムとか?奥さんは杏かなぁって。ともかく、妙に穏やかでじんわりする。
例年、ひと夏は辛くないけどキリリとした艶が表面にあって、奥からあたごのまつらしい香りと旨みという感じの記憶なんだけど、今年はちょっと違うなぁ。なんだか伯楽星に寄った味わい。

ちょっと温度が上がるともうちょっと酸味が落ち着いて、瓜系が中心になる。ほんのり感じる乳酸と相まって、穏やかミルクメロン。まぁ牛乳飲めないんですけど。

旨みも香りも必要にして十分なんだけど、普段のあたごのまつほど主張しない。

美味しさ自体には何の不服もないんだけど、ちょっと爽やかさが物足りない今年のひと夏。ちと恋に破れた気分ですが、未練たっぷりなのでもう一回飲んじゃうんだろうなぁ。

尾を引く感じなんかも伯楽星っぽいなんて思った次第でございます。

というか、ひと夏の恋って本当にあたごのまつなんだろうか。昔そう聞いた記憶があるんだけど、ラベルには一切書いてないしなぁ。まぁネットで調べるとあたごのまつとして売ってるんですけど。




あたごのまつ 純米吟醸 ひと夏の恋 24BY
株式会社新澤醸造店
精米歩合 55%


取手市 中村酒店さんで友達が購入w