2013年6月22日土曜日

松の司 純米吟醸 心酔 山廃仕込 18BY

君嶋屋さんで松の司を選んでもらったうちの一本。純米吟醸の山廃造りの熟成酒、18BYです。
この心酔というラインナップは今は生酛造りになってるから、もう飲めないものです。

君嶋屋さんでは寝かせたお酒ばっかり好んで買うから、松の司も熟成酒と比べてみてはどうでしょうかとなってしまいます。ありがたやありがたや。


冷蔵庫からだしてちょっと置いた、そこそこ冷や冷やで開栓。

すごくほんのりの吟醸香。薄っすらと佇んでいる。

口に含むと、旨味の前に吟醸香、その後に山廃の乳酸、そして米の旨味と順に変化していく。そして瓜系の甘み。控えめな甘みだから完熟メロンとまでは言わないけど。

刺激はなく、旨味の苦味、その奥にある滲み出るコメの味。舌の上で転がしていると、ジワッと口の中が熱くなるような酸の刺激が、軽めの苦味を含んで出てくる。この苦味がたまらなく旨い。深い、そして緩い苦味。

温度が上がるに連れて苦味はなくなり、乾いた旨味に変わる。
粉を吹くように解ける旨味が心地よい。この輪郭の粉っぽさが五百万石を思い起こさせるんだけど、これは熟成がなせるわざなんだろうなぁ。こういう輪郭の緩さは、以前鳳凰美田の芳の熟成酒を飲んだ時と近い感覚。


横浜中華街の金陵さんのモツと合わせる。同時に味見してた数本の日本酒の中で一番良く合った。今日のモツはちょっと味が濃い目だったから、この優しい甘さがよかったのかな。



2日目。
メロン、瓜の香りが優しく香る。
ちょっと芯が抜けた感じの味わい。穏やかになりすぎたかな。ミルクメロン。

冷えた感じが抜けると、とたんに甘みが湧く。
刺激がなく、トロリとした感触、そして香る瓜の香り。甘さの抑えっぷりが、およそ山田錦とは思えないんだけど、香りには山田錦らしい膨らみがある。山廃らしい乳酸が、穏やかに旨味になっている。



2週間。
口に入れた途端はヨーグルト、乳清。爽やかで濃厚だけど甘みは少ない。酸味に加えて、軽い辛味が後味をよりキレさせる。

舌で転がすと米の香りが立ち上がり、より濃い旨みになる。そしてほんのりと甘みも引き出される。

タイの昆布締めと合わせる。それぞれの旨味が混じったり離れたり、口の中でもふもふする。この乳酸の香りは木桶よりも合うなぁ。お酒単体の旨さは木桶の方がわかりやすくあるんだけど、食事の旨味と混じる感じは熟成の妙だなぁと感じいる。

温度があがってくると、さっき引っぱり出さなきゃ出て来なかった甘みが、ホロホロと出てくる。多分燗しても良かったんだろうなぁ。季節柄、というかめんどくさがりのせいで出来ずじまいなのが無念でござる。

常温近くまで温度が上がってきて、最後の最後で一番甘みと旨味が調和した。
ヨーグルトに色々な果物をぶち込んだかのような、上質上品デザート。

図らずも、とても愉快な〆の味でございました。




旭若松とか悦凱陣とかの熟成感と違って、これはまたなんとも品のある枯れた味わい。枯れ過ぎ?物足りない?って思った矢先に新しい旨みに出会うことが出来る素敵な一本でした。

しかしまぁ上級者向きだったなと。温度帯とか飲み方とか、もう少しこのお酒の真価を引き出せる人と一緒に飲みたいものでした。自分、まだまだ修行が足りません。






松の司 純米吟醸 心酔 山廃仕込 18BY
松瀬酒造株式会社
精米歩合 山田錦 50%
酸度 1.4
日本酒度 +7


横浜君嶋屋さんで購入。

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