2013年8月31日土曜日

2013年夏酒の総括

朝、外に出ると、めっきり秋めいた風情が漂うようになりました。8月も末日、2013年の夏もそろそろ終わりでございます。

まぁ残暑は残ってますけど。デブには辛いですけど。


ともあれ、今年の夏も色々と夏酒を楽しませて頂きました。店頭にはひやおろしが並び始めました時期ですので、そろそろ今年の夏酒について一度総括なぞしてみようかと思います。

今年飲んだ夏酒は以下の15銘柄。もっと飲んでるかと思いきや、まぁこんなもんですか。まぁ基本が一升瓶買いの家飲みですからねぇ。


去年まで、その年の夏酒についてちゃんとまとめたわけじゃないですので、うろ覚えの点も多々ありそうですが…

今年は例年に比較して大人しいと言いますか、悪い意味じゃないですけど水っぽい感じだった気がします。辛味とか、夏酒ならではの切れる濃い味みたいなのは抑え気味で、さっぱりするすると飲めるタイプ、という印象なわけです。

夏に飲む味、という意味ではひとつの方向性なんだと思いますが、その結果として味の日持ちが悪い、味の変化がいい方向には伸びにくいという側面もあったんじゃないかと。

とは言えすべてがそんなタイプだったわけではなく、ムース状の濁り酒の磐城壽、夏の生酛の麓井なんかは、違ったアプローチの夏酒でございました。

もう一つの特徴は、低アルコールの日本酒が増えてきたこと。購入して飲んだのは奥能登の白菊の寧音だけですが、他にも何種類か酒販店で見た気がします。
今になって思えば、もう少し試してもよかったかなと思いますので、来年はもう少し考えてみましょう。


順位付けをすることにあんまり意味はありませんけど、1本だけ今年飲んだ夏酒から選ぶとすれば…

麓井でしょうかねぇ。毎年楽しみにしていますから贔屓目な気もしますけど、頭ひとつオリジナリティがある夏の味ということでございました。

ちなみに昨年の1本は開運の涼々。今年も美味しかったけど、連覇するには更なる印象付けが必要になるわけでして、来年の麓井もハードルを上げて飲むことになりそうです。


2013年8月29日木曜日

来福 純米吟醸 山田穂 24BY

先日蔵にお邪魔した際に、試飲をさせて頂いたんですね。えぇ運転手の僕以外の皆さんは。
そんな酒友達の推薦コメントが満載だった一本が、この山田穂でございます。

山田穂のお酒は、飲んだことあるはずだけど随分昔のこと。
正直、銘柄すら覚えてません。瓶で買ったのか、試飲会とかだったのか、それすら不明。でも少なくとも一度は飲んだことあるはず。まぁ覚えてないならどうでもいい話ですが。

山田穂は酒米の王者である山田錦の母親ですので、なんとなく山田錦のような味を想像しておりました。はてさて、実際にはどうなんでしょうか。



四合瓶を4人で飲んだので、あんまりじっくり味を見れませんでした。酔っ払ってましたし。

その時のメモを見ると、「ドライな味。切れてうまい。ワイルドさもあり。」とだけ。
えぇ、もうちょっとなんかあるやろと、当時の自分を苛め抜きたいものですが、落ち着いて記憶をたどってみます。

確かに、飲んだ瞬間、山田錦らしいふくよかな感じとか甘みというよりも、ジュッと旨みが立ったあとスッキリと消える印象が残っています。

渡船のお酒も何種類か飲んだことありますが、共通して思うのは糖質を感じるような優雅な甘み。山田錦の甘さやホロホロとした口どけなんかは、渡船由来だったということなんでしょうか。

来福酒造さんらしい旨みの乗せ方のおかげなのか、甘みというよりジューシーな旨みがあり満足度の高い旨口でございます。でも妙に切れの良い後味で、食中にも向いた一本だった印象です。

もう一度ちゃんと味わわねばいけませんなぁ。



来福 純米吟醸 山田穂 24BY
来福酒造株式会社
精米歩合 山田穂 50%
酸度 1.4
日本酒度 +5
アルコール度数 16度


茨城県筑西市 来福酒造さんで購入。

2013年8月27日火曜日

八千代伝 白、前割を楽しむ

前回の八千代伝 白の感想から、前割を仕込んでおきました。
大和桜ヒカリを前割したときの経験と好みから、今回は初めから6:4で割っておきます。


さて一週間。冷蔵庫からだしての冷や冷やでございます。

温度が低いから香りは抑えめ。それでも大きめのグラスに置けばじわっと溜まる芋の粉を吹く香り。甘さはさほど感じない。

柔らかなアタック。完全にほどけた。実は2日目に濃さが大丈夫かちょっと味見したんですけど、明らかにここまでなめらかじゃなかった。蔵元の健太郎さんが、1週間くらいすると違いがよくわかるよって仰ってたんですが、正に言葉通りでございました。

爽やかな甘み。強く主張しない。なんだろうなー、なんかの果物に似てるんよなー。そんなに甘さを主張しないあれですよって、奥さんにも聞いたんだけど、結局判らず終い。なんだろうなー、こういう時って、舌のボキャブラリーが少ないと例えるのが難しいなぁ。

それにしても、焼酎じゃない別の飲み物のような印象。



そして驚くことに、この状態からほんの少し温度が上がると、素晴らしい芋の香り立ち上がる。

口に含めばもちろん上質芋焼酎。舌で優しい甘みを味わい、喉に落とすと残り香がブワッと濃厚に残る。

印象は非常に爽やかな水割なんだけど、味も香りもしっかり残るから満足度も高い。
それにしても、気を抜くとその軽さ故についついクイクイ飲んでしまう。危ない酒でございます。


しかし随分昔に書いて放置してありました。今の季節にやるとまた違うかなぁ。



八千代伝 白
八千代伝酒造株式会社


つくば市 スドウ酒店さんで購入。

2013年8月25日日曜日

龍宮 美山錦 2012

2012年2月、初めて富田酒造場を訪ねました。初めてって書いてますけど、まぁまだ2回目はないんですけどね。

その際、今年は酒造好適米、美山錦で仕込んだんですよと教えてもらいました。それはどんな風になるか楽しみデスねぇってお話しつつ1年半経過。

そして先日、赤坂のまるしげ夢葉家さんでお会いした際に、この夏に出しますよっとのこと。
うぉっふる!今夏最大のイベントがやってきます。

ということで、めでたく購入。早速味見をしてみます。


ストレート。
泡盛のような、青く米の香りが立ち上がる。黒糖の風情はまだない。
口にふくむと、広がる米の香り、そして次に静かに爆発する黒糖の香り。雑味がなく、お米と黒糖それぞれの香りが存分に鼻に抜ける。
舌触りというか唇触りが決定的に違う。シルキーと言ってしまうのは簡単だが、なんとも粒子が細かい。舌に乗ったあとから黒糖を今なめたかのような存在感で風味が立ち上がる。でも濃くはない、いや、濃くないというと薄いのかとなるけど、薄くはなくてほっそりとして艷やかな印象。形容しがたいなぁ、この存在感は。

30度龍宮と飲み比べる。
いつもの龍宮の渾然一体となったパンチとは異なり、やはり細面のスラリとした印象。
そのサラリとした佇まいが故に、辛味もシャープに主張し、軽やかに消える、そして最後に口に馴染む。
なんだろうなぁ、突き抜けるというか、こう、引っかかるところがなく進んで行ってしまうんですよ。悩ましい、艶かしい。

いつもの龍宮に雑味があると感じたことはないんだけど、でもあのやんちゃな感じを経験した大人な女性の佇まいといった感じしょうかね。

青い味。だから瓶も緑にしたのかなぁ。


ロック。7回半。
ストレートから辛味が消え、米と黒糖が混じり合う一つの甘さになる。普段の黒糖の甘味とは違う甘さは、美山錦由来の味なんですね。
つるつるで、つい飲み過ぎる。クイッといってしまう。冷えと相まって美しすぎる舌触り。


常温水割り、5:5。
穏やか。マイルド。穏やかすぎるかもしれない。もう少し足すか、冷やすか。

常温水割り、6:4。
いやぁ、甘みの立ち方が素晴らしい。そしていつもの龍宮より優しい。

黒糖の風味が隠れるくらい、お米の青い香りが特徴的。
そこが融和しきってないような、ちょっとお互いをけん制するような香りに感じる。
後味を、意地汚く口の中で反芻すると、黒糖の粉が舞っているような気配。

氷を落とした水割り。
冷えると一気に交じり合う2つの甘味、香り。いやぁ、冷やして飲むといいと生みの親が言うだけのことはあります。ロックの時もそうだったけど、冷えによって落ち着く味ですなぁ。
ますますお湯割りだとどうなるのかが気になる。


炭酸割り。
いやぁ、まいった。なんでしょうか、この美味さ。ちょっと濃い目に作ったら、魅惑の香りを炭酸のお陰で振りまくことこの上ありません。青い、そして炭酸と混じって黄色い味がぽんと弾けるようなアタック。何言ってんだこれ。


お湯割り。5:5。
美味い。いやぁ、香る香る。甘みが沸き立つ。舌では、よりお米の味がわかる。ここでも、お米の香りが強く黒糖感が少ない。ブラインドで飲んだら、いも焼酎と間違えるくらい穏やかな甘み、味。黒糖の風情は一番影を潜めたかもしれない。


一貫してお米の味を強く感じることから、泡盛を飲んでるのかなって錯覚する不思議な風情なのですが、時折フッと香る黒糖の甘みが黒糖焼酎らしさをはんなりと出してくるから一層面白い。
奥さん曰く、普段の龍宮を男酒というなら、これは女酒だねぇという話でして、蔵元もエレガントな女性でしょと。

黒糖焼酎は優しい甘みが一番の特徴として出るんですが、龍宮はその中でもパンチがあるやんちゃな味。そのパンチが形を変え、黒糖とお米の融和する味は、またこれまでとは違った黒糖焼酎の姿を垣間見た気がします。

そして夏に出荷、爽やかグリーンの瓶、そして炭酸とベストマッチということから、個人的には夏の龍宮という印象を強く残した次第でございます。







ちなみにアテは中華街の2品。
優味彩さんの夫妻肺片。



金陵さんのモツ。



日本酒にも合わせる愛する品々なんですが、龍宮との相性もとてもよかったです。
特に、夫妻肺片は辛すぎて香りを消すかなとか思ってましたが、口中の火照りを冷ますというか流す爽やかさとスマートさが、返って色濃くでるという相性でして。


龍宮 美山錦 2013
有限会社富田酒造場


横浜君嶋屋さんで購入。

2013年8月23日金曜日

磯自慢・来福・鳳凰美田、愛山を飲み比べる

酒飲み友達と贅沢な飲み比べをしてしまいました。主賓が好きなタイプを買いあさったら、自然と愛山の大吟醸・吟醸クラスが3本も集まる珍しい状況。これはなかなかない機会ということで飲み比べです。

余談ですが、愛山は値段的にも味わい的にも吟醸造りのお酒ばかり目にしますが、一度だけ鍋島の純米の愛山を見たことがあります。えぇ、空き瓶ですけど。吟醸香を香らせない愛山、どんな感じなんでしょうかねぇ。

ちなみに一緒に写ってる他のは、来福の山田穂、鳳凰美田のWine Cell。これらも素晴らしかったので、また別途ポストしなければいけんとですよ。



スタートは磯自慢。おそらく一番繊細な味であろうという予想から。
細く爽やかな香り。口に含むと上品なメロン。ジワッと広がる旨味がふわりと消える。余韻は短く儚げ。米の旨みを上品な香りと甘みに昇華させ、ある意味米由来の味わいが存在しないかのような透明感。美しすぎるなんとやらって言い回しは色々ありますが、このお酒にこそ、そう言いたいものでございます。





次は来福。味わい強く来福味の主張はあるものの、香りは美田ほど強くないからという理由で2番目。
香りよりも濃厚な甘みが印象的。愛山にしてはぽてっとした甘み。この辺りは来福さんのつまみが要らないお酒的な特徴がよく出ています。そんな印象で始まってもキレよくツルッといくのは、やはり来福らしさの切れ味と、愛山の淡さによるものでしょうか。



最後は鳳凰美田。これまで最も飲んだ回数が多い愛山ですし、美田香は愛山でも健在ですから最後にします。
安心と信頼の美田。美田らしい香りの奥に、愛山の甘みが佇んでおります。ブワッと華やかな立香も愛山の甘さと同じように淡く消えていきます。



同じ酒米でもここまで味が変わるんだ、そしてここまで違っても同じ酒米はこうなるんだ、ということがよくわかる組合せでした。ここまで明確に飲み比べを意図して選んだわけじゃないんですけどね。

繊細で上品な磯自慢、ふくよかで濃厚な来福、華やかで優美な鳳凰美田、いやぁ贅沢の極みでございます。


磯自慢 大吟醸 愛山 24BY
磯自慢酒造株式会社
精米歩合 愛山 50%
アルコール度数 16%以上17%未満


来福 純米大吟醸 愛山 24BY
来福酒造株式会社
精米歩合 愛山 40%
酸度 1.2
日本酒度 +2
アルコール度数 16度


鳳凰美田 純米吟醸 無濾過本生 Black Phoenix 24BY
小林酒造株式会社
精米歩合 愛山 55%
アルコール度数 16%以上17%未満

2013年8月21日水曜日

岩牡蠣と龍宮のかめ仕込、2013夏

以前、Facebookで富田さんが、「生牡蠣に、龍宮かめさんを垂らすのもお薦めしたい。」と書いているのを読んで、やらねばいけんと思ってたんですよ。

そして今は夏。岩牡蠣の季節。那珂湊で大ぶりのものを購入。珍しく手こずることなく開けられました。


その文章は、かめ仕込の25度の話だったんですけど、いいですよね、40度でも。
トロリと岩牡蠣に垂らし、がぶりと。

食べたことのない味が口に広がります。岩牡蠣の甘みと海水の塩気、そこにかめ仕込由来の甘みと辛味、そして溶け込む牡蠣エキス。
牡蠣味が増幅されるのか、旨みがガンと鼻に抜けるですよ。モフーって感じになる。

グビリと龍宮モヒートで流すと、ほんのり海の香りを残す。そして喉で感じる再びの旨み。

牡蠣の持つ海の香りが、かめ仕込の持つ塩の香りと重なると、あぁ、奄美行きてぇってなる。なる。



いやー、新世界をありがとうございます。冬の真牡蠣でも試してみようと思います。

それにしても、奄美ではどれくらい牡蠣を食べるのでしょうか。奄美で貝と言えば、とびんにゃ。とびんにゃも食べたいなぁ、あぁ、食べたい。

2013年8月19日月曜日

旭興 吟醸 滓酒 24BY

山水閣を飲んだら旭興が飲みたくなって買ってきました。
選択肢はいくつかあったのですが、旭興のうすにごりは初めてなので期待して買ってみます。

旭興の印象は、とにかく美しい、スマート、端正という記憶なんですが、これにおりが絡んだらどんな感じになるのか。そしてお店では、精米歩合が高いもののおりが多いからちょっと甘く感じるかも、というお話でしたんで、そんなあたりを意識して楽しむでございます。


冷蔵庫からだしてのヒヤヒヤで。
グラスに注ぐと、思ったよりしっかりのおりがあります。

抜栓とともに広がる吟醸香。
鼻に近づけると、甘く濃い香りた立ち上ります。

おりの雰囲気に反して、口に含むとキレよくさっぱり。シンプルな米、酒の旨味のあと、ピリリと絡みが引き締める。
余韻は思ったより短くさっぱり。悪い意味じゃなくて水っぽいような、水におりを溶いたような舌触りも。

舌で転がしてもそれほど味の変化はなく、メロン系の吟醸香が湧き立つ。辛味とともに残るのはほんのりとした苦味。両者で引き占めるからだれないあきない完成度。シンプルな美味しさが楽しめる。

日光の湯葉。
優しい大豆のコクを溶かしよく合う。悪い意味じゃないけど感じる水っぽさを埋めてピタッと会う。

温度が少し上がると膨らみが豊かに。発泡感のない美丈夫、それよりボリュームがあるけど近い方向性。山田錦とは思えないキレの良さが、あの松山三井を思い出させる。まぁ美丈夫のうすにごりが冷蔵庫に入ってるからそう思うんでしょうけど、今日は。



1週間。印象は変わったけど美味しさは変わらないなぁ。

ピリリとした感じはなくなり穏やかになったものの、爽やかさの印象は変わらない。舌触りは優しくなり、強いて言うなら、味がひとつにまとまったという印象で、刺激もなくツルツル。おりから滲み出る旨みのおかげで、口の中はあふれるジューシーさ。

ダレることなく、爽やかさを保ったまま。初日のメロンの印象より、今はマスカットを濃厚にした芳醇な旨味を感じる。あぁ、酸味が弱いカルピスのような印象も。

日数が美味しくしたとは言えないけど、ダレることなく踏みとどまるあたり、酒質の高さが伺えます。



旭興の美しさは、おりがあっても変わりません。嫌な感じがない、という印象が強く残るんですよね。もちろん美味しさは十分な前提の上でなんですけど。

近場で買えるようにならないかなぁ。





旭興 吟醸 滓酒 24BY
渡邉酒造株式会社
精米歩合 山田錦 37%/47.9%, 43%/52.1%
酸度 1.3
アミノ酸度 0.8
日本酒度 +4
アルコール度数 15度

水戸市 地酒蔵きなせさんで購入。

2013年8月17日土曜日

美丈夫 純米大吟醸 うすにごり 舞 24BY

我が家で定番となってる発泡系の日本酒はいくつかあるのですが、その中でも最も愛されてよく飲む一本が美丈夫の麗なんです。
で、もうないの?って酒屋さんで聞いてたら、なんとか入荷出来ましたよ、大吟醸の方がと。

昨年も吟醸の麗の代わりというとあれですが、入荷した時に飲んだことがあります。甘みの上品さがさすが大吟醸って記憶なんですが、今年はどうでしょうか。


冷蔵庫で数日置いて落ち着かせての開栓。当然冷や冷や。

おぉ、素晴らしき発泡感。美丈夫はきっちりと発泡感が残ってる印象ではあるものの、鳳凰美田の発泡濁りとかほど開けるのに苦労した記憶もないんです。でも今回は危なかった。ガツンとピチピチが残っております。底に溜まったおりも舞い上がる勢いです。

泡が押し出す香りは爽やかメロン。弾ける香りは鼻先に持ってこなくても周囲に漂います。

口に含むと弾けるシュワシュワ、その後ジューシー。およそ米で出来てるとは思えない味わい。
昨年の記憶と同じく、普段の吟醸よりもフルーティーさが強く感じられ、甘みも上品。アルコール度数が14度と高くはない値と相まって、一歩間違うとお酒であることを忘れてぐびっといってしまいそうです。むっふーん。

ちょっと不思議なのが、数日間冷蔵庫にいて出した時もきっちり冷えてたのに、あまり冷たさを感じなかったこと。泡を見るときめ細かく立ってますから、冷たくないわけじゃないんですよね。グラスの水滴もそう。
なのに、ピチピチの後の舌触りが妙に丸く優しくて、冷えを感じるより先にふわりと消えていくような感じでしょうか。

最初の一杯に選べば、日本酒を飲み慣れてない女の子もうぉふうぉふしてくれる一本なんじゃないかと思ったり。

そう言えば、美丈夫と全く関係ないけど宮城県の酒造協同組合主催の酒コンなるものが開催されるんですね。そして純米酒がテーマとはなかなかガッツリしてるなぁと。
独身だったら行きたかったなぁとか、いやいやひきこもりはそんなところに行く度胸ないだろうなんて思いつつ、是非是非乾杯はこういう華やかな一杯でお願いしたいなぁと妄想した次第でございます。






美丈夫 純米大吟醸 うすにごり 舞 24BY
有限会社濱川商店
精米歩合 松山三井 50%
アルコール度数 14度

取手市 中村酒店さんで購入。

2013年8月15日木曜日

龍宮 かめ仕込、ビンテージを味わう、2013夏

龍宮のかめ仕込は、買ってもすぐに飲んじゃうせいでなかなか複数年度が揃わないんです。ところが、珍しく家に2012、2011、2008の3ビンテージがあったので飲み比べて見ました。

同じ利き猪口、ストレートで味わいます。


2012。
ドライ、シャープ。黒糖の香りはするけど乾いた風情。味わいも、濃厚さよりフルーティーな印象。
甘みはダイレクトに舌に乗る。刺激が強く焼けるような舌触り。後味は軽い苦味を残して消える。
黒糖感が強く、まだ溶けきってないかのような主張。若くてやんちゃでうまい。




2011。
黒糖の湿った、海藻の香り。厚みがあり芳醇。立つというより横たわる感じ。
甘さは軽く、潮の香りがする。香りの強さに反して、味わいは軽快。でも複雑。苦味というよりミネラル感を残して消える。固さと塩気、混じり合う奥深さ。
飲み比べてる2本とも、記憶の龍宮とも、ちょっと違う異質な存在感がある。そう、存在感が強い。




2008。
濃厚で強い香り。湿り気のある黒糖の香りが立ち、ムンとする。
舌の上で溶けるマイルドさ。刺激が前に来ず、ゆったりと主張する。液体に原料が溶け込んだなぁと感じる。あぁこれは時間由来のものだなぁと。時の力を存分に感じられる成熟の旨さ。




ベースとなる富田さんの味は同じでも、年度の違いは明確にあるのを再確認です。

この味の記憶を残しておいて、2012があと4年経った時にどうなっているのかを味わいたいものです。

2008に感じたような時間の影響がどれくらいなのか、そうであっても龍宮であり続ける味の要素はなんなのか、今までも散々飲んできてるのにあんまり感じて考えてこなかったことが悔やまれます。

そして2011。龍宮は一口飲めばおぉってなる存在感があるんですが、2011はそのインパクトが一歩強い気がします。これが寝かされていくとどうなっていくのか、楽しみで仕方ありません。




龍宮 かめ仕込 40度
有限会社冨田酒造場

2013年8月13日火曜日

大和桜 匠 2012年発売

大和桜の甕貯蔵熟成酒、匠。
もうラベルからして匠ですよ。いちいちかっこいい。


大和桜さんは一次も二次も甕で仕込まれますけど、貯蔵はタンクなんですね。でもこの匠はそのまま甕で寝かして熟成されます。

蔵におじゃましたとき、今年仕込んだ匠の原酒を味見させて頂きました。出来立ての味は蔵に行かないと飲めない、っていうか行きゃ飲めるってもんでもありませんけど、初体験の刺激です。でも鮮烈な印象と共に二年後が楽しみになる片鱗はもうたっぷり現れてて、今から楽しみでございます。ほんと美味しかった。

余談ですけど、その時に匠じゃないけどもう少し熟成したものも味見させて頂いたんですね。おぉ、熟成の意味がわかるって一品でして。蔵元は、「商品になったって感じがわかるでしょ」っておっしゃいましたが、なるほどなるほど。出来立ての美味しさはインパクトで飲ませますけど、もちろんそれは美味しくて面白いんだけど、熟成を経て味と香りの要素がひとつにまとまって初めて日々のお酒になって行くっていうのが納得です。


自慢話はともかく、今ある匠を頂きます。

ストレート。
かなりやんちゃな辛味。甘みはたっぷりで、舌の上ではかなり濃厚に感じる。でも辛味が引き締めて全体として印象はキリリと強い。これはお湯で優しく飲もうと思う。

お湯割り。
甘みが立ってきて甘辛のバランスがよくなる。海藻系の旨味がうっすら。

燗冷ましならぬお湯冷まし。甘みが落ち着き、芋味が強くなる。まぁこれも甘みっちゃあそうなんだけど単なる甘みとはちょっと違う不思議。

ぬるめのお湯割り。なんだこのフルーティー。さくらんぼ?びわ?きつくない果物の甘みと香り。なんだ、どこから出てきたんだ?

ちょっと他のお酒と比べちゃったりしてよくわかんなくなってきたから、日を改めよう。



改めて飲んでみる。

水割り。
後味に粉を吹くような甘み。鼻に抜ける。上品な辛みがほんのりと後味を引き締める。
しかし上品。蔵で原酒を味見させてもらったから、ワイルドクールの味を思い出すとロックのほうがいいかなー。

お湯割り。
問題なく美味いけど、スタンダードの大和桜より品が良すぎて、余韻がひと伸び足りない印象。そのせいかかお湯で飲むのはちょっと勿体無く感じる。

お湯割りの冷まし。30度くらいかな。綺麗なまま伸びやかな旨味。刺激がなくつるつる。甘さが余韻の芳醇さ。


ぬるめがよろしいですかな。通常の大和桜よりも折り目が付いているような印象は、その佇まいを壊さないような穏やかさがお似合いでございました。





大和桜 匠
大和桜酒造株式会社
25度


鹿児島市 山形屋 薩摩酒蔵さんで購入。

2013年8月11日日曜日

来福酒造を訪ねて、2013夏

茨城が誇る銘酒の一つである来福。こちらを醸す来福酒造さんにお邪魔して来ました。

通常この時期は(酒を造ってないこともあって)見学を受けてないんだと思いますが、近々日本を離れる友達を連れてなので今しか行けない、ということでお願いした次第なんです。

僕は2009年の夏にも、やっぱりちょっと無理を言って見学させて頂いたことがあるんですが、なんせ今回は震災後のこと。茨城県内では最も被害が大きかった蔵元さんのひとつですので、あれから蔵にも色々手が入ってとのお話も聞きます。
いまさらながらそれでも変わらずの美味しさを醸し続ける蔵元に敬意満載で、再度お勉強させていただくわけなんです。

ちなみに来福さんは小売もしていますので、購入だけなら蔵におじゃまできます。そんなわけで、こんな感じの説明も貼ってあったり。



順番に蔵の中を案内して頂きました。至る所に松尾様の御札が。京都にはそこそこ長くいたのに行かなかったなぁ。西側は不案内でした。



麹室。中にあるのは製麹機。
来福酒造さんは全員が社員としての通年雇用なんだそうです。そんで通いで蔵人をされているんです。酒造りには夜を徹してという作業が色々あるわけですが、そうなると泊まり込みになるわけで、やはり負担が大きい。なので適切に機械を導入することで、そういう人的負担を減らす努力をされてるんですね。



2階のほとんど外にあるお米の洗い場。



そして洗米機。最近よく聞く、泡で洗うタイプのもの。



そして大量の酒米の札。来福さんと言えば花酵母と多品種少量生産が特徴。使うお米の種類もハンパないわけでして、間違えのないように管理するわけです。



小さいサイズのタンクがいっぱい。
昔は大きいタンクで造ってたんだそうですが、当代が蔵に戻られてから色々な試みをされて今の形になっていったんだそうです。



ヤブタの中身。分解してあるのを見られるのは、季節外れの醍醐味です。



他にもご自慢の精米機とか焼酎の話なんかも伺って見学終了。えぇ、色々と質問したりしてたら結構写真を撮り逃しています。



この日は釜屋さんに案内して頂いたので、特にお米関係の話を色々とお伺いすることが出来ました。洗米の話とか蒸しの話とか種麹との関係とか。
日本酒蔵にお邪魔するのも何回目かって感じですが、説明を受ける度に新たな発見があり、また次の興味が湧いてくる愉しさがあります。

とは言え、実は未だに造りの最中を見学したことはないんですね。衛生面とか作業の邪魔になってはとか色々気にしたりしちゃいますし。一方で、造りを見なくてどうするんだって話も蔵の方にして頂くこともあり、やっぱり今年の冬は造りを見たいなぁという気分が満載でございます。


さて、ぐるりと蔵全体を見せて頂いたわけですが、まだ震災の傷跡は残るものの順次修復がなされています。さぞご苦労がお有りだっただろうと思いつつ、それでも進む復旧をみてホッとして、美味しいお酒を購入して帰宅した次第でございます。


来福酒造さんは、造りの時期には予約制で蔵見学を受け付けていらっしゃいます。今回お伺いするにあたり、事前にご都合などをお伺いして許可を頂き案内して頂きました。これを読んで見学したいと思った方は、蔵元さんのご迷惑にならないよう十分配慮してくださいませ。飛び込みとかもってのほかですよ。

2013年8月10日土曜日

壽々八千代伝がやってきた

買ってしまいましたよ、というか、買えてありがとうなんです。

3月に蔵におじゃました時、今年10年物を出すんですよと伺ったやつです。えぇ、楽しみで仕方ありませんが、開栓する根性もないんです。

もう一本買ったら、片方は開けるかなぁ。
そういえば、今年の杜氏代表賞の記念酒も開栓しないままだなぁ。もったいなくて。困った困った。










つくば市 スドウ酒店さんで購入。