初めての銘柄、福島の「風が吹く」です。酒乃なべだなさんにお邪魔する度に気になってましたが、ようやく我が家の買いたいお酒リストで順番が廻ってきました。
白井酒造店さん、すいません、まったく存じておりません。6月の日本酒フェアでも、福島のブースだけは行かなかったからなぁ。
風が吹くは、白井酒造店さんの生酒のブランドなんですね。火入れは萬代芳というブランドになるそうです。そして五百万石の使い手ですか。これは末永くお付き合いしたいものです。拙者、五百万石が大好物ですから。
冷蔵庫から出しての冷や冷やで開栓です。
少し甘く、でも艶がある果実感のある香りが横たわる。
口に含むとやや苦味とピリリとした感じが先に立ち、後から旨味が追いかけてくる。甘さは香りの印象より控えめで、旨味も伸びきらないまま解けて消える。
五百万石らしいフラットな旨味が含み香にあり、端正なまま短い余韻となる。
もう一伸び旨味が欲しいなと思いつつ、これはまだ冷えてるからかな。
温度が上がると舌の上での旨味は増し、苦味や乳酸などが幾重にも重なる。五百万石だなぁとよく分かるフラットな旨味が充実する。後味、含み香がやや物足りないと思うのは変わらないが、飲み進めるに連れてこのバランスが非常によく感じる。疲れず、飽きず、絶妙のバランスだったなぁと、つい杯を重ねてしまう良酒。
しかしこれが山廃かぁ。この舌の上の旨味の重なりは山廃由来なんだけど、山廃のあの太さを期待する人には物足りないだろうな。一方で、単に綺麗な甘みに依拠する味ではないこの旨味は、山廃のおかげで生まれているだろうなと。新しい山廃だ、うん。
馬刺し、桜納豆。
福島の馬刺しには福島の酒。どちらも会津。なめらかな馬の身質に染み入り、臭いわけじゃないけど、馬の血を洗い交じり合う心地よい相性。この組み合わせを食べて思うけど、これは魚じゃなくて、でも脂じゃない肉がいいなと。肉、山菜、川魚。そんな印象。
…
2日目。
ナッツのような、少しオイル感のある香り。口に含むと軽いカカオのようなほろ苦さ。
温度が低いこともあって、旨みが足りず膨らみも足りず。でも悪い印象はなく、こんなに旨みを振り回さないのなら、別の米でも飲んでみたいとも思う。亀の尾とかいいかもとか。まぁ単に好きなお米なだけですが。
温度が上がって来れば、昨日と同じくらいまで旨みが戻ってくる。やや酸味が強くなったかな?
…
6日目。敢えてちょっと時間をおいてみた。
樽香のようなかおり。雑味が無く、凛とした佇まい、軽い辛味、濃くても切れよく、これは日持ちもいいし良いお酒だなぁ。
…
ということで、初めての銘柄である風が吹くを1週間ほどかけて飲んでみました。
若干後味に感じる苦味を雑味という人もいるかもしれないですが、個人的には美しく仕上げたお酒に一滴墨を落とすようなアクセントで好印象でした。
旨くし過ぎないでバランスを保っている姿は、甘味主体の旨口が多いと感じる福島のお酒の中では奥ゆかしいのではと思った次第です。
あと、山廃らしくないようで、その気配をひっそりと滲ませるのは、ここ最近の新しい生酛山廃のスタイルなんでしょうか。字面ほどの厳しさがない、スマート山廃です。いやまぁ山廃って字面に厳しさを感じるのは僕だけでしょうかどうでしょうか。
また別のスペックも飲んでみたいなぁと思う良酒でございました。
風が吹く 純米 山廃 生酒 しずく採り 24BY
合資会社白井酒造店
精米歩合 五百万石 55%
酸度 1.8
日本酒度 +3
アルコール度数 16度
印西市 酒乃なべだなさんで購入。
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