全くお初の銘柄でございます。黄金澤。
最近たまに行く(遠いからたまにしか行けない)酒屋さんからのDMで見て気になってました。なので久しぶりに訪問出来たので購入です。
玄関放置の常温で開封。
香りはほんのり、乳酸系。どっちかといえばやや古めかしい香り。まぁ薄っすらですけど。
アタックは爽やか、そこに山廃感ははない。綺麗な酸がジュワーと広がり、喉に落とすとシュッと消えていき、乳酸の香りがふわっと余韻になる。
お店で試飲させてもらった時は、まだここまで膨らみがなかった、とのこと。山廃と思えない線の細さがむしろ印象的と。まぁ奥さんが試飲したから僕は飲んでないんですよね。
そしたらお店の奥様が、開けて2,3日すると旨味が膨らんできて、それがまた美味しいとのこと。ということで、あえて玄関放置でいじめてみました。まぁ真相は冷蔵庫に入りきらなかったから、苦渋の選択をしただけなんですけど。
奥さん曰く、試飲の時よりすごく膨らんだと。
綺麗な酸なんだけど、奥にほんのり一癖。これが山廃由来のコクなんだな、きっと。
香り自体ほんのりなので、そもそも山廃の感じはあまりないんだけど、口に含むと益々不思議。山廃?えっ?ってなるくらいの端正な佇まい。
甘みの感じが違うんだけど、この乳酸の感じは伯楽星に似てる。でもあれは速醸(ですよね)。
もともと酸が綺麗なタイプが好きなんだけど、これは一癖ある部分が更に惹きつけるですね。ちょっと甘さが気になるけど、多分これは温度のせいだと思う。冷蔵庫で冷やして再飲しよう。
ともあれ美味しい。初めての銘柄だし、変化が楽しいとのことなので、数日に分けて飲んでみることにするですよ。
…
3日目、冷蔵庫から出してすぐの冷や冷や。でも香りが強く、早くもチョコが少し。熟成の気配。
口に含むと苦味が先に立つ。チョコよりはコーヒーかな。でもみずみずしさはまだあって、濃いだけじゃなくて爽やかさも残る不思議な感じ。冷たさもあってかなり苦い。
空気に触れさせちょっと温度が上がると苦味は程々に落ち着く。
冷えててもほんのりと乳酸系の香り。古さと新しさの同居具合が面白い。
割と古めかしい味よねって言うと、いやいや結構爽やかで綺麗な酸味よねって思うし、けっこう爽やかで最近のお酒らしい綺麗な酸味よねって思うと、いやいや奥にしっかりした乳酸のコクがあるからこの味になってるんでしょって思う。
米の旨味の濃さ、柑橘系の甘さ、コーヒーの苦味、それらがバランスよくあるから飽きない。
味自体はかなりしっかりとした存在感。なので一回に量は飲めないけど、しみじみゆるりと少しずつ飲みたい良酒ですな。
日々の酒というより、お店で美味しいものと一杯って感じ。
山仙さんのさつま揚げと合わせる。プンプンする魚の香りと潮の香りに負けない、上手に調和する。このタイプのしっかりした味は、結構どんな料理にも合うと思う。すごいマリアージュっていうよりも、ちゃんとした味がついてるものにはそれなりにきっちり向き合えます、拙者って感じ。
…
10日目、少し残しておいた残りを飲む。
うーん、ここまで引っ張ると、ちょっと味がスカスカになってくる。肝心の旨味が抜けた印象。
ちょっと温度を上げても旨味は復活しきらず。全体的にも、妙に削ぎ落とされたシンプルな味。残念ながらいい意味じゃないからなぁ。
四合瓶なのに長々と飲んでみましたが、美味いと思った時が飲み頃でございますな。
あれ?めっちゃ当たり前の話になってもうた。
ともあれ、このお酒は開けてからは早飲みがよろしいようで。となると我が家はまた四合瓶でしょうな。
山廃なのにとかそういうことはともかくとしても、最近日本酒が好きになりました的な人が飲むと、きっとなんか不思議って思ってもらえるんじゃないでしょうか。甘辛幅広くじゃないけど、広角打法な良酒でございました。
黄金澤 純米 山廃原酒 24BY
合名会社 川敬商店
精米歩合 ひとめぼれ 60%
酸度 1.7
日本酒度 0
水戸市 地酒蔵きなせさんで購入。
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