2013年12月31日火曜日

雪の茅舎 純米吟醸 生酒 しぼりたて新酒 25BY

最近ずっと飲みたかった雪の茅舎、新酒を飲むことが出来ました。

ちょっと前に、齋彌酒造店の高橋杜氏を書いた本、「美酒の設計」を読んだのです。

美酒の設計はあいにく未飲なのですが、雪の茅舎は居酒屋で何度もお世話になってるお酒。もちろん美味しいことは存じておりましたが、近場で買えるところがないこともあって、瓶で買ってじっくり向き合ったことはありませんでした。

そんなわけで、出来れば美酒の設計が飲みたいし、まずは久しぶりに雪の茅舎も飲みたいなぁとか思ってた折、しぼりたてが売ってるじゃないですかということなのです。


玄関放置の涼冷え程度で開栓。

立ち香は濃く少なく、まさに積もった雪のよう。

口に含んだ瞬間から花開く旨み、フローラルな香り。華やかなのに芯の太さがあるためか、飲み心地は腰が入った味に感じられる。
余韻はそれほど長くなく、雪解けという感じにサラリと消える。味のボリュームに反した後味の淡さが印象的です。
立ち香は、品の良い吟醸香の後に米の旨み、苦味がじんわりと広がり飽きさせない。

記憶の味よりも甘さというか派手さが控えめに感じます。正しくは、その甘さ旨さは同じだけあっても、強く長くは主張しなくなったという印象でしょうか。よく飲んでたのか7,8年前だと思いますから、本に書いてあった話とも合致する部分がある気がします。


蒸し牡蠣と合わせる。
ジューシーな牡蠣のうまみを邪魔せず、スープを薄め、口の中を至福にする。
最初少し苦味が立つからイマイチな相性かなと思ったが、次からはそんなことなく個体差だったのかな?
でも、レモンがいるかいらないかは悩ましいところ。酒を中心にするとレモンは邪魔かな?牡蠣を大事にするとレモンは欲しいけど。



2日目。
昨日よりやや落ち着いたか、よりキレイさに磨きがかかった印象。研ぎ澄まされたという意味ではなくて、淡くなったというキレイさかな。


馬刺し、桜納豆と合わせる。
悪い相性ではないけれど、同時に試している会津のお酒である「風が吹く」に比べると、綺麗すぎて交じり合いが足りない印象。お酒としての完成度やクオリティは雪の茅舎のほうが高いと思うんだけど、組み合わせではあちらに軍配というのが日本酒の面白さでございますなぁ。



5日目。
酸味が出てきた。冷えの苦味と合わさって、まさにブドウの果実のよう。スマートさに磨きがかった印象。


焼き鳥。
鳥と合いそうな気配があったので試してみる。良い相性、すごい。鶏の脂の溶け込み具合が素晴らしい。

馬スジ煮込み。
味噌のコッテリとした味にも悪くない。でも今日は鶏肉との相性の方が印象的だったなぁ。



ということで、随分久しぶりの雪の茅舎でしたが、記憶の味よりも甘味が控えめでスマートでした。これが蔵の最近の姿勢なのか、新酒なのでこうなのか、今年は是非味の変化を追ってみたいなと思った次第でございます。









雪の茅舎 純米吟醸 生酒 しぼりたて新酒 25BY
株式会社齋彌酒造店
精米歩合 55%
アルコール度数 16度


印西市 酒乃なべだなさんで購入。

2013年12月29日日曜日

外飲みメモ:龍宮・十四代・杜氏潤平・白濁鶴見・園乃露@柏 やまんさん

我が家の忘年会は、ひっそりと柏のやまんさんで。


乾杯は相変わらずの龍宮のソーダ割り。そう、相変わらずなんですが、ここで飲む龍宮は美味しい。それもそのはずで、カメに移して貯蔵してるからなんです。


やまんさんで日本酒を飲むことは少ないのですが、ミーハーに十四代の新酒を。

十四代はそれほど好みじゃないんですが、だからといって飲んでないとは言いたくないので、以前かなり集中的に飲んだことがあります。そんなわけでラインナップの大部分は飲んでますって言えるのですが、まぁ誰に言うんだって話ですが、新酒は未飲でございました。

そもそも家飲み主体の僕はそんなに十四代を飲む機会もないんですね。いつ以来だろう、結構久しぶりだと思います。

軽い甘い香り。飲んでも軽い甘さだなぁ。以前よりも随分心地よい。今くらいのほうが好みです。聞けば、ここ2年くらいの変化らしい。アルコール感の立たなさっぷりがすごくて、本丸のクオリティは相変わらずものすごく高いですなぁと感服でございます。






写真を撮るのを忘れましたが、焼酎に戻ってやまんさんで新入荷した杜氏潤平を。
最近雑誌でよく見かけるので一度飲んでみたかったんです。味わいを確認するためにロックで。

甘さが強くなく、やや癖のあるコクが素晴らしいですな。めっちゃ好みです。

芋焼酎って、味わった時に甘さが先に来るせいか、その後の伸びが物足りないと感じるお酒も結構あると思うんですよ。好みのタイプは、そこでもうひと伸びあって欲しいわけでして、それはガツンと来るタイプだったり、余韻が長いタイプだったり色々なのです。これは今まで好きだなぁと思った焼酎たちとは、ちょっとこの部分が違ってて、固形物を舐めるようなそんな立ち止まるような印象がある不思議な味わいです。


お次も新たに仕入れたという一本、白濁鶴見。
無濾過で白濁してるんですよ。裏書なんか、もう挑戦的というか書き過ぎというか、予防線張りすぎ。こちらもロックで頂きます。

いやーパンチがたまらんですな。濃い甘みとガス感。

周りがみんなガスっぽいって言うからそう書いたけど、そんなに気になるほどじゃないと思うんですよね。むしろ心地よい刺激。硫黄タイプじゃないしなぁ。
味の癖は大和桜を初めて飲んだ時の印象とちょっと近い。あのお酒もガスっぽい印象があるせいでしょうか。

美味しいなぁ。でも日本一芋臭いは言い過ぎかな。あ、お湯割で飲んだらまた違う印象かなぁ。




締めには、こちらも写真を撮り忘れてますが、園乃露を。

大学時代、このお酒はフーゼル油が強くてお湯割りじゃないと臭くて飲めないって言われて、実際にストレートで味見すると、苦味や香りが強くて美味しくなかったんですよ。かれこれ、10数年前のことです。その頃よりは色々焼酎を飲んでますし、先ほどの白濁鶴見の芋臭いに続けて見ようかなという気分なのです。でもお湯割りで。

昔の印象よりも優しくて美味しい。うーん、記憶では鶴見よりも芋臭いと思ってたんですが、今日比べると圧倒的に白濁鶴見の方がパンチがあってキツイ。じんわりと粉を吹くような舌触りで、締めにまったりでございました。



料理は相変わらず美味しくて、毎度同じものばっかり頼んでしまいます。

白菜のサラダ。
白菜、超美味しい。ドレッシングも美味しいんだけど、白菜自体の美味しさにやられた一品。



焼き豚足。
今年食べた食べ物の中で上位を争う美味しさ。そして異常なまでに焼酎を欲する一品。



地魚のグリル。
やっぱり毎回頼んでしまう。今日は、上が…忘れた、下がドンコ。
どっちも美味しかったけど、好みの身質は上のやつかな。じゃあ名前を忘れるなって話ですが。



ちなみに中骨は外してもらえます。



唐揚げ。
唐揚げは別け隔てなく美味しいと思ってますので、これも美味しいに決まってるんですが、この大きさの唐揚げはなかなか食べられません。家で唐揚げを作ってても思うことなんですが、大きければ大きいほどジューシーに仕上がる反面、揚げるのが難しいわけですよ。なので巷の唐揚げとは一線を画す大きさでして、そりゃーもう美味しいに決まってるんですよ。
一口も奥さんにあげずに食べきったから、後で怒られましたけど。



そんなこんなで、今年の我が家の忘年会は満足の内に終了致しました。ごちそうさまでござる。


やまん
千葉県柏市東上町2-3
04-7163-6602

2013年12月27日金曜日

2013年冷卸の総括

新酒シーズン真っ只中ではありますが、ようやく冷卸の最後の一本を飲み終えました。年を越さない内に、2013年の冷卸を総括してみたいと思います。

今年飲んだ冷卸枠の商品は以下の13銘柄。多分ここ数年で一番少なかったと思います。
あたごのまつに始まり、あたごのまつで終わったんですね。まぁ特に意図したわけじゃないですけど。


この他にも、試飲させてもらった銘柄なら30とか40銘柄くらいは味見しています。
そうなんです、結構味見してて、その結果あんまり買わなかったというか飲まなかったんです、今年。

実は、9月半ばに開催された、そして僕は行かなかったとある冷卸の会の後に、出品酒10本のほぼすべてを利かせて貰ったんです。その時の全体を通しての印象が、薄い、弱い、だったんですね。そのために食指が動きづらかったのです。

購入して飲んでるお酒はかなりしっかり旨みが出ているモノたちなんですが、それは試飲と過去の実績から選んだ結果なのです。

これまで、冷卸と言えばコッテリ味が乗って、待った甲斐がありましたって感じる腰の座った味という印象だったのですが、年々軽くなってきてる気がします。
何でかなぁと、勝手な想像、邪推ではありますが、ちょっと考察してみたいと思います。


第一に、出荷が早くなってきたということ。

これは今年が特別ということじゃなくて、年々早くなってる気がします。8月中にはもう出始めて、9月も序盤から揃い踏み、そりゃ単純に寝かせる時間が短いんじゃないかと。

じゃあ何で早く出したいのか、やっぱり日本酒ブームのおかげもあって、需要があるんじゃないかと。もっと言えば、日本酒を受け入れてもらえる環境がある今は、季節商品を需要創出のアイテムとして使ってるんじゃないかと。夏酒も色々な蔵が出すようになり、時期も早くから出るようになりましたし。

こういう戦略自体は何も悪いことではないと思いますが、その思惑が透けて見えるというのがひとつポイントなんじゃないかと思うんですね。

そもそも昔ながらの造りの場合だと、お酒造りの飲むタイミングのイベントは、新酒、初呑み切り、冷卸の大きな3つの波があったわけです。

新酒の時期、つまりお酒を造ってる冬から春にかけては、商品として出そうと思えば色々手を打てる時期でもあります。だって造ってる最中ですもん。それに初しぼりとか新酒とか、わかりやすく手が伸びる肩書が付けられますから。

そして初呑み切り。夏酒って売り方が何時頃からあるのか知りませんけど、初呑み切りの味が夏酒のルーツのひとつじゃないかと想像しています。どうなんでしょうか。
この時期のお酒を後押ししたのは、冷酒という飲み方が広まったという背景もあると思いますが、暑くなり始める時期に爽やかに冷たく飲むという提案は、なるほど理にかなった商品展開だと思うのです。

そして冷卸。秋上がりとか夏越しとか、冷卸を含む一夏の熟成が済んだお酒なわけです。元々冷卸は外気温が下がってきた頃に出してたお酒とのことです。まぁ昨今の異常気象を考えるとそんなことも言ってられませんし、そもそも管理の仕方もサーマルタンクが一般的になったわけですし、時期は時代と共に変化するものでしょう。まぁとにかく、本来はもう少し涼しくなってからのお酒だったわけです。

そう考えると、新酒シーズンを後ろまでひっぱり、夏酒シーズンを前後に伸ばし、冷卸を前倒しにすることによって、本来の日本酒のイベントの隙間を埋めていってるんじゃないかと思うんですよね。

夏酒はまだいいですよ。せいぜい夏という文字を5月から目にするのがどうなんだってくらいのことで、味わいは固くてもフレッシュでも、ある意味夏酒としては方向性が変わらないわけです。なんせ売りは暑い時期に爽やかに飲むための商品ですから。

でも冷卸はやっぱり無理がキテると思うんですよね。残暑が始まる前からコッテリした味を飲みたいかと言われると、それはちょっとって言うかむしろ夏酒プリーズですから。じゃあコッテリさせなくてもいいんじゃね?どうせ熟成期間も短いしって感じになるんでしょうかどうなんでしょうか。それじゃあ冷卸じゃないだろと。考え過ぎかなぁ。


第二に、日本酒を飲む人たち、母集団が変化してきたということ。

僕が日本酒にハマって飲むようになってから15,6年経ちます。日本酒文化を支えてきた諸先輩方に比べればまだまだ若造ですが、それでも震災以降の日本酒ブームというのは、僕が飲み始めた頃の日本酒ブームよりも、もっと象徴的な意味を持ち、食文化の中には収まらないものである気がします。

震災で大きな被害を受けた場所には銘醸蔵が多くあったこともあり、支援の一環から始まった日本酒ブームは、今年の和食の世界遺産登録なんかも後押しして、より戦略的なものになっているのでは、と思うのです。

なにが戦略的か、売り方、見せ方、広め方ってところでしょうか。要するに、これまで日本酒に縁が無かった人達にもリーチしていくだけのネタが今は十分あるのだと、例えば雑誌類の日本酒特集なんかをみても思うわけです。
(同時に、よりマニアックな考察も並列に増えてきているとも思いますが)

そういう面から日本酒を知った人達に薦める日本酒は、必然的に飲みにくくないものが求められます。日本酒に限らず、何かに慣れてない人、始めたばかりの人には、あまり癖がなく、尖ってなく、嫌わないで欲しいという観点から薦めていくわけです。

冷卸の熟成した旨みは、間違いなく旨いものだと思いますが、コッテリとした味は時に飲みにくい、野暮ったいなどという言葉になる可能性があると思うのです。
薄い弱いと言ったって、一夏越しているのは事実です。旨みが全く乗ってないわけじゃない。じゃあゴリゴリに熟す、熟れきったバナナではなくて、万人がまぁ美味しいよねっていう程度の熟し具合を良しとしている面があるのではないでしょうか。

もちろん、その時々、時代に合わせた味を出していくことが悪いことじゃありませんから、この想像が仮に当たってたとしても、何か問題かと言えばそんなことはないわけです。ただ、それならもう一回、もっと熟成した味をもう少し秋になってから出してくれてもいいんじゃないかなぁとか思ったりするわけなのです。


第三に、気象条件がおかしいこと。

なんか毎年聞くんですよね、夏が暑すぎてお米に高温障害が出そうとか出てるとか。22BYはそれがもっとも顕著に出た年で、本当に多くの蔵のお酒が例年よりも軽いコクの少ない味になってました。

24BYのお米の出来はそこまでひどくなかったと聞いていますが、それでももっと以前よりいいお米だったのかと言うとどうなんでしょうか。

とにかく、ここ数年の夏の暑さは、これまでのお酒造りの想像の範疇を超えてるんじゃないかと心配します。高温障害による米の品質低下問題は平成18年の時点で農水省で対策を検討するくらい問題化してるわけです。

高温障害による米の品質低下は、未発達のお米が多くなるというのが主な影響のようです。お米の等級は未発達のお米を含む不良米の比率によって定義されますので、等級が高いお米の比率が低い年ほど出来が悪かったということになります。事実、平成22年の水稲うるち玄米の1等比率は、例年の80%前後と比べても、62.0%と傑出して低い数値なのです(参考:米穀の農産物検査結果(農林水産省))。

といっても、等級検査で判断される要素は細かい栄養素だったり成分というところまでではありません。酒造りにおいては具体的にどういう影響があるのでしょうか。新政酒造の佐藤さんが、昨年の9月にブログで解説してくれています。
高温障害というのは、稲がこれから実ろうとする時期に、気温が高すぎて、米の品質が下がってしまうことをいいます。高温で米がうまく育たず、割れてしまったり、夜の温度が下がらないため、米の中に栄養が貯まらず、でんぷん質に乏しいスカスカの米(乳白米)になってしまうことです。  
 つまり、でんぷんで出来ている心白がスカスカということなんですね。心白あっての酒米ですから、ここがスカスカってそりゃいいお酒が出来るわけがない、ということなのです。

そう聞くと、今までと同じ造りをしていても、仮に等級が同じだとしても、心白の力が弱いお米が多いのではないかと勘ぐってしまうわけです。

余談ですが、じゃあ冷夏のお米ならいいのかって言えば当然そんなことはなく、今度は溶けすぎるんだそうですね。


そんなわけで、何でだろうなぁって思ったことをつらつらと書いてきましたが、実際のところはどんなもんなんでしょうか。


とは言え、今年も美味しい冷卸を飲むことが出来たのもまた事実でございます。夏酒に倣って一本選ぶとすると…

生道井かなぁ。美味しかったという記憶だと澤の花と並ぶんですが、上でこれだけコッテリが足りないって文句を言ってますから、キレイな澤の花ではなくコッテリの生道井を選ぶことにします。まぁどうでもいいですが。

今年の新酒を色々と飲み始めてますが、こういう記事を書いてると、早く来年の冷卸が飲みたくなって困りモノでございます。


2013年12月25日水曜日

磐城壽 本醸造 しぼりたて生 25BY

新酒シーズンを告げる大事な一本となっています、磐城壽のしぼりたて生。今年も目出度く頂くことが出来ました。

以前の記事:
磐城壽 本醸造 しぼりたて生 24BY


冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。
ボシュっという発泡感のある心地良い音が響きます。

爽やか木樽のような香り、蒼いというよりは芳ばしい風情。

口に含むと、意外と発泡感はない。開けた時の予想とは違うんですね。
舌に載せればなめらかとろりと甘さがくる。オリから発せられるのは、爽やかなお米の味。オリの量、バランスがとても良いのだと思うんですよね、この爽やかさとお米の味が調和する様は。

含み香は、華やかなブドウ。余韻はほどほど、切れ味が良いというよりは優しくじんわりと残るけど、長いというほど引っ張りはしない。

全体の印象は、去年よりは優しい、解ける、といった感じ。キリッとした感じは少な目で、アルコール感も立たない。



2日目。
爽やかさは初日ほどではなく、早々に影を潜めたが、代わってより一層のオリの優しさが楽しめる。

舌の上で軽くふわりと、淡く甘みを振りまく。甘みや旨みは磐城壽だなぁという味だけど、輪郭が異なるのはこの時期ならではだなぁと。いやそうでもないか、標葉にごりなんかは、もっと濃くてふっくらだけど、解ける輪郭の印象は近いから、これはオリを絡めた時のこの蔵の特徴なんですね。

濁り酒とかおりがらみならどんなお酒もそうなるかと言えばそんなことはなく、単に甘さが強くなるだけだったり、ぼてっとして腰が重くなるのもいっぱいあるわけです。やはりこの味を演出できるということは、ちゃんと蔵が目指す味があって、そこに向かうことが出来る技術なんだなぁとしみじみ。



早飲みが良いことは判ってますが、だからって2日でなくなるともっと飲みたかったと思うわけです。でもまぁ今年の磐城壽も美味しいことがよく判りましたから、また今年1年宜しくお願い致しますということなのです。







このお酒は昨年もいわき市の酒のいとうさんで購入しております。
購入したときは写真のような状態。こちらのお店では、状態管理のために全て新聞巻きをされてるんですね。そしてちゃんとお店独自で味の説明も書かれて貼っています。すごいですねぇ、全量この処理をされるんですね。

飲み手としてはこれほど安心なことはないのですが、唯一、そしてかなり重要な一点がだめなんですよね。そう、外観が見えないこと。
せめて写真でもいいから、なんなら空瓶でもいいから置いてて欲しいなぁ。やっぱり目が合うというか、その装いでピンと来るということもあるんと思うんですよ、お酒だって。そのために各蔵がコンセプトをデザインに落とし込んだりするわけですし。

あと、濁りやおりがらみなんかは、その量も重要なポイントなんですよね。それも見えないしなぁ。

新聞巻きは一長一短な気もするのですが、短い方は工夫次第で改善出来るんですからなんとかしてくれないかなぁと思った次第なのです。






磐城壽 本醸造 しぼりたて生 25BY
株式会社鈴木酒造店
精米歩合 65%

いわき市 酒のいとうさんで購入。

2013年12月23日月曜日

あたごのまつ 限定純米吟醸 冷卸 24BY

2013年の冷卸第13弾は今年最後の冷卸。事情が有ってずーっと引っ張ってしまった、あたごのまつの純米吟醸です。

元々は単にお酒の消費が追いつかずに取り置きのまま時が流れてたんですが、とうとうあたごのまつの新酒が出ちゃったんですね。それならそれで飲み比べをするかって思ってたのですが、そうすると今度は冷蔵庫に一升瓶2本分のスペースが要るとなって、やっぱりなかなか引き取れないと。さすがに年を越すわけにはいきませんし、年末年始はそれはそれで別のお酒の取り置きも増えていきます。

ということで、この子は結局単品でお引取りとなったわけです。それならそれでとっとと飲んどけって話なのであります。えぇ、飲み時期を逸したのは否めませんが、はてさて。


涼冷え程度で開栓、キンキンに冷やしてはいません。

抜栓と同時に漂う乳酸の香り。鼻を近づけて嗅ぐと酸っぱい風情。寝かしすぎたかとビビる。まぁ寝かせすぎてるんですけど。

口に含むとコッテリとした熟々の旨み。酸味は旨みへと昇華しており、いつものあたごのまつとはまた違った味わいです。濃いというか古いというか。

特に含み香には古式ゆかしい昔のタイプの香りがあり、やはりいつもとは違うと再確認させられます。明らかに寝かし過ぎなんだけど、どうしてどうして、これかまた異常に旨い。
酸味はヨーグルト味へとまとまり、幾分の果物のような甘み。何だろうなぁ、ほんのり奥に潜む。
伯楽星で感じるような嫌な感じはなくて、ただただしっとりと熟した旨さ。柔らかくなるまで置いた柿なんかが浮かびます。まぁそんな柿は好きじゃないんですが。

少し飲み続けると、古めかしさはどこへやら、ひたすらに旨みが攻めてくる。美味いなぁ。



4日目。
やや苦味があるが、それを上回る旨み。濃厚ながらも品の良い、くどいとか臭いとかの言葉とは全く無縁の懐かしくて旨い乳酸。

こういう濃さが出てくると、甘さに頼らない味の真骨頂がよくわかるですな。甘いとは感じず、だからと言ってよくある辛口的な言葉とも縁のない、唯一の味でございます。



6日目。
ここに来て古さに感じる乳酸も、周囲に纏うホコリが落ちたかのようなキレイさに。ほろっとした感じが薄らぎ、つるりとした舌触りになった。こういう変化は珍しい。



新澤さんのお酒を1年を通して飲んできましたが、24BYに関してはずっとあたごのまつが伯楽星っぽいし、伯楽星が味のりがよいと感じてきました。これだけ飲み頃を過ぎてしまってるので本当のところはわからないのですが、それでもようやく(伯楽星に対して)旨みたっぷりのあたごのまつを楽しめた気がします。






あたごのまつ 限定純米吟醸 冷卸 24BY
株式会社新澤醸造店
精米歩合 55%
アルコール度数 16度


取手市 中村酒店さんで購入。

2013年12月21日土曜日

鶴齢 純米酒 雪男 活性にごり 25BY

去年リピートしないとか言っておきながら、やっぱり気になるから今年も飲みました、鶴齢のゆきおとこ。

以前の記事:
鶴齢 純米酒 雪男 活性にごり 24BY


見た目は昨年よりもにごりが少なく見えます。そのせいか、今年は昨年以上にさらさらの印象。
淡い甘みも控えめで、つるりと喉に落ちる。微発泡というか、もう少しは発泡感があるというか、ぴちぴちに対する味としては今年の方が潔くて合ってるかもしれません。

物足りないというよりも、軽さに焦点を合わせた様は、「3月のライオン」ならスミスくんでしょうか。去年は後藤さん負けたってところで。


ローストビーフ。
今回の肉は徹底した赤身なので、お酒と合わせても脂を流すという感じは必要ないんだけど、繊維に染み入るとわかりやすく浮かび上がるキリッとした旨味は、これはこれでなかなかの相性。
パサパサになりがちな赤身には、こいう微発泡感はよいですなぁ。まぁパサパサじゃない出来でしたけど。

そんなわけで、昨年と違うこの軽くてさっぱりは、食中にクイクイ進む一本でございました。






鶴齢 純米酒 雪男 活性にごり 25BY
青木酒造株式会社
精米歩合 60%
アルコール度数 11度


取手市 中村酒店さんで購入。

2013年12月19日木曜日

相模灘 特別本醸造 美山錦 槽場詰め活性にごり 無濾過生原酒 25BY

今年も濁りの季節がやってまいりました。相模灘のにごりです。

以前の記事:
相模灘 本醸造 にごり酒 活性生酒 24BY


昨年は本醸造だったのですが、今年は特別本醸造で槽場詰め。グレード上がっております。楽しみです。

穴あき栓なので吹き出る心配はありませんが、それでもよーく冷やしてから開栓。ボシュっとなり、泡が湧き出るくらいは発泡しています。

去年のにごりの量を覚えてないんですが、やや増えた気がします。そして何よりにごり成分が濃くしっかりしています。なかなか溶けきらず、結構な塊のままグラスに注がれます。

弾ける香りはいつもの相模灘より華やか。

口に含むと軽めの発泡、コッテリのにごり、結果的に重たくならない。

そして多分、去年よりも一層キレがいい。あの塊のにごりからは想像出来なくらい、軽快に飲み進められるし、後味がさっぱりしている。それは数字の上でも確かで、去年の日本酒度は-3だけど、今年は+4。これだけ濁ってて甘さがたっぷりでも+4ですか。

やっぱり食中に飲める発泡にごりです。もちろん食前酒としても使えるんでしょうけど、いつもの相模灘の佇まいはブレずに存在していますから、やっぱり食事と合わせたい。


白菜と豚肉の重ね鍋。
あれですよ、小栗旬さんがCMで作ってるやつ。まぁ我が家では味の素どころか一切の味付けをしませんけど。食べるときに柚子胡椒をちょっと。
そんな白菜の甘さ前回のさっぱり鍋には、にごり成分が良い具合にコクを足してくれているかのよう。お酒を飲むというよりも調味料に近い感覚ですってのは言い過ぎでしょうか。


ということで、今年も美味しく頂きました。昨年よりもスペックが上がり、おそらくにごりも増してリッチさ増量なのに、サクサクと飲み進められる完成度はさすがでございます。今年の相模灘も楽しみなのです。






相模灘 特別本醸造 美山錦 槽場詰め活性にごり 無濾過生原酒 25BY
久保田酒造株式会社
精米歩合 美山錦 60%
酸度 1.4
日本酒度 +4
アルコール度数 16度以上17度未満

取手市 中村酒店で購入。

2013年12月17日火曜日

美丈夫 吟醸 麗 24BY

美丈夫の麗と言えば、我が家では発泡うすにごりの定番酒。最近は人気のせいですぐに売り切れてしまって、昔ほどじゃぶじゃぶ飲めてないんです。

なのですが、実は通年商品の発泡じゃない麗を飲むのは初めてございます。いや、随分昔に飲んでる気もしますが、正確に覚えてない時点で初めましてと思っても差し支えはないでしょう。


冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

爽やか、落ち着いた香り。発泡しててもしてなくても、この品の良い香りは共通してすうっと立ち昇ります。

口に含むと、瑞々しいとは正にこのこと。柑橘だなぁ。ほんのりの酸味、後味は辛味でも苦味でもなく、端正にスパッとキレて、喉に落とした事実だけが余韻として残る。
舌にはほんのりのと米の味とじんわりとした感触が残り、ついつい次の一口を誘うのです。


牡蠣の天ぷら。
牡蠣のジューシーな旨みが柑橘の香りとよく交じる。油はサラリと流れ、搾ったレモンの酸味に重なる美丈夫の酸味。心地よい。レモンを搾ってるせいもあってマリアージュ的な感じじゃないけど、それでも上手に寄り添う松山三井の地味な優等生っぷりです。

タコ天。
小さめとはいえ鹿島ダコ。濃い味わいの繊維に染み入る美丈夫。良い意味で旨みが強すぎない酒質が心地よい相性。


温度が上がっても寒露と言うに相応しい佇まいのまま。むしろ温度の低さによる苦味が消え美しさ似磨きがかかる。美味いなぁ、素晴らしいなぁ。

でも美丈夫は早飲みの酒質。翌日どうだろうなぁ。



2日目。
予想通り、昨日の清廉な佇まいは消え、やや周囲が解けた舌触り。
決してまずくなったわけじゃないけど、昨日の印象からは格が落ちる。澄んで綺麗な酒質のせいで、その緩さは物足りなさというか、締りのない印象にも感じる。

初日を飲んでなければなんの問題もなく淡く綺麗な美味しさと言えるんだけどなぁ。



3日目。
2日目からの変化は少ない、というかわからない。やや甘味が増したかもしれないし、甘味というよりは柑橘の爽やかさが減った分、メロンのような瓜系の味わいが強くなったということかも。



愛する美丈夫の麗は、発泡の有無に依らず美しい佇まいでございました。

夏酒で感じた早飲みな酒質はやっぱりそうなんですが、夏酒ほど味が抜けたという感じはせず、爽やかさじゃない別の美味しさに変わったと言ってもいいんじゃないでしょうか。

純米信奉者の人にモノ申すわけじゃないですが、この佇まいはアル添の技だと思うんですよね。このお酒でもダメっていうのかなぁ。





美丈夫 吟醸 麗 24BY
有限会社濱川商店
精米歩合 松山三井 55%
アルコール度数 15度以上16度未満


取手市 中村酒店さんで購入。

2013年12月15日日曜日

武勇 本醸造 しぼりたて生 樽酒 25BY

毎年恒例の中村酒店さんの武勇樽酒。これを飲まねば1年が終わりません。
瓶詰めをした翌日に購入でございます。

以前の記事:
武勇 本醸造 しぼりたて生 樽酒 24BY


冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

じんわりと木樽の香りが立ち上ってきます。鼻を近づけなくても横たわる木の湿った香りは、ワケもなくおめでたい気分になります。

味は、去年のような辛さがなく、整ったツルツルタイプ。
去年の記事ではプリっと若々しいと書いてますが、それは辛さの印象でもありました。えぇ、お店で話してて思い出しました。というか、奥さんがそう言ってて、あぁそうだったかと。

含み香で味わう樽香のノリも適度で、米と木の味の重なりが楽しめます。武勇のような濃さがあるお酒だと、樽香に負けることなくちゃんとお酒と木樽の組み合わさった味が楽しめるからよいですなぁ。

それでも、もう少し味のりのある武勇のほうがより美味しいかなぁと思ってしまうのは、過去に数年前のこの樽酒が激ウマだったせいですな。

温度が上がるとやや苦味が残るようになる。これは樽酒特有の感じで、美味しくないということじゃなくて、普段と違う印象が舌を刺激するのです。



5日目。
うーん、結構軽くなったなぁ。思ったよりも早飲みなんでしょうか。武勇だからそんな気も無かったんですけどねぇ。

美味しいけど、ちょっと物足りなくなっちゃったなぁ。さっさと飲み切ってしまえば良かったと、ちょっと後悔。



なんだかんだ言っても、今年の樽酒も美味しく頂きました。
特に初日のバランスはとても良く、若々しさとおめでたさが満ち溢れています。

毎年思いますけど、正月用に取っておきたいんですよね。でも今回のように時間が経つとちょっと軽くなるのであれば、早々に飲み切ってしまいたいわけですし、うーん、悩ましい。

そうだ、年末にもう一樽作ればいいんじゃね?とか、勝手なことを言っておきます。






武勇 本醸造 しぼりたて生 樽酒 25BY
株式会社武勇
精米歩合 五百万石 65%
アルコール度数 15度

取手市 中村酒店さんで購入。

2013年12月13日金曜日

豊醇無盡たかちよ 扁平精米 無調整生原酒 24BY

先日の初めてのたかちよがなかなか美味しかったので、通年商品にも手を出してみます。


冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。

甘い濃厚な香り。うーん、これはなかなかコッテリとしてそうです。

口に含むとジュワッとする舌触り、その次にはトロリと濃厚な甘さが口一杯に広がる。
甘さは上品ながらも爽やかな桃、木樽香もほんのり。奥さんは木樽が強いと。

いやぁ、旨いんだけど、甘さが濃厚すぎて、これは一体何と合わせたらいいんだろうか。
というか旨すぎて甘すぎて、チョットバランスがどうなんだろうか。

この辺りは、生原酒のままの一夏越えですから、当初の感じからは随分と味のりしたんだと思います。ここまでになるのは想定の範囲内なのか、ちょっと行き過ぎちゃったのか、どうなんでしょうかね。



3日目。
まぁ少し軽くなったかな。まだ旨すぎる。旨いから文句は言えないんだけど、やっぱり食中には向かないから何時飲むのが正解なんだろうかと。まぁ食前酒向きですかね。

チョコ感のようなビターさが見え隠れするようになり、本質的には好きな味なんだけどなぁ。でもやっぱりちょっと甘いなぁ。



5日目。
かなり削ぎ落とされた。甘みが落ち着き、旨みも適度になってきた。空気に触れて主張が穏やかになったということなのでしょうか。

エアレーターは空気に触れさせて味を開かせるためのものという印象なのですが、こういうタイプの場合は、エアレーターを通すことで落ち着いたりするのでしょうか。
次回たかちよを買った時に同じ印象を持ったら、これは試してみたいものです。



10日目。
甘さは一段落、代わりに熟成感のような芳ばしさがわかりやすく出てくる。奥さんは亀齢の八九を思い出すって言ってたけど、さすがにそれは良く言い過ぎな気がしますが、いずれにしてもコッテリしっかりの甘さを楽しむという前提なら、これはなかなか他にはない味でございますなぁと。


それにしても迫力のある味でした。全体的な印象がどうしてもちょっとキツ過ぎという感覚が残るのですが、そもそものコンセプトからすれば正しいんでしょう、きっと。今後も、もう少し掘り下げたいお酒です。









豊醇無盡たかちよ 扁平精米 無調整生原酒 24BY
高千代酒造株式会社
アルコール度数 16度


印西市 酒乃なべだなさんで購入。