で、帰ってきてからさらに色々と飲んでみました。
さて味の前に装い。黒印のシールが貼ってあります。専務の健太郎さんに聞いて知ったのですが、これは満月なんですね。八千代伝の文字が猿ヶ城渓谷の山々で、そこにぽっかり浮かぶ月。
もうね、あの美しい木々のが闇に包まれて、上にぽっかりと満月が浮かぶ、それを想像するとそれだけでごちそうです。ほんと皆さん機会があったら行ってみてくださいよ。めちゃくちゃ美しい土地です。
そしてそんな場所で八千代伝さんはお月見の会を開催されてたとか。最近は桜島の活動が活発なせいで灰がひどくて出来ないそうですけど、山と月というのはひとつのテーマなんですね。
予習はロックで。っていうかまぁずっとロックで飲んでましたから。
八千代伝ってどれもきれいで、細身の折り目正しい甘さの印象があるんですけど、黒はさすがにちょっと骨太。あ、線が細いって言葉はいい印象じゃないんですけど、なんでしょう、細面とか言えばいいんですかね。それはともかく甘みがちょっと太い。黒糖のようなコクを感じて、それが氷が溶けるにつれて香りとして沸き立ってくる。
そして復習。
まずはストレートでちょっと舐める。注いでちょっと置いておちょこに香りを溜める。なんの果物だろう。マスカットに近い爽やかさと、芋の甘み。単純な甘みじゃないなぁ。
舐めると軽い刺激、そしてすぐ濃い甘み、喉を通すと最後に薄っすらとした苦味が余韻に残る。芋というより豆、例えば小豆とかに近い味。甘みはもちろん芋に由来して濃ゆいんだけど、コクが強くてちょっと別の味を含んでくる。
じゃあどの飲み方がいいのか考える。豊潤だから、これまで通りロックもいける。もちろんお湯もいけそう。
お湯割りを試す。
あぁこれですね。ロックに悪い点はないんだけど、お湯のほうがしっくりきた。刺激が薄らき、甘みも落ち着き、でも厚みはそのまま。舌で転がすとじわっと甘みが湧いてきて、それと同時に薄っすらとした刺激も戻ってくる。でもそれぞれの味がみんなつながってて、どれかが突出することないまま纏まってる。
甘みの奥には複雑な旨味。ほうれん草の根のような甘みと土のコラボレーション。奥さんに聞いたら人参じゃねって。なるほどなー、それもわかる。直接的な味ではないんですけどね、どっちの例えも。でもそういう野菜の、土の強さが共通点になる旨味を感じる。そりゃまぁ芋ですし。
水割りを試す。
あぁ、これも美味いなぁ。でも、お湯割りを試した後だと、厚みが足りなくて勿体無く感じる。せっかく黒麹で一コク足されてるのに、水の中に沈んじゃったみたい。お湯割りだとそれを温度が持ち上げてくれるんですけどね。サクサクと飲むには楽で美味しいけど、真髄を味わうにはお湯割りを選択したいですな。
ロックかお湯割りか、ちょっと悩むなぁ。甲乙付けがたい美味しさでございます。
八千代伝 黒
八千代伝酒造株式会社
25度
つくば市 スドウ酒店さんで購入。
0 件のコメント:
コメントを投稿