我が家で大吟醸はめったに飲まないのですが、時に到来物があったりします。東豊國の大吟醸 幻です。
東豊國を醸す豊国酒造さんは、福島県は石川郡という、いわき市と郡山市に挟まれた山間にある蔵元です。
昨年飲んだ豊久仁を醸す会津坂下の蔵元さんも豊国酒造さんで、どちらも合資会社。完全に社名が同じなのですが、場所は結構離れてます。屋号というか商号って、どの程度の重複が許されてるのかなぁとか思ったりしますけど、あんまり制限がキツイとサトウさんとか困っちゃいますしねぇとかどうでもいいですが。
さて今回の豊国酒造さん、最近は名代の銘柄である東豊國よりも一己歩のほうが有名かもしれません。ちょくちょくお世話になってる酒屋さんでも一己歩を取り扱ってらっしゃいますが、掛け違ってというかタイミングが合わずに未だ未飲。先に名代の銘柄を頂くことになりました。
冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓。
爽やかフルーティーな香り。強く立ち上ることはなく、穏やかで美しく揺蕩う。
アタックは物足りないほどの緩やかさ。舌の上では大吟醸らしい味わい、甘みと綺麗な吟醸香。舌で転がすと、滑らかで膜を張ったような舌触りが最初に来て、後から少し辛味がアクセント。そのキリッとした印象のまま、心地良く喉に落ちていく。喉越しは引っかかるところなくつるりと。舌で感じる膜は喉ではミルキーな印象で、余韻は短く淡い。
温度が上がるにつれて舌に広がる米のコク。でも古めかしくなりすぎる前にフッと消えていくような印象は、大吟醸クオリティでございます。
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6日目。
変わらない。穏やかさもミルキー感もそのまま。上質です。
豚しゃぶ。
肉の脂に合う。こういう大吟醸は、美味しくてもどこか食事を受け入れない、単体で完成することを狙った味に感じるのですが、吟醸香が穏やかなので意外と食中でも美味しく頂けました。
面白かったのが、食事と合わせると吟醸香が分かりやすくなる点。柔らかい華やかさが浮き上がってきます。
…
ということで、大吟醸でもいつもと変わらない普段の食事の中で飲んできました。
振り返ると、全体的にはやや古いタイプの美味しい大吟醸だったという印象でしょうか。荒々しさや若々しさなんて言葉とは無縁な、老成した、きっちりと狙った味を定めたという感じを強く受けます。
穏やかで品のある旨みは、口悪く言えばやや薄い、水っぽいと感じ瞬間も。一方で、旨みや甘みを前面に出さないことで、舌触りから喉越しまで一貫してスマート、穏やか、大吟醸というクオリティをこの蔵がどう捉えているのかがよく判る味とも言えます。
東豊國 大吟醸 幻
豊国酒造合資会社
精米歩合 山田錦 40%
アルコール度数 15度以上16度未満
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