聞けばこのお酒の22BYを詰める直前があの震災で、だから21BYを最後に出てなかったとのこと。それがようやく今年復活。まぁ僕は初めて頂くんですけど。
購入後、ほんのり冷蔵庫の冷や冷やからスタート。
果実のような甘みと綺麗な酸味。柑橘系の爽やかさ。
香りはほんのりと、やはり酸味を湛えた香り。
口に含んだ瞬間旨味が爆発する。おりがらみのせいもあるんだと思うけど、舌の上での味の膨らみ方がガツンと来る。ほんのりのおりのおかげですな。
最後にうっすらと米の苦味が味を引き締めてスッキリさせる。余韻はわりと短くさっぱりとした後味。
飲むと思い出す、あぁこれって磐城壽だなぁってわかる芯のある味。
蒸し野菜と合わせる。
野菜の甘みとお酒の綺麗な酸味が調和する。
蒸し牡蠣と合わせる。
やっぱりよく合う。以前も書いてるんだけど、とにかく
まぁ海の男酒って書いてますから、そもそも山のものとは合わせようと思ってないあたり、ステレオタイプでございます。
…
3日目、熟した。開栓した時よりより冷えてるはずなんだけどなぁ。熟々。
甘み絶好調。芳醇。ものすごく上品なまま、ジューシーさだけが増してきた。
なんだろう、乳酸の感じはあたごのまつの薄濁りと近しい印象かな。
全体的には爽やかな綺麗な酸だから、甘さと相まってカルピスとかそんな感じ。いや、ネタじゃなくて乳酸発酵飲料系なんですよ。どこか懐かしい感じはそのせいなのかな。
カルピスサワーとかみたいに、そんなにお酒を飲み慣れない人でも手が出るんじゃないかと。
燻製牡蠣のソテーと合わせる。
甘さと酸味が塩と煙を抱き込む感じでよく合う。
…
6日目、最高潮。
今日で飲み終わったんですけど、いや最後まで濃厚。ちがう、最後になってすごい味のり。爽やかさと濃さの絶妙な状態。いやー、一番美味い。ここにきてもう一伸びあるとは、脱帽のクオリティ。
ちなみに今日も冷蔵庫でキンキンに冷えてる状態。全然固くないし冷えによる苦味もない。強いお酒なんですねぇ。
さて、少しずつゆるゆると飲んできたんですけど、開栓後もダレるどころかぐんぐん旨味を増していく凄さ。次回飲むときはエアレーターで日にちを進めるのを試したいですな。
ちょっと余談。
磐城壽との出会いは、実は震災のちょっと前にあった酒の会。
その時のコメントが残ってるんですけど、
だそうで。まぁ書いたのは自分ですけど。いやー、美味しい。今回の試飲会で一押しでした。全く名前も存じ上げない蔵でしたが、個性と旨さがとても同居しています。純米、純米原酒を冷/燗で味わってきましたが、熱冷どちらも満足なお味です。口に含んだ印象は結構古いタイプの味わいなのですが、その後広がる香りと旨みは最近のお酒らしい綺麗さで、純米にも関わらず余韻の綺麗さは特筆モノです。こういう知らないいいお酒に出会えると、試飲会が楽しくなるですよ。
で、こりゃー今後注目やなーって思ってた矢先に震災。
その後のご苦労は、復活の蔵としてよく取り上げられてますから周知の通り。
昨年は随分と注目を浴びたそうです。復活復活って。
でも今年はもう陰りが出てるんだそうです。結局、ブーム的に捉えた酒屋さんは、もう今年になると取引が続かないんだそうですね。
震災云々をおいても、磐城壽はとても美味しいお酒だと思ってますから、変にシンボリックな扱いを受けるとちょっと悲しくなります。だって流行りは、本当の味や美味しさに関係なく廃れますから。そして流行ったものって、往々にして正当に評価されなくなる危険性をはらんでますから。
でもそんなことをただの酒飲みが思っても関係なくて、それでも売れたほうがいいんですよね。蔵を買い取られた経緯とか条件とか色々なことを耳にすれば、ほんととにかく売れたほうがいいと思うんですよ。
そんなちょっと悲しい話を聞いたあとでも、このお酒は美味しいんだから素敵です。
磐城壽 純米 中汲みしぼりたて 24BY
株式会社鈴木酒造店長井蔵
精米歩合 65%
水戸市 地酒蔵きなせさんで購入。
0 件のコメント:
コメントを投稿